脳内神経細胞の接続、男女間で違い 米研究
このニュースをシェア
【12月5日 AFP】「女性は地図を読むのが苦手、男性はマルチタスクが苦手」──この古くさい先入観のような通説でも一理ありと思わせるほど、男女の脳内神経回路は異なっていると結論付けた研究結果が、2日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)で発表された。
米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)ペレルマン医学大学院(Perelman School of Medicine)の研究チームは、「コネクトーム」と呼ばれる脳内神経細胞の接続を示した回路図を精査する過去最大規模の研究を行った。
脳内の神経線維の走行を画像化する拡散テンソル画像(DTI)という技術で8~22歳の949人(男性521人、女性428人)を調査したところ、男性脳内のある領域では、前後をつなぐ神経連絡がより多く、知覚と協調的行動の連結性を容易にするような回路のつながりが示唆された。一方、女性では脳の左右の連結性が高く、分析能力と直感のつながりを容易にしていることが示唆された。
この結果から、男性は平均して地図を理解するようなシングルタスクにより優れ、一方の女性は記憶や社会的認知スキルに優れるためマルチタスクやグループ内での問題解決などを得意とする傾向があると論文は述べている。
また論文によると、13歳以下では男女の脳の神経回路に違いはあまりみられなかったが、14~17歳と17歳以上のグループでは明確な違いが見られたという。
論文共著者の一人、ルーベン・グール(Ruben Gur)氏は「男女の脳がこれほど互いに補完的であることは驚きだ。詳細なコネクトームの解明は、男女の思考法の違いについての理解だけでなく、性別に関連した神経疾患の根源についての理解も深めるものだ」と述べている。(c)AFP