カナダのヨーク大学の研究者ふたりが、空気中に蒸発したウォッカを使って2地点間で通信する方法を開発した。
研究者らは、このシステムを使ってカナダ国家『O Canada』の歌詞を送信することに成功。携帯電話が圏外などで必要な場合には、このシステムを使ってテキストメッセージを送ることが可能だという結論に至った。
12月19日付けで『Plos One』に掲載された論文で、研究者らは、ウォッカの特定の濃度を使って0と1のビットを表現した。そしてその「メッセージ」を、研究室内の約370cm離れた受信機まで(送風機を使って)漂わせた。受信機は、空気中のウォッカの濃度を検知して、メッセージを解読した。
速度が遅いし(3秒で1ビット)、距離も短いと思うかもしれない。しかし、携帯電話やWi-Fiが使えない閉環境で役に立つかもしれない、と研究者らは提案している。
彼らは、ロンドンの下水システムが詰まったときを例に挙げている。複数のロボットを地下に配備し、彼らが感知したことをこの分子通信システムを使って中継することができるかもしれないというのだ。
「EurekAlert」に引用されている、また別の研究者によれば、同様の分子通信システムは、人体内で薬やガン細胞などに狙いを定めようとするときなどの「ナノスケール通信」に使える可能性があるという。
TEXT BY CASEY JOHNSTON
TRANSLATION BY GALILEO