「僕は耳と目を閉じ口を噤んだ人間になろうと考えたんだ」
Togetter - 「「社会に不満があるなら自分を変えろ」の誤解、台詞の一人歩き」
話題になっているので、ひとネタ。
「社会に不満があるなら自分を変えろ それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ それも嫌ならっ・・・・!」
という少佐のセリフは、最終的に劇中で否定されていることになっていると思う。
にも関わらず、このセリフを好む人はストーリーが追えていないか、分かっていてあえて使っているか。。。
「社会に不満があるなら自分を変えろ それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ それも嫌ならっ・・・・!」
というセリフは、
後に笑い男が発する「才能も無く、努力もせず、そのくせ与えられるものに不平を言って、努力する人間の足しか引っ張れないような奴は、目を瞑ってどっか隅っこに挟まって、口だけ開けて雨と埃だけ食って辛うじて生きてろ。」というセリフにリンクするのではないかと思う。そして、この2つのセリフは*1
「僕は耳と目を閉じ口を噤んだ人間になろうと考えたんだ」
I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes
という笑い男マークの周りで回っていたサリンジャーの引用に結びつく。
つまり後から翻ってみると
「社会に不満があるなら自分を変えろ それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ それも嫌ならっ・・・・!」
という少佐のセリフ自体が笑い男のスタンドアローンコンプレックスだったと示唆してるんじゃないかな。
ところが、最終的に笑い男は
「僕は耳と目を閉じ口を噤んだ人間になろうと考えたんだ」
I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes
に
「だがならざるべきか」(or shoud I ?)
と付加した。
おもしろいことに、これを笑い男が付加したのは電脳硬化症の授産施設。
Togetterで指摘されているように社会更正施設での主張と同じ流れがここで生まれる。
「だがならざるべきか」
と付加したオリジナルの笑い男が再び己の正義を主張しようとし
結果、少佐(と公安9課)自身が笑い男の真似事をしてしまうことになる。
「社会に不満があるなら自分を変えろ それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ それも嫌ならっ・・・・!」
と一話冒頭で叫びつつ、しかしながら、最終的に不満には口を噤んで静かに生きるべきだ
ということをテーマとしているとは全く思えない正反対のストーリーを辿るわけだ。
「社会に不満があるなら自分を変えろ それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ それも嫌ならっ・・・・!」
というセリフは、それをあえて否定するために一番最初に、しかも主人公に言わせている、、、のは考えすぎかしら。