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終業式 (角川文庫) Kindle版

3.8 5つ星のうち3.8 47個の評価

かけがえのない、高校生だった日々を共に過ごした四人の男女。テストにやきもきしたり、文化祭に全力投球したり、ほのかな恋心を抱いたり――。卒業してからも、ときにすれ違い、行き違い、手さぐりで距離をはかりながら、お互いのことをずっと気にかけていた。卒業から20年のあいだに交わされた、あるいは出されることのなかった手紙、葉書、FAX、メモetc.で全編を綴る。ごく普通の人々が生きるそれぞれの切実な青春が、行間から見事に浮かび上がる姫野文学の隠れた名作。

商品の説明

著者について

1958年滋賀県生まれ。90年『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー。> 著書に『変奏曲』『喪失記』『ドールハウス』『レンタル(不倫)』他多数。 97年『受難』が直木賞候補となる。最近刊『ツ、イ、ラ、ク』。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B009GPMTHC
  • 出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (2007/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 416 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効にされていません
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 本の長さ ‏ : ‎ 13ページ
  • ページ番号ソース ISBN ‏ : ‎ 4041835119
  • カスタマーレビュー:
    3.8 5つ星のうち3.8 47個の評価

著者について

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姫野 カオルコ
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姫野/カオルコ

姫野嘉兵衛。1958年滋賀県出身。97年『受難』(文春文庫)が第一一七回直木賞候補、04年『ツ、イ、ラ、ク』(角川文庫)が第一三〇回直木賞候補、06年『ハルカ・エイティ』(文春文庫)が第一三四回直木賞候補、10年『リアル・シンデレラ』(光文社文庫)が第一四三回直木賞候補になった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

星5つ中3.8つ
47グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2014年12月21日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    ごめんなさい。やはり「このレターはだれが書いたか」から読みました。

    実際どんどん登場人物が書いていく手紙、本当なら、悦子と宏だけの往復書簡かと思いきや・・・いったい何人の人が出てきて
    悦子、宏、そして優子らの周りをめぐり、その手紙を通して、彼女ら彼らの「かけがえのない」人生を彩っていくのだろうか。
    それでもきちんと中心を貫く主人公たち。その1人1人に、姫野カオルコがほほえみかけるような最後のさわやかな文・・・
    最後のハッピーエンドの後(ネタバレだけどあの2人がついに紆余曲折の後再婚で、その祝福の手紙の文がまたいい)
    姫野カオルコが書いたやさしさ。元小説の最後の斉藤先生の青春に乾杯!のさわやかさ。

    そしてほかのエツとユウとヒロのほかにもすばらしい黒田や久米や美紀も実にいい。隠れた名作だと思う。
    5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2017年7月26日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    どうしても言えなかった言葉、言わずにいられなかった言葉・・・同じ時を共にした人達の心の内をこんな風に描き創りだす姫野さんは天才です。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2022年2月16日に日本でレビュー済み
    全編、登場人物の手紙(たまにFAX)だけで構成された小説。地の文がない。

    優子、悦子、都築が主人公で、高校生時代から30代半ばまでの彼らの恋愛や結婚人生が描かれる。主役3人以外でも、これぞ姫野ワールドというユニークで濃いサブキャラも登場する。前半の保健室の先生のくだりなどは、2020年作「青春とは、」にも出てくる怪しいシチュエーションで、姫野さんこのエピソードよっぽど好きなんだなーと、思わず噴き出してしまう笑。あと、妙齢よりもっと上の世代の腹の据わった強い女性を書かせたときの、姫野カオルコの筆致の冴え方に、改めて唸った。

    “自分の心の中を見ることを、人はふだん、しません。しないようにしてる。しないですむならしないですませたいんです。心の中を正直に見るということは怖いことだから。そこまで他人と濃密な係わりを持つということは、怖いことだから。けれど手紙って、そういう怖いことを、どんな支離滅裂な手紙であっても、いったんは脳で行わないと、書けないわけで”(p.168より)

    出会いの頃の期待感に満ちた手紙、好きという思いを伝える手紙、相手に気持ちが伝わらないもどかしい手紙、そっけないようで真意が痛いほど透けて見える手紙、別れを告げる手紙、心の奥底をさらけ出した(でも結局は投函されなかった)手紙。それら手紙のなかで登場人物に孤独に己に向き合わせていて、いつもの姫野作品らしく、あるいはいつも以上に、言葉がピュアで正直で、なんだろう、ほんと名言が多い笑、小説。

    “だれかを好きになるということは、それはどういうことかというと、相手の時間や領域や、自主性とかそういう、なんていうか、大事にしてることをぜんぶ踏みにじることなんだって思う。えーっ、て驚くかもしれないけど、きっとそういうことなんだと思う。”(p.321より)

    “高校のとき、それでも、楽しかった。ゲンソウを抱かせる、きみ以外の人間に、卒業したら会えるだろうと疑いなく信じていたからね。/ 年月を経て、知ったことは、ゲンソウを抱かせる人間になど、めったに会えないということでした。このことを、阪神が優勝した次の日の夜に、きみと会ったとき、私はつくづく知った。/ 「六甲おろし」のかかる店で、きみは、私がきみを励ましたと言うけれど、それはちがうんだよ。/ その人を励ませるのは、その人も自分を励ませる人だから。”(p.201より)

    さすが姫野カオルコ、引用するだけで胸が熱くなる。せつない。満足の一冊でした。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2016年7月12日に日本でレビュー済み
    高校時代については、主人公たちは躍動しており、ストーリー展開も巧みで、誰でも当時を懐かしく思い出せる工夫も盛り込まれていて楽しく読める。また彼らの大学時代までは素直に共感できる部分が大きい。しかし、それぞれが社会人になってからは、いかにも不自然で無理が目立ち、違和感を禁じ得ない。 読者への媚びとあからさまな山っ気がそこここにノイズのように顔を見せるので、読み進めようとする意欲を削がれることこの上ない。遠藤優子の人物造形が、ある段階からいきなりゆがんで動きがいかにも人工的になったり、ラスト近くで彼女と結婚する手品師が、どう見てもただのチンピラでなんとも滑稽である。都築クンは、なぜか高校を卒業したとたんに実に調子よくモテまくるのだが、いずれの恋愛もとってつけたようで苦笑させられる。著者にはぜひ、このような塩辛い評にも目を向けてほしい。 ゆめゆめ、「聡明な女性に小説家はいない」などという定説ができないためにも。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年7月14日に日本でレビュー済み
    この本を読んでいる時に「やあ!**ちゃん久しぶりだね!」なんて誰かに肩をたたかれでもしてごらんなさい
    「ひゃー!ごめんなさいごめんなさい!」と飛びあがってしまいそう・・・な、本なんです。

    全編、手紙なんです。
    ほらねー?罪悪感がむくむく湧いてきちゃうでしょう?普通に生きてたら自分あての手紙しか見ないですもんね。それを、一冊まるまる他の人の手紙なんですから。・・・見たい!でも本当は見たらダメな気がする!でも!・・・という雰囲気に包まれて、読み進める事になるわけです。

    で、短い手紙だと、ちらっと左下を見れば**より、と書いてありますから「ああ、あの子が書いた手紙かあ、どれどれ」と送り主が判っている状態で読めるのですが、長い手紙だとわからない状態で読むことになるんですね。
    どうしても先に知りたいんだけど!と言う場合は、パラパラ何枚かページをめくって誰が書いたのかな?と答えを見てから読めばいいのでしょうけれど、なんだか・・私の場合だと、だんだん意地になってしまって。答えを見ないで読んで「わーい当たってた!」とか「ええー違った!」とか。初めて登場した人だったりしたら「え?あんた誰?」となったりして。良い感じにドキドキしました。

    みんな成長していくのが感じられたり。好感を覚えたり、反対に本から手を放したくなるほどの嫌悪感を覚えたり。
    手紙しかないので「これって前の手紙からどれだけ時間が経ってるのな」とか「はっきり書いてないけど、これってもしかしてそういう事?」とか、普通の本より頭を働かせながら読みました。
    一つのページでしばらくじーっと考え込んだり、前のページの手紙に戻って読み返してみたり。楽しかったです。面白かった。
    誰が主人公かっていうと悦子なのかな?と思うけれど、手紙を書いている全員が主人公、ともいえるかな。
    私は優子が好きでした。昔の私に、似ているような気がしたから。この本を読んでいると昔の友達とか学校の事とか思い出されて、ジーンとしました。

    ぜひ読んでみてください。新感覚の読書時間になる事、うけあいですよ!お勧めです
    8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2016年7月22日に日本でレビュー済み
    高校生の同級生の男女4人が、進学、就職・・・・と様々な人生の出来事を経験し、その内容をすべて書簡のみで綴る意欲作。

    授業中に書く、馬鹿げた噂話のメモや手紙に始まり、手紙の内容が時系列とともに内容も深刻になっていき、彼らの成長(成功や躓き)が覗ける。そして、思わぬ展開に小説としての面白さも十分。

    30歳くらい以上の読者なら、高校生から30代くらいまでの自分の人生を重ね併せることもでき、身につまされたり、忘れかけていた思い出に浸ったりする人も多いと思う。特に、男子高校生が年齢とともに経験する、女性関係の心理描写は、女性である作者本人が経験したのではと思わせるほどリアルで舌を巻いた。

    書簡形式の小説は、作家に様々な制限を強いると思うが、行間を読む面白さがあり、ぐいぐい引き込まれた。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年8月20日に日本でレビュー済み
    高校生の男女4人の成長とともに、全編が手紙で進行する物語。
    どこにでもいるような高校生たちが、恋愛、受験、就職、結婚…と人生の階段を上がっていく一見平凡な展開でありながら、手紙ならではの生々しさが、物語に起伏と陰影、臨場感を与えている。
    出せなかった手紙、書けなかった感情、何でもないやり取りの隙間からこぼれ落ちる無数の言葉の破片。手紙の文章以上に、その背景の奥行きを読まされているような感覚で、まさに行間を読むための小説である。
    平凡さの中にある豊潤さと無数の傷に、改めてハッとさせられる。誰しも本当は、生きているだけで物語を紡げる存在なのだ。それこそ普通に生きていたら本人も周りも気づかないけれど、こうして光を当てればそのことが浮かび上がってくる。
    それにしても、『ツ、イ、ラ、ク』もそうだが、姫野カオルコは男女共学の微妙な、むずがゆいような空気を描くのが本当に上手い。時代背景は違っても、優子や都築くんは、確かに居た。自分も少なからずあんなふうだった…。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2004年2月25日に日本でレビュー済み
    どこにでもいる、高校生男女四人を中心にした恋愛小説。
    第一章「制服」での高校生活から、
    第二章「ルーズリーフ」ではそれぞれ別れて進学し、
    第三章「ネクタイ」では就職し、
    第四章「指輪」で、自分の家庭を築いて行きます。
    このように書くと、なんだかとても平凡な物語のようですが、僕にとっては、今まで沢山読んだ恋愛小説のなかでナンバーワンになりました。
    もちろんゴージャスな異国での大恋愛小説や、現世の常識を超越したファンタジックな恋愛小説も僕は好きなのですが、この物語のように僕の身の丈にあった恋愛小説が僕の胸に響くのだ、という発見がありました。
    四人がそれぞれ、試行錯誤しながら、自分の幸せをつかみ取る姿に憧れを感じました。頭で考えているだけではなく、実践し、傷つき、友達に支えられながら、前に進んで行く姿が素敵です。
    僕も、斯くありたい。
    そして、この物語を「好き」と言う人とは、無条件で親しくなれるような気分になりました。
    20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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