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このブログはLSD LABに移転しました。

「シンプルである」ということの本当の意味

シンプルさの重要性が叫ばれ始めてからずいぶん時間が経ちました。特にAppleが大成功をおさめたくらいからだと思うのですが、書店に立ち寄ると必ずといっていいほど「シンプルさ」をテーマにした書籍を見かけます。こういった本では「シンプルだと気持ちがすっきりする」や「Apple製品はシンプルだから売れる、だからシンプルにしよう」というようなことばかりが語られています。 言うまでも無く、単純にApple製品のスタイリング(見た目のデザイン)を真似てもシンプルなプロダクトにはなりません。考え無しに「少ないは正義!」といってやみくもに断捨離しても、捨てたら困る物まで捨ててしまって後悔することになります。 それでは、そもそもシンプルとはなんなのでしょうか?一体どうすれば、あらゆるものをシンプルにデザインすることができるのでしょうか? ## シンプルさとは… シンプルさとは、「一点のブレもなく、進む方向が完璧に決まっている」状態だと僕は考えます。「コンセプトが明確である」と言い換えることも出来るでしょう。 コンセプトが明確だと、なにが必要でなにが不必要であるのか分かる様になります。すると、不必要なものをどんどん捨てる勇気が出てきます。 シンプルで大胆なデザインを得意とするアートディレクターの佐藤可士和さんは、まず医者の問診のような感覚でクライアントにヒアリングするそうです。企業の問題点を洗い出し、デザインの力で治療する。ヒアリングは、コンセプトを決定するための地道な努力であると言えるでしょう。 ## WiiとWii U ![](https://31.media.tumblr.com/6afe06fc6ba3a273d061230322805a0f/tumblr_inline_n8akugA7R51qz6qqe.jpg) 例えば、Wiiは「直感的なコントローラ」というコンセプトで大ヒットしましたが、それはこのコンセプトを完全に体現した「Wii Sports」というゲームがあったからです。「Wii Sports」を始めとして、WiiのほとんどのゲームはWiiリモコンとヌンチャクさえあれば遊べました。つまりWiiリモコンは、Wiiにとってこれ以上減らせない最小限である=シンプルである、ということになります。 一方、Wiiの次世代機Wii Uでは「Gamepadで画面が2つある」というコンセプトを打ち出したものの、「テレビなしでプレイ出来る」のか「2画面で非対称のゲームプレイが楽しめる」のか、どっちつかずでよく分からない上に、Gamepad、Wiiリモコン、Wiiリモコンプラス、ヌンチャク、PROコントローラなどなどゲームによって対応している(あるいは最適な)コントローラがバラバラです。必要がないのに無理矢理Gamepadを使わせようとしてくるゲームも多く、任天堂がWii Uで表現したいことは一体なんなのか、任天堂自身が混乱してしまっています。 これが「ブレている」状態で、この状態に陥ると何が必要で何が必要じゃないのか分からなくなってしまい、色々と余分なものを付け足してしまったり、必要なものを削除してしまったりするのです。なぜなら、余分かどうかを作っている人が判断出来ないからです。絶対にこうなんだ!というコンセプトさえしっかりしていれば、自信をもって取捨選択が出来るため、常にシンプルでいつづけられます。 余談ですがこのブログにも関連記事や人気記事といったセクションが下部にありますが、何も考えずに「ブログアクセスアップ法」みたいな記事を読んで設置してしまったので、そのうち削除しようかなと思っています。。 ## ではコンセプトの決め方は? ### 自分と対話する ブレないコンセプトを決めるために必要なこと…それは、常日頃から自分の人生のあらゆる事柄について、深くこだわることだと思います。もっと言うと、自分の内面との対話ということになるでしょうか。 例えばあなたの机(家に机がなければオフィスでもいいです)の上には何が置いてあるか、見ないで全て答えられるでしょうか?置いてあるもののうち、絶対に必要なものがどれで嗜好品がどれかという整理はできていますか?また、今の机の状態に満足しているでしょうか。中には考えたこともなかったという方もいるかもしれません。 僕はMacbookをスタンドに立て、ディスプレイを接続して、Wirelessなキーボードとトラックパッドを使っていましたが、ある日思い立って、Macbook以外をすべてどかしました。それ以来なんの問題もなく作業出来ています。「デザイナーだったら大きいディスプレイが必要なんじゃないか」「ラップトップだと肩が凝るんじゃないか」といった不安で使っていたのですが、実はそれらは全てまやかしでした。よくよく考えると、僕には必要なかったのです(必要な人もいると思いますが)。すると、机の上のスペースが大幅に広くなり、まさしく「シンプル」と形容すべき状態になりました。これが僕にとっての必要最小限だったのです。 このようなことを積み重ねると、「自分がどんなことをしたいのか」ということがどんどんハッキリしてきます。そうすると自分の中に軸ができて、物事を決める時に迷わなくなってきます。そしてそれが、ブレないコンセプトを作る為の土台になるのではないでしょうか。 ### とにかく書き出す 僕は1人会議することがよくあります。[UIデザイナー必須ツールメモ](http://uid-lab.tumblr.com/post/84800563526/ui)でも紹介した「DAY ONE」にしょっちゅうメモ書きしています。書くことで考えが整理され、問題点が浮かび上がってきます。

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カテゴリ: ライフスタイル
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デザイナーの場合

デザイナーは依頼者のコンセプトをヒアリングすることももちろん大事ですが、既に述べた様に世の中には自分が何をしたいのかハッキリしていない方も大勢いますので、一緒にコンセプトを作り上げる様に、導いてあげましょう。そこさえクリアすれば、あとはジェットコースターのようにコンセプトに沿ってひたすら作るだけです。

まとめ

やみくもに減らすことにこだわるのではなく、道筋をしっかり確定させ、ブレずにまっすぐ進むことで、真の「シンプル」が実現出来るのではないでしょうか。

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