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狂気の軌跡―構造論的歴史主義の視座 単行本 – 1988/9/20

5.0 5つ星のうち5.0 1個の評価

この問いの後景 これは文字通りの労作である。精神科医の手になる最近の注目するに足る仕事の一つであろう。何よりも目次がそのことを示している。第一部思想・芸術、第二部経済、第三部政治、第四部法、第五部自然科学と数学、第六部精神医療といった具合である。取り扱う対象が精神現象だからであろう。精神科医は一般に、医学の枠組みをこえた論議を展開したがる傾向をもつが、私の知る限り人文諸科学へとこれだけ目をくばった書物はわが国になかったのではないか。しかも、多くの文献が丁寧に引用されている。著者の学識に敬意を表したい。明敏な読者はすでにお察しのように、表題はフーコーの「狂気の歴史」をふんでいる。「……狂気のありのままの野性状態は、けっしてそれ自体としては復原されえないので、狂気を捕えている歴史の総体――さまざまな概念、さまざまな制度、法制面と治安面の処置、学問上のさまざまな見解――の構造論的な研究をおこなう」必要があるという指摘をふまえている。おそらく著者のオリジナルな見解なのであろう。「精神医療は近代に入ってからほぼ百年を単位として大きな変動を示しており、その百年も二〇年単位のより小さな変動の集積として現われる」。そして著者は全体を二つに分ち、第一篇「ナチュラリズムの時代と現代の始まり(一八六九~一八八六)」と第二篇「新理想主義の時代(ネオ・イデアリズム)と現代の祖型確立(一八八六~一九〇五)」とし、それぞれの二〇年における思想・芸術・経済・政治・法・精神医療のからみを論証する。最後になったが、著者は丁度二〇年前の反乱の季節に「目くるめく時をもった」一人である。この著名な反精神医学のリーダーが、あの反乱は何であったかと問うところがら本書は生れた。前景は精神医療への問いだが、後景は生への問い、生の根元としての歴史への問いである、という。このあたりに本書の魅力の見逃しがたい源泉を見出される読者も少なくないはずである。笠原 嘉

商品の説明

著者について

森山 公夫
1934年長野に生まれる。1959年東京大学医学部卒業。1960年東京大学医学部精神医学教室に所属。現職東京大学医学部精神神経科講師。著訳書「現代精神医学解体の論理(岩崎学術出版社),「心とやまい」(三一書房),ビンスワンガー著「うつ病と躁病」(みすず書房,共訳)

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩崎学術出版社 (1988/9/20)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1988/9/20
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 632ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4753388093
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4753388097
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