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世界遺産の街、ゴスラー。まだ知らなかったドイツに出会えるミステリアスな街

Posted by: 春奈

掲載日: Jul 18th, 2017

地域ごとに多彩な表情を見せてくれるドイツには、日本では知られていない個性あふれる街がまだまだたくさんあります。

そのひとつが、ハルツ地方の小さな世界遺産の街、ゴスラー。銀色に輝く独特の街並みは、私たちが「ドイツ」と聞いて思い浮かべる風景と、ひと味もふた味も違っています。

まだ知らなかったドイツに出会える街、ゴスラーの魅力にせまります。

銀の採掘で栄華を極めたゴスラー

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

ゴスラーは、「ハルツ地方」と呼ばれる、ドイツのほぼ中央よりもやや北の山間部に位置する小さな街。そんな山あいの小さな街が、一時はドイツ、ひいてはヨーロッパの歴史の中心に躍り出たのです。

その理由は銀鉱山にありました。ゴスラーは968年に始まったハルツ山麓の銀鉱の採掘にともなって発展し、1050年には神聖ローマ皇帝ハインリヒ3世が居城を建設。11~13世紀にかけて、ゴスラーの街でたびたび帝国議会が開かれました。

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

13世紀にはハンザ同盟に加入し、商人たちはイギリスはフランスといった外国にも商売の手を広げていきました。ゴスラー近郊の銀鉱山が最も繁栄したのは1500年ごろのこと。その時代に、現在も残る華麗な装飾が施された木組みの家々が生まれたのです。

銀色に輝く美しい街並み

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

これまで見たことがないような、ゴスラー独自の風景を生み出しているのが、銀色に輝く建物の数々。ゴスラーの旧市街に残る建物の3分の2は1850年以前に建てられたもので、その多くが木組みの建物です。

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

豪華な装飾が施された家々は、かつてのゴスラーの富を物語っているだけでなく、どこか幻想的な雰囲気をも醸し出しています。

ハルツの山は古くから神秘的な山、とりわけ中世の時代には魔女が棲む山とされていました。この街のやや現実離れしたような雰囲気には、そんな背景も関係しているのかもしれません。

次は街の中心・マルクト広場へ向かってみましょう。

街の中心・マルクト広場

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

ゴスラーの中心が、マルクト広場。15世紀に建てられたゴシック様式の市庁舎や、現在はホテルとして営業しているギルド会館のカイザーヴォールトをはじめ、ゴスラーを代表する壮麗な歴史的建造物が並んでいます。

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

広場の中央にある噴水の上に立つ黄金色の「帝国の鷲」はゴスラーのシンボル。広場の敷石は、この鷲を中心にして放射状に広がっています。

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

市庁舎の向かいの建物の屋根には、近郊のランメルスベルク鉱山採掘1000周年を記念して製作されたグロッケンシュピール(仕掛け時計)があります。

毎日9時、12時、15時、18時になると、鐘がメロディーを奏で、採掘場面を再現した人形が現れます。「鉱山の街ゴスラー」が実感できる楽しいグロッケンシュピールは、一見の価値あり。

ドイツ最大の宮殿、皇帝居城

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー

旧市街のはずれにどっしりとそびえているのが、11世紀にハインリヒ3世が建設した皇帝居城。現在見られる建物は、19世紀に再建されたもので、ドイツに現存する宮殿様式の建造物のなかでは最大の規模を誇ります。

なかでも、2階の「帝国の間」にあるドイツの歴史を描いた52枚の巨大な壁画は必見です。

マルクト教会の塔からの絶景

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー

ゴスラーを訪れたら見逃せないのが、マルクト広場に面して建つ、マルクト教会の塔からの眺め。森とオレンジ屋根の組み合わせは、ドイツの旧市街で風景の定番ですが、ゴスラーでは、それに加え、銀色の屋根や壁をもつ建物があちこちに顔をのぞかせています。

ゴスラーならではのユニークな風景を見ずに、この街を去ることはできません。

世界遺産・ランメルスベルク鉱山博物館

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー

ゴスラーの旧市街とあわせて世界遺産に登録されているのが、ゴスラー駅前からバスでおよそ15分のところにあるランメルスベルク鉱山博物館。

博物館とはいっても、実際に1988年まで採掘が続けられていた坑道内を、ガイドツアーで見学することができるのです。ガイドツアーは旧鉱山内の200年前のレーダー坑道を歩く「レーダー坑道コース」や、トロッコ列車に乗って近代的な採掘現場を見学する「20世紀採掘コース」など数種類。

実際に使われていた機材を見ながらのツアーは臨場感たっぷりで、探検家になったような気分が味わえます。採掘に関する技術的な説明だけではく、鉱山での労働環境などについても知ることができ、ゴスラーの歴史に対する理解が深まるはずです。

日本人が知らない、銀色に輝くミステリアスなドイツの世界遺産の街・ゴスラー
(C) Haruna Akamatsu

鉱山で栄えた時代が終焉を迎え、今となっては静かな田舎町といった風情のゴスラー。しかし、かつての繁栄がもたらした唯一無二の風景は、訪れる人々の心をくすぐって止まないのです。

[photos by shutterstock.com]

PROFILE

春奈

Haruna ライター

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。

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