「フェアユースは本当にフェアか!?ーフェアユースが著作権にもたらす論点分析」パネルディスカッション
tsuda:このあとパネルディスカッション。今日はこれが本題。
tsuda:パネル出演者は上野達弘さん(立教大学准教授)、菅原瑞夫さん(JASRAC常務理事)、田村善之さん(北海道大学教授)、丸橋透さん(ニフティ法務部長)、三田誠広さん(作家、日本文芸家協会副理事長)の5名。豪華メンツ。
tsuda:モデレーターは横山経通さん(エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク専務理事)
tsuda:一応参加者のマッピングを先に書いておくと、フェアユース慎重・反対派が菅原さん、三田さん、中立(?)派が上野先生、どっちかというと推進派(?)が田村先生、ニフティの丸橋さんは多分ネット業者の立場から推進派じゃないかと予想。
tsuda:まずそれぞれのパネリストにフェアユースに対する基本的な考え方から
tsuda:上野「議論が盛んになっていることはうれしいこと。2年前にはこんな状況じゃなかった。今みたいなこういう形の議論はなかった。昨年CRICの講演を依頼されたとき、権利制限規定一般について話した。最近ロースクールで著作権法教えると制限規定は試験範囲に入ってて細かく教えなきゃいけない」
tsuda:上野「昨年中山先生が著作権法の本を出したが、その本ではフェアユースに対しては消極的だった。しかし年が変わることから中山先生も心変わりしたようで推進派になった。それで議論もどんどん進んでいった。社会に対する影響力はこういうものかと(会場笑)」
tsuda:上野「私の初期の目的は権利制限規定に一般条項を入れるかどうか検討すること。その意味では達成された。米国法を輸入しようという考え方は日本ではアレルギーが強かった。そのために日本版フェアユースという名前を付けた。しかし、そこで念頭に置かれているのは論者によってかなり違う」
tsuda:上野「今の裁判制度で肯定されるようなケースをあえてフェアユースを認める。それでも裁判官の負担や事業者の萎縮効果をゆるめるという意味では導入する意味があるだろう」
tsuda:続いて丸橋さん
tsuda:丸橋「ニフティで法務部長を7年やってます。今日は席順的に被告席に近いところ(会場笑)。ISPはユーザーの立場を代弁するわけではないということを前提にしてほしい。ただ、ユーザーの行う自己使用目的の複製やタイムシフトは提供してるが市場に影響はないだろうと考えている」
tsuda:丸橋「今後法律の整備が進んでいくだろうけど、間接侵害がどうなるかということが興味の9割。ほかもあるが、主体的にISPで関われるところは少ない。ニフティはオリジナルの著作物を生み出すようなサービスについてはまだ発展途上。Googleのようにはできていない」
tsuda:丸橋「今後写真投稿サービスを作ったとしても、アップするのはユーザーなので、我々はあまり関係ない、そういう立場」
tsuda:続いて菅原さん
tsuda:菅原「最近の議論で見ると、いろいろな考えがあってどの議論もまだ明確ではない印象。一般規定的なフェアユースを否定するわけではないが、本当に必要なのか、社会的に産業的に必要なのか疑問が残る。入れるにしてもどのように入れるのかきちんと詰める必要がある」
tsuda:菅原「フェアユース導入派は産業への萎縮効果を言う人が多いが、本当に萎縮効果はあるのか。そういうことも考えた方がいい」
tsuda:続いて田村先生
tsuda:田村「著作権に対する一般の人の意識と現実の法制度にずれはないか? 企業内のファックス、メールのコピペ、ウェブのDL、資料配付のコピー、関連資料を1冊にまとめるためのコピー、関連資料をPCで保存するスキャン、外国語がわからない社長のために秘書が新聞を翻訳。これは全部違法だ」
tsuda:田村「企業内複製のように、私的使用目的に該当しない場合、著作権法の条文を墨守すればすべて著作権侵害となる」
tsuda:田村「著作権管理団体の強面の人と話をすると、その人が僕の書いた論文をコピーして資料配付していたりする。そのたびにちょっと皮肉を言っているが(会場笑)」
tsuda:田村「日本には著作権を一般的に制限するフェアユース規定がない。そのかわり多数の細かい制限規定がある」
tsuda:田村「公共選択論という観点でいうと、政策形成過程には少数の者に集中した組織化された利益は反映されやすいが、多数の者に拡散したユーザーや消費者など組織化されにくい利益は反映されにくい。トータルでは後者の利益の方が前者の利益より大きい場合でも前者の利益が優先されることがある」
tsuda:田村「フェアユースは、何を決めるべきかということも重要だが、それにもまして「誰に」きめさせるべきかということも重要。政策形成過程に反映されにくい利益を立法ではなく、司法により吸い上げるという意味でフェアユースには意味がある」
tsuda:続いて三田さん
tsuda:三田「Google問題。世界中の作家がGoogleを糾弾して、袋だたき状態にある。これをGoogleがやったのは米国にフェアユースにあるからだ。作家はフェアユースというものは大変野蛮なものだという認識を持っている」
tsuda:(三田さん今日も舌好調だな……)
tsuda:三田「わたしのところに朗読図書をネット配信したいという要望が来た。現状の著作権法では無理だったので3000人までならOKですよということでテストを行った。テストの結果何も問題なかったので文化庁に出向いて問題なかったので権利制限規定に加えてくださいといって今回の法改正につながった」
tsuda:三田「大学入試の問題集を保存共有して問題作成に生かせるサービスを教材出版社が提案してきた。普通にやるのは複製だろということで、こちらから問題をサーバに保存したら1000円、実際に使用したら2000円でどうだというアイデアを出して、それで決着している」
tsuda:三田「日本語研究のコーパス。あれも金を取って売っているものということをきいたので、著者に金払えと文句をいった。今は図書カード500円分が払われるようになっている」
tsuda:三田「ちまたではフェアなユースであればお金を払わなくてもいいんだという誤解が広まっている。これはおかしい」
tsuda:まずはGoogleブック検索の話題から
tsuda:三田「米国では20年前にベルヌ条約に加入した。日本は100年以上前に加入。米国は著作権意識がうすいし、文化がない。金儲け優先の国」
tsuda:三田「Googleもいろいろなことをやってきているが特に今まで問題なかったので本のスキャンを始めた。最初は著作権切れの本からやっていたが、途中から著作権ある本もやり始めた。これで作家協会と出版社協会から裁判を起こした。これは作家協会から和解を提案した」
tsuda:三田「米国の裁判は商売やってる人を優先する。一定の条件で作家に著作権料払えば続けていい。今まで複製されたものについては金払えばOKという形で和解した。今後の本の著作権管理は版権レジストリというものを作ることで和解している。ただ、詳細を詰めて完全に和解するにはあと何年もかかる」
tsuda:三田「このケースのように、フェアユースだからといって突き進んだら、賠償金のように多額の金を取られるということがある。フェアユースを信じて突き進むことは大変危険」
tsuda:三田「今回の訴訟はクラスアクションという特別な訴訟だったので、世界中の作家が巻き込まれた。なぜクラスアクションにしたのかと作家協会に訪ねたら、こっちが大規模な立場にならないとGoogleのような巨大な企業に司法で太刀打ちできないという回答が返ってきた」
tsuda:三田「世界中の作家がこの問題に関わらざるを得なくなっている。それに対して1件ずつ補償金を支払わなきゃいけなくなった。我々もこの件を初めて聞いたときはびっくりした」
tsuda:三田「図書館の中で本をコピーするのはそもそも違法。アーカイブ、資料保存目的でも難しかった。日本にはフェアユースがないので、今回の法改正で国立国会図書館のデジタルアーカイブ化が行われた。ところが米国では一企業であるGoogleがフェアユースであるからということでコピーを進めた」
tsuda:三田「我々の選択は3つ。和解を拒否するか、和解認めて表示をOKにするか、和解認めて表示できないようにするか」
tsuda:三田「Googleの今回の問題は裁判和解で決着にいったが、同じような問題はこれからも起こっていくだろう。なぜならフェアユースがあるから。Googleは図書館でただで読めるのに、それをネットで読めるようにして何が悪いという考え方なのだろうが、ネットと図書館では条件が違う」
tsuda:三田「ネットで本が読めるようになると図書館は本を買わなくなり、作家には大変な損害がある。Googleは日本では日本人気質として裁判を起こさないので、多くの著作者が裁判を起こさないだろうという思惑があるのではないか。そのための道具としてフェアユースが使われようとしている」
tsuda:田村「技術的進歩と著作権法の齟齬がある。著作権法の目的は利用促進と利益還元を行い文化を発展させること。著作権は他人の著作物に対する排他権を設定するものだが、最近はデジタル技術の進歩で大量の著作物を瞬時に利用可能に置き換えた。この状況で排他権のままにしておくと無理が出てくる」
tsuda:田村「三田さんの教材ネットワークの話。使用されたら2000円は妥当だと思うが、サーバに保存するだけで1000円は高いんじゃないか。しかも文芸家協会がそれを行うのはどうか。文芸家協会にそれを行う権利はないし、その行為自体が著作権侵害になっている」
tsuda:田村「Googleブック検索も、報酬請求権的にデフォルトは和解にのって表示利用をデフォルトにおいておく方がいいのではないか」
tsuda:丸橋さん「ニフティでも障害者向けのリアルタイム字幕サービスをやっている。これをやるために文化庁に通ってお願いしたが、どうしてこんなことのために個別の立法が必要なのか疑問だった。世の中の権利者の中には猜疑心が強い方々がたくさんいる」
tsuda:丸橋さん「リアルタイム字幕でも、サーバにログが保存されていれば、ネットに流出するかもしれない、字幕をやっているボランティアどもは盗人だ、とひどいことをいう権利者の人もいた」
tsuda:菅原「Googleブック検索の和解では楽譜はのぞかれた。三田さんも言ったが、米国のやり方のなかで良い悪い別にして後で金払うからいいだろ、ということが一般的。YouTubeなんかはまさにそう」
tsuda:菅原「米国でGoogleと訴訟している弁護士の人がいってたが、Googleがやっているのはマフィア的なやり方。現状見ると報酬請求権だと、著作権料の協議が難しい。許諾権の方がまっとうな協議ができる」
tsuda:菅原「フェアユースが導入されたとして、スリー・ステップ・テストをどう緩和させるかという問題がある。使う側がフェアユースと主張してもあとあとのリスクは必ずある。制度も含めて検討する。一部の人はフェアユースというと無料自由利用だと考えている節がある」
tsuda:上野「Googleブック検索はそもそも米国のフェアユースに該当するかどうか微妙。特に日本でフェアユース入ったところでブック検索は該当しないんじゃないか。これを例にとって日本版フェアユースについての議論をすることは妥当じゃないでしょう」
tsuda:上野「権利制限を設けるべきかという話とフェアユース的一般条項を設けるかということは同じ話ではない。個別の問題にどう対応するか、ということと一般条項としてのフェアユースを導入するかということは別の話。個別規定を設ける方が要件も明確だし補償金規定も作れる。それはメリット大きい」
tsuda:上野「しかし、そのような対処法だけで限界はないのか、ということがこれの一番の論点。フェアユースの目的は多様性への対応と、変化に対する対応。最近重要なのは変化に対する対応。本当に個別規定2年くらいで作って変化においつけるのか」
tsuda:上野「ブック検索ではなく、検索エンジンのGoogleはどうなのか。現状は違法な存在。改正著作権法では個別規定で合法になるが、検索エンジンはかなり昔から行われているサービスだ」
tsuda:上野「新しいビジネスが出てきたときに、少なくとも形式的にそれに対応できるフェアユースを設けておくことが必要なのか、ということが1つの論点になる。フェアユースがあったところでネットビジネスが日本で盛んになるかどうかはわからないが、そういうことを考えることが焦点になる」
tsuda:続いてほかにフェアユースが問題になる事例の話
tsuda:田村「政策形成過程に反映されるまでの期間が重要。例えば検索エンジンは政策に反映されたが、その期間ずっと違法だった。この期間の新しいサービスのビジネスの芽をどうしていくのか」
tsuda:菅原「パロディについては、1つの文化的なものとしての役割はある。それに対しての批評的な視点など、ある程度認められる要件が必要だろう。日本はただ単にAのものをBにするみたいな利用が多い。そういう実態も考える必要がある」
tsuda:続いてフェアユースを導入するメリットとデメリットの整理
tsuda:丸橋「ユーザーが自分の携帯電話に蓄積したデータは修理に出してもそれは残って欲しい。今回個別規定で救われることになったが、こんなのこそフェアユースがあればそれで解決できたものだっただろう。ほかのネットオークションの美術品の写真掲載とかもフェアユースで良かったんじゃないか」
tsuda:三田「検索エンジンはOKだから個別に OKすればいい。フェアユースを入れる意味はどこにあるのか。ちょっと前までデジタルコンテンツ流通法制が議論されていたのに、それがいつのまにか立ち消えになってフェアユースになった。古いTV番組を流通させるときに権利許諾ができないという問題があった」
tsuda:三田「ネット業者はネットでどんどん自由に流したいという希望があったために、そういうことを言っているのだろう。しかし、古いテレビ番組ばかり流通したら今のテレビ番組は誰も見なくなるんじゃないか」
tsuda:三田「従来、作家は本が出たときに初版が出たときにお金がもらえる。本1冊出しただけで行方不明になってしまう作家がたくさんいる。一億総ブロガー時代だが、使いたいと思っても本名がわからない。こういう時代に自由利用をフェアユースでやられたらたまらない」
tsuda:三田「素人は金のためにやっているわけじゃないが、プロはお金のためにやっている。その金の卵をつぶさないために金を払っていく必要がある。必要なものは許諾」
tsuda:三田「フェアユース規定がなくても権利者側の対応と補償金を払う誠実な利用者がいたら大丈夫だ」
tsuda:上野「過去の放送の番組配信、一人でも反対すると配信できない。こういう問題はフェアユースよりも権利処理で処理するべき問題。今議論すべきは、一般条項として権利制限が必要なのかということ。検索エンジンが解決したというが、あれで本当に解決したのか」
tsuda:上野「一般条項のソフトさと個別規定のハードな解釈。それらを組み合わせることで良いものができるんじゃないか」
tsuda:田村「フェアユースで何を念頭においているか、それをはっきりさせる必要がある。4つある。1つは伝統的な著作権の排他権確定させていいもの。2つはブック検索のように権利を主張したい人が手続きを取るようなもの。JASRACもそれに近い登録型のもの。3番目が報酬請求権。最後が利用自由」
tsuda:田村「教育など公益的なものは完全な自由利用にした方がいい。報酬請求権にすると大学は予算があるので利用できなくなり、社会に還元できる部分が少なくなる」
tsuda:田村「1つは政策形成過程に反映されない人たちの利益の話と、形成過程のリスクテイクをわざわざ事業者に負担させるべきなのか、この2点がフェアユースを考える上で重要な論点」
tsuda:菅原「日本でフェアユースなくて違法だった検索エンジンだが、違法で何が問題か。訴訟なんか起きてない。それに対して権利者が申し立てをしたことはない。そのあたりは権利者も違法性を認識していない。安心の幅を広げるためにフェアユースが本当に必要なのか。利用態様に問題なければ訴訟おきない」
tsuda:三田「コンビニ置いてあるものを黙って持って行ったら泥棒。大地震があって、飢えてる人がいるから持って行くといっても、それはフェアではない。持って行くならそれなりの手続きを経るべき」
tsuda:田村「フェアは著作物を自由に利用できる以上の意味はない。泥棒と同じといったが、元々その前提は本当なのか。著作物と有体物の利用は違う。権利者訴えないのは日本は確かにそうだが、訴えられるかどうかということは非常に超すと高い。私のところに北大の著作物利用で死ぬほど問い合わせが来る」
tsuda:田村「著作権はみんなが納得できる権利範囲にしておくことが重要」
tsuda:丸橋「著作権者の経済的利益にはっきり抵触するようなものは、我々は臆病なので(会場笑)、きちんとした手続きをへてやった。ただ、さっきのリアルタイム字幕の話で、あれが個別規定で認められなかったら権利者裁判したのか?買ってもデメリット大きいでしょう」
tsuda:上野「日本人にはフェアということは理解しづらい。米国人はよくフェアという言葉を使う。日本版フェアユースという話をしているのは、別にフェアの定義をしたいわけではなく、日本の著作権法に一般条項を入れるべきなのか、という話」
tsuda:上野「激しくない日本版フェアユース、優しいフェアユース、かわいいフェアユースでどうなのか。現行の法律の中でフェアユース的なものを強引に認めてるケースもある。しかし、裁判は裁判官によってあまりにも判断が違うので、アドホックな対応になってしまう。それでいいのかという問題がある」
tsuda:上野「フェアユースのような一般条項を入れれば、裁判官はそれを考慮要素としてのっとらなければならなくなるわけで、今まで裁量にゆだねられたいたものが、アドホックでなくなる。裁判官の判断した理由が可視化されるという意味で、実際には意味がないフェアユース規定でも十分入れる意味はある」
tsuda:菅原「必要とする側、いらないという側双方の必要性と範囲、目的。これを明らかにして議論することが重要」
tsuda:これより質疑応答。
tsuda:弁護士の松田さん
tsuda:青学の松田政行先生ね
tsuda:松田「ライセンスであれば、ライセンスの意思表示のやり方が問題になるべきで、それはフェアユースと切り離されて論じられるべきじゃないか」
tsuda:田村「古典的な著作権法すべてのものにいれて議論すると混乱する。そういうことを視野に入れて議論すべきという話です」
tsuda:三田「フェアユースはそれまでの慣習をフェアユースという言葉でなぎ倒すようなもの。これは大変危険な動きだし、議論をすべきこと。多くの人が良識を持って対応すればこのようなものを早急に導入する必要はないだろう」
tsuda:城所先生
tsuda:城所「Googleのスニペット表示で何が問題あるんですか」
tsuda:三田「表示よりもまず蓄積されるところの問題。その全文検索におけるサービスで彼らは広告を表示して儲けている。無断で複製を作ったということに対して一定の補償金を払うということ」
tsuda:毎日新聞須藤さん
tsuda:須藤「田村先生の大学教育で市場が失敗しているから自由利用認めているという話があったが、市場の失敗ということを前面に出すと権利者の人が納得できないんじゃないか。市場の原理で考えるのか、市場的に不合理があっても文化の問題として捉えて設計するか。このあたりの話を聞きたい」
tsuda:田村「著作権法の作りが、市場を完全に無視していない。排他権が取引に乗ることを前提にしている。市場万能主義は確かに良くない。文化や自由にある。そこが法律に現れてるのは人格権の部分。市場が機能していても、それでも自由利用を認めるべき部分があるということがフェアユースの原点」
tsuda:三田「弁護士の人やネット業者の人と話をしていると、利益を求める側とお金を払いたくない側のぶつかりあいになっている。文学の世界ではほとんどの作家が儲けを度外視してやっている。フェアユースが導入されると使う側の論理だけで使われてしまう」
tsuda:三田「初版3000部の本は出てもほとんど売れない。値段高いので図書館が1000冊買う。マニアが2000冊買う。これで純文学は成り立ってる世界。しかしこれがフェアユース導入されてネットでどこでも見られるようになると、図書館が買わなくなり、日本の出版文化の大事な部分が崩壊する」
tsuda:三田「国立国会図書館がネット配信するという話が出たときに、そういう状況を説明したら彼らも状況を理解してくれた。話し合いが大事」
tsuda:小倉先生
tsuda:小倉「三田さんの話で試験問題で使われた問題を出版社がサーバに中に入れた段階でまだ使ってないというケースがあったが、その時点では三田先生の本が売れなくなる可能性を阻害していない。使われてないんだから。コンビニ泥棒のアナロジーで話したが、具体的な迷惑はかけてない。何がフェアなのか」
tsuda:三田「音楽もそうだが、海賊版買う人はそもそも高いから買わない。著作権はコピーされてもまったく減らない。だが、二次利用で利益を得ている人たちがいる。彼らは僕らの著作物を使って新たなモデルを作ってくれてるから感謝もしてる。しかし二次利用で利益を得ているのならそれは作者に金を払うべき」
tsuda:小倉三田「著作者に迷惑をかけなければ自由に利用していい、というフェアユースはおかしい。著作物使うならお金を払うということが重要」
tsuda:以上で終了。長かったー
tsuda:さっきの田村先生の>田村「三田さんの教材ネットワークの話。使用されたら2000円は妥当だと思うが、サーバに保存するだけで1000円は高いんじゃないか。しかも文芸家協会がそれを行うのはどうか。文芸家協会にそれを行う権利はないし、その行為自体が著作権侵害になっている」という話
tsuda:これ「要約大丈夫か」という突っ込みが来たので田村先生に詳細を聞いたら要するにすべての著者の代表権を持てない文芸家協会が勝手に規定を作って出版社に許諾して複製ビジネスを認めているのは判例はないが厳しく解釈すれば最悪「著作権侵害の教唆」にあたるんじゃないかという意味だった。なるほど。