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脱施設 2002

施設/脱施設


■文献等
■ニュース など

◆20020430 知的障害者グループホーム、入所要件“撤廃”へ/厚生労働省――読売新聞

◆20020620 <講座・講演>――朝日新聞

◆20020830 施設から地域へ 知的障害者の自立へ、支援サービスの拡充を(解説)――読売新聞

◆20021002 西島衛治さん バリアフリー「脱施設」へ(交差点) /熊本――朝日新聞

◆20021118 施設の外で暮らしたい 地域に生きる知的障害者の本出版――朝日新聞

◆20021123 知的障害者「脱施設」へ 生活の足場、地域に 宮城の事業団宣言――朝日新聞

◆20021123 3割入所生活、日本は「特異」 知的障害施設「解体宣言」<解説> ――朝日新聞

◆20021124 知的障害者「脱施設」へ 地域に分散化−−宮城県福祉事業団方針――毎日新聞

◆20021125 「親なき後」に、やはり施設を(声)――朝日新聞

◆20021127 「船形コロニー」解体で「配慮を」−−仙台市長 /宮城――毎日新聞

◆20021128 「強制入院ではなく地域ケアで予防を」−−精神病院を全したイタリアのノルチョ医師――毎日新聞

◆20021130 障害者「脱施設」を 地域の支援重視−−基本計画の政府原案――毎日新聞

◆0021205 [みんな一緒]バリアフリー新世紀 大阪市でフォーラム 知的障害者を地域で支援――毎日新聞

◆20021205 「脱施設化」に慎重な姿勢−−障害者施設解体、県会で知事答弁 /宮城――毎日新聞

◆20021207 障害者支援費制度、来年度スタートなのに…「施設・事業体一つもない」が14.9%――毎日新聞

◆20021207 船形コロニー解体表明で県福祉事業団に「遺憾」申し入れ−−保健福祉部長 /宮城――毎日新聞

◆20021208 知的障害者の「脱施設」に政策転換 建設目標設けず 政府新プラン――朝日新聞

◆20021211 [記者の目]障害者の支援費制度=野沢和弘(科学環境部)――毎日新聞

◆20021214 [みんなの広場]障害者入所施設の充実も願う=主婦・大久保悦子・59――毎日新聞

◆20021216 「船形コロニー」解体表明 入所者家族、不安の声−−説明会に380人 */宮城――毎日新聞

◆20021218 施設が必要な子供もいます(声)――朝日新聞

◆20021222 自立支える介護を 浅野・宮城知事が川崎医福大で講演 /岡山――朝日新聞

◆20021222 県福祉事業団・田島理事長、来年3月末辞任の意向−−今期限りで /宮城――毎日新聞

◆20021224 脱施設へ受け皿整備 政府、目標値を決定 新障害者基本計画――朝日新聞

◆20021225 政治構造、再建の足かせ 調整力なく配分硬直 03年度予算政府案――朝日新聞

◆20021225 地域で「普通の生活」を 新障害者基本計画・プラン決まる――朝日新聞

◆20021225 障害者計画で「脱施設」を明確化−−在宅サービスなど目標値――毎日新聞

◆20021225 政府が「障害者基本計画」決定 ホームヘルパー6万人に――毎日新聞

◆20021226 障害者支援 脱施設へ地域の備えを 阿部真理子(私の視点)――朝日新聞

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◆20020430 知的障害者グループホーム、入所要件“撤廃”へ/厚生労働省――読売新聞

厚生労働省は、知的障害者の自立した生活を支援するため、グループホーム(指定地域生活援助事業所)の入居要件を事実上撤廃する方針を固めた。早ければ五月中にも通知を改正する。
 知的障害者グループホームは、十五歳以上が対象で、四―五人の入所者を一人の世話人が支援しているケースが多い。二〇〇〇年度末時点で二千六十三か所あり、一万七百二人が利用している。
 これまで入所するためには、〈1〉援助を受けずに日常生活を送ることが難しい〈2〉共同生活に支障がない程度に自立している〈3〉日常生活を維持する収入がある――の三要件をすべて満たす必要があった。要件撤廃は、二〇〇〇年からホームヘルプサービスの利用が可能になったことを受け、地域での生活支援強化で、「脱施設」を促す狙いがある。

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◆20020620  <講座・講演>――朝日新聞

講演・新障害者プラン 30日午後1〜4時、高松市田村町の県身体障害者総合リハビリテーションセンター内福祉センター。楠敏雄DPI(障害者インターナショナル)日本会議副議長が「脱施設・地域生活支援を」をテーマに、障害者を取り巻く課題について講演する。資料代500円が必要。問い合わせはピアネットワーク香川(087・867・4449)へ。

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◆20020830 施設から地域へ 知的障害者の自立へ、支援サービスの拡充を(解説)――読売新聞

知的障害者の三人に一人が施設で暮らしている。施設から地域生活に移るには、地域福祉サービスの充実を図る必要がある。 (社会保障部 小山孝)
        ◇
 「障害者を地域に出さない入所施設は、(国や自治体が交付した)お金を返す仕組みにすること。税金の無駄遣いです」。今月二十七日、都内で開かれた厚生労働省の研究班主催のシンポジウムで、知的障害を持つ男性二人が障害者施策への提言を行い、施設を出て地域で暮らすための環境整備を求めた。
 提言者の一人、徳島県の鶴居進さん(45)は十歳代を入所施設で過ごしたが、今は町営住宅で一人暮らし。「施設は日課も決まっている。今は自由があっていい」と語るが、日本では鶴居さんのような例は少数派だ。
 全国の知的障害者や障害児は約四十五万人。うち、約十二万人が入所施設で暮らす。日本知的障害者福祉協会によると、入所施設の大半を占める更生施設利用者のほぼ半数が在籍十年を超える。研究班の調査では、一年間に入所施設を出て家庭に戻るなどした人は全体の1―2%。施設は本来、「リハビリテーションをしながら自立した生活を目指す場」のはずだが、実際には「生活の場」になっている。
 知的障害者福祉の世界では「施設で保護する方が本人も幸せ」という考えが強かった。家族も含め地域生活に消極的な関係者が多く、施設の増設要望が頻繁に出されている。だが、障害者本人は施設での生活に居心地の悪さを感じる場合が多い。北海道知的障害施設協会の調査では、今後も施設生活を望む入所者は五人に一人だった。
 施設から出て地域で生活する場合、アパートなどでの一人暮らしには、身の回りの世話や外出のつきそいなどをしてくれるホームヘルプサービスが有効だ。グループホームなら、個室を備えた共同住宅で四―七人が一緒に暮らし、世話人に食事などの世話をしてもらうことになる。
 施設生活者には、こうした支援があれば障害が重くても地域生活を送れる人が多い。中・軽度の人の75%が施設で配膳(はいぜん)の手伝いをしており、他の入所者の清掃、洗濯までできる人も三割いる。
 だが、問題はサービス量の不足だ。グループホームは、現行の障害者プランで約一万千人分しか確保されていない。ホームヘルプは、「要望がない」と制度すらない市町村も多い。生活コストの問題もある。入所施設の場合、利用者負担は月に三万―四万円程度だが、グループホームは都市部なら家賃や食費などで月十万円はかかる。
 政府は、来年度から五か年計画の「新障害者プラン」を策定中で、年内にも大枠が決まる。だが研究班によると、知的障害者関係の国の予算は従来、約七割が入所施設に使われており、地域生活支援は三割。研究班のメンバーでもある三田優子・愛知県コロニー発達障害研究所研究員は、「予算の比率を変えない限り地域移行は進まない。プランには入所施設の新設は盛り込まず、地域での生活支援を充実させるべきだ」と訴える。
 来年度からは、障害者自身がサービスを選んで契約する「支援費制度」が始まる。「地域での暮らしを支える」という理念の実現には、グループホームやホームヘルプなどの拡充や、経済的負担軽減のための支援が欠かせない。

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◆20021002  西島衛治さん バリアフリー「脱施設」へ(交差点) /熊本――朝日新聞

 「障害者や高齢者が、施設の中ではなく、街なかで普通の暮らしを楽しむ『脱施設』が目標」
 バリアフリーデザイン研究会の西島衛治会長(52)はそう語る。9月末、バリアフリーへの取り組みが認められ、内閣府から官房長官表彰を受賞した。九州地区では唯一の受賞だ。
 玉名市の九州看護福祉大で教鞭(きょうべん)をとるかたわら、建築士や医師、社会福祉士らが参加する研究会を主宰する。段差をなくしたバリアフリー住宅を設計したり、公共施設の点検を自治体から請け負ったり。「粘り強く本人の希望を聞いて、相手のニーズを的確につかむことが、使いやすさにつながる」と考えている。
 親の介護に備えて、自宅の玄関やベランダに段差はない。エレベーターを取りつけるスペースも用意した。「バリアフリーがより浸透するよう、これからも積極的に活動したい」

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◆20021118 施設の外で暮らしたい 地域に生きる知的障害者の本出版――朝日新聞

知的障害のある約13万の人たちが、入所施設で暮らす。家族の切実な願いから施設が増やされてきたが、本人はどんな思いでいるのか。政府が検討中の新障害者プランに障害者本人の声を反映させたいと、施設を出て地域で暮らす人たちの声を集めた本「もう施設には帰らない 知的障害のある21人の声」=写真=が来月出版される。実名で語るこうした本はめずらしい。
 
 親や施設関係者でつくる「10万人のためのグループホームを!」実行委員会が企画した。メンバーで「全日本手をつなぐ育成会」権利擁護委員長の野沢和弘さん(43)は、「親亡き後も我が子が安心して暮らせる場として、親が入所施設を望んできた。本人がどんな気持ちでいるのか、親や社会に知ってほしい」という。
 生い立ちから現在までを本人が語るスタイル。支援者が本人から聞き書きした。ありのままの言葉を生かし、補足説明や施設の現状・問題点の解説を加えて、わかりやすくした。
 登場するのは27歳〜54歳の男性16人、女性5人。施設生活は1年〜40年。施設については「職員が体を心配してくれた」というものもある。だが、「異性の入浴介助をさせられたのが恥ずかしかった」「ほかの子とロープでつながれた」という訴えもある。
 共通するのは自由がない息苦しさと「施設には絶対帰りたくない」「地域サービスを増やしてほしい」という思いだ。
 施設関係者や研究者、弁護士、親など21人の文章も紹介した。「障害の重い娘は言葉をもたないが、多くの本人の声が代弁してくれる。本人の言葉で福祉を変えたい」との母親の文章も紹介されている。
 世界的に「脱施設」の流れにあるが、日本では入所者は増え続けている。入所後、地域に出られる人は1%だ。
 政府はいま、来春から5年間の障害者施策である「新障害者プラン」を検討中だが、入所施設の増設や削減については決まっていない。中央法規出版。本体1500円。
 
 ◇自由がうれしい 一軒家に4人で生活 北海道・大滝さん

 本に登場する北海道小樽市の大滝紀久子さん(54)=写真中央=は、36歳のとき母親を亡くし、親類の紹介で施設に入った。9年後、職員に「地域で暮らしてみないか」と勧められグループホームへ。
 一軒家に同じ施設から出た女性たちと4人で暮らす。3年前から菓子店で働いている。「施設は朝6時半の起床から夜9時の消灯まで、食事や入浴など日課が決まっていた。狭い4人部屋で自分のふとんを踏まれるのがいやだった」
 ある職員が当直のときは新聞紙を丸めて入所者の頭をたたいたのが忘れられない。職員は遊びのつもりなのだが、「される方はだれも喜んでいない。見ているのがいやだった」。施設は「憶病な人間をつくる」と言う。
 いま、自由がうれしい。最初はあまり話せなかったが、障害のある当事者の集まりに参加したのを転機に、シンポジウムでも発言するようになった。
 大滝さんから聞き取りをした花崎三千子さん(68)は、長年入所と通所施設の運営にかかわってきた。「どんなにいいといわれる入所施設でも、長くいると個性やわくわくする気持ちが失われる面がある。知的障害者は考える能力がないと誤解されているが、感じ、考え、傷つきながら生きている。その声に耳を傾けるべきだ」

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◆20021123  知的障害者「脱施設」へ 生活の足場、地域に 宮城の事業団宣言――朝日新聞

宮城県福祉事業団は23日、知的障害者の入所施設の「解体宣言」をする。「宮城県船形コロニー」(同県大和町)の入所者485人を、10年までに地域のグループホームなどに移行させる。世界的に「脱施設」の流れが進む中、日本は入所施設が増え続け、今も約13万人が施設で暮らす。これだけ大規模な地域移行は全国で初めて。同事業団はほかの知的障害児・者入所施設でも同様の移行を行う方針だ。(3面に解説)
 
 船形コロニーは、73年設立。入所者の大半は重度の知的障害者だ。
 同事業団は来年、移行のための委員会を設置し、地域での受け皿や支援体制について検討する。約10の民間福祉団体と協力して、障害者が少人数で生活するグループホームを約100カ所増やすほか、消防や警察、医療機関と連携して緊急時に備える支援体制を整備する。費用は、来春から始まる支援費制度を利用するほか、本人の障害基礎年金などを充てる。
 田島良昭理事長は、長崎県内で障害者を支える地域ネットワークを作った実績を買われ、6年前、宮城県の浅野史郎知事に招かれた。地域移行については、就任以来、職員や親の会と話し合っており、現在、約100人が施設に籍を置いたまま、県内約20カ所の住宅で生活している。
 田島理事長は「どんなに改善しても入所施設は特別な場所。施設での生活を望む障害者はほとんどいない。社会で普通に暮らすことを進めたい」と話す。同コロニーの親の会「育成会」副会長の佐藤清さんは「地域に十分な支援体制ができるかが心配。それができるなら、地域で暮らさせてやりたい」という。
 日本では成人の知的障害者の35%が施設で暮らす。入所後、地域に出られる人は、入所者の1%にすぎない。80年代の末から、一部の施設を中心に地域への移行が始まったが、予算不足や受け入れ体制の不備からなかなか進まない。
 厚生労働省障害保健福祉部の大塚晃専門官は「地域移行は国の方針でもあり、今回の試みはその流れをより明確にするものとして評価したい」と話している。政府が現在策定中の今後5年の障害者施策の基本となる新障害者プランにも影響しそうだ。
 宣言は23日、仙台市内で開かれる事業団主催のセミナーで行われる。
 
○新しい試み、全国に発信
 浅野宮城県知事の話 「知的障害があっても地域に属している」との哲学に立つもので、県のめざす方向と同じだ。支持したい。地域で支える仕組みをしっかり作って進めることが必要で、その見通しがあっての方向性だと思う。全国にも発信しうる新しい試みだ。

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◆20021123 3割入所生活、日本は「特異」 知的障害施設「解体宣言」<解説> ――朝日新聞

全国の知的障害児・者は約46万人。うち3割の約13万人が入所施設で暮らす。その半数は、10年以上の長期入所だ。80年代から北欧や米英を中心に脱施設が広がり、スウェーデンのように施設入所者がほとんどいない国もある。こうした潮流の中で、日本は特異な存在といえる。
 (1面参照)
 政府は障害者も地域で暮らす「ノーマライゼーション」を掲げながら、実際は施設を増やし続けている。
 入所施設は、福祉サービスが何もない時代、「親亡き後」を心配する家族の切実な願いによって造られてきた。だが近年、障害者本人や親から「施設での規則に縛られた集団生活でなく、社会で普通に生きたい」と望む声が上がっていた。
 今回の「解体宣言」には、入所偏重の施策への問題提起と、「もう新たには入れない」との決意が込められている。実現には、施設に入らなくてすむように、地域社会での支援の強化が必要だ。
 策定中の新障害者プランをめぐる論議では、知的障害者の入所施設をさらに増やすべきだ、との意見も根強い。だが、それは地域でのサービスが足らない結果でもある。厚生労働省の研究班によると、全体の3割の人が暮らす入所施設に予算の7割が使われ、グループホームへの予算の伸びはわずかだ。
 来春、障害者本人がサービスを選んで契約する「支援費制度」が導入される。宣言は、予算の流れを施設から地域へ、と迫るものでもある。
 (生井久美子)

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◆20021124 知的障害者「脱施設」へ 地域に分散化−−宮城県福祉事業団方針――毎日新聞

宮城県大和町の知的障害者の入所施設「船形コロニー」(入所者485人)を運営する同県福祉事業団(田島良昭理事長)は23日、同コロニーの「解体」方針を明らかにした。入所者を各家庭に戻すのでなく、10年までに全員をグループホームなどに移す計画で「脱施設」のノーマライゼーション推進を目指す。
 同事業団は県から委託を受け、同コロニーなど県内12施設を運営。うち73年設立の同コロニーについて、入所者の地域への分散化構想を打ち出した。「脱施設」が叫ばれる中、家族らとも協議を重ねてきたといい、来年、具体的な受け皿づくりのための検討委員会を設置。地域での支援態勢づくりに取り組む一方、県や市町村との協議も進める。
 受け皿として、NPO(非営利組織)や市町村の社会福祉協議会などと連携し、障害者が少人数で生活するグループホームを100カ所程度を新設。同事業団は各ホームを管理する拠点施設の機能を担う。
 厚労省の仁木壮健康局総務課長は「これからは全国的な流れになるのではないか」との見方を示し、浅野史郎・同県知事は「構想を今後よく確認するが、実現すれば(新たな障害者福祉を)宮城から発信する取り組みになり得る」と話している。【飯山太郎】

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◆20021125  「親なき後」に、やはり施設を(声)――朝日新聞

無職 有馬こう(茨城県日立市 59歳)
 13日の社説「障害者プラン 地域で暮らせる仕組みを」を読みました。23日には「知的障害者『脱施設』へ」と、宮城県の取り組みが大きく報じられました。
 私は59歳の母親で、娘は30歳、重症の心身障害者です。7年前に夫が他界、以来1人で介護の24時間を戦っています。社説の「なにより優先したいのは、これ以上、入所施設はつくらないという基本姿勢を打ち出すことだ」というくだりに腹立たしさを覚えました。
 「親なき後」を考える人にとって、施設こそ必要です。頼みの施設はいつも満杯で、空き待ちが続いています。私の住む市内には一つもありません。もの言えぬ、動けぬ重症者たちが親なき後、地域で自立して生活することは、たとえ本人が希望したとしても、仕組みが全くできていないというのが実感です。
 連れて出れば射るような好奇の目を向けられ、「近づかないで」と疎まれるのが現実ですが、「育てられない家に障害児を神様は授けない」という言葉を励みに暮らしています。
 施設に入所できる日が私の定年だと思っています。かといってすべて手を引くわけではありません。重症の心身障害者の施設はまだ足りないと私は思います。

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◆20021127 「船形コロニー」解体で「配慮を」−−仙台市長 /宮城――毎日新聞

 県福祉事業団が知的障害者入所施設「船形コロニー」(大和町)の解体方針を示したことについて、仙台市の藤井市長は26日の会見で、「(脱施設の)方向性は理解できるが、受け皿を整えていない状況。市町村に混乱が生じるかもしれず、十分に配慮してほしい」と注文を付けた。【高橋昌紀】

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◆20021128 「強制入院ではなく地域ケアで予防を」−−精神病院を全したイタリアのノルチョ医師――毎日新聞

◇精神障害者の犯罪対策「心神喪失者医療観察法案は誤り」

 精神病院を全廃したイタリアで、そのきっかけになった先進的な地域ケアに取り組むトリエステ精神保健センター副所長、ブルーノ・ノルチョ氏(57)が来日し、毎日新聞のインタビューに応じた。日本では再び重大事件を起こす恐れのある精神障害者を強制入院させる「心神喪失者医療観察法案」が審議中だが、ノルチョ氏は「精神障害者による事件は地域ケアの向上でこそ予防できる」と強調した。【精神医療取材班】

 −−日本の地域医療、福祉をどう思うか。

 患者の家族の相談先が病院になっている。その前に相談できる所があれば、入院しなくて済むケースも多いのではないか。日本社会はストレスが強い。社会のスピードについていけない弱者の存在を認め、彼らが自由に暮らせる体制を話し合って作る必要がある。

 −−地域医療の充実で病状の悪化を防ぎ、事件を防ぐことは可能か。

 トリエステでは精神障害者の犯罪率は落ちている。どんな社会であれ、地域サービスの向上が悲劇を防ぐ一助になる。

 −−イタリアではどんなケアをしているのか。

 精神病院の閉鎖を定めたバザーリア法が78年に制定され、00年には全国約50の病院が全廃された。以前は、約10万人が社会に危険であることを理由に収容されていた。

 −−転換の契機は。

 世界の脱施設化の流れを背景に、トリエステの医師バザーリアが改革に乗り出した。61年以降、家族とかかわる地域密着型の試みを始め、私を含む若い医師や看護師、ボランティアが加わった。患者が何を必要としているのかを一緒に模索した。トリエステの入院患者は約1200人(71年)から100人(78年)に減った。重症患者もリハビリで地域生活が可能となった。

 −−でも、イタリアには保安処分があるが。

 重大事件を起こし責任能力がなく、社会的に非常に危険と判断された人を収容する司法精神病院が現存する。だがトリエステで同病院に入所した患者は、71年の20人から98年にはゼロになった。手法や人権上の問題などで論議があり、いずれ閉鎖されるのは間違いない。

 −−心神喪失者医療観察法案をどう考えるか。

 国の政策としても、精神医療としても、残念ながら間違いだと思う。家族や地域でのさまざまなケアが、悲劇の予防になる。日本が最善の方向に歩むことを願う。

 《ノルチョ氏の活動》

 ノルチョ氏は、約30年前から精神医療改革に取り組む。人口約25万人のトリエステでは、精神病院の代わりに5カ所の精神保健センターを設け、それぞれ約40人のスタッフが地域に出向き、患者や家族に医療サービスを提供。24時間体制で対応し、病状の悪化を防いでいる。今回は、法案の廃案を求める弁護士や市民らの招きで来日。各地で講演を続けている。

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◆20021130 障害者「脱施設」を 地域の支援重視−−基本計画の政府原案――毎日新聞

障害者施策の今後10年の基本方針を定める政府の「新障害者基本計画」(原案)が29日、明らかになった。地域生活の基盤整備を重点課題とし、「入所施設は真に必要なものに限定する」と明確に「脱施設化」を打ち出した。知的障害者については、多くの先進国で入所施設が解体されているが、日本では10万人以上が施設で暮らし、現在も増設されている。同計画は「障害の有無にかかわらず人格と個性を尊重し支え合う共生社会」を理念に掲げており、日本の障害者福祉も脱施設化に向けて抜本的な政策変更が進められることになる。
同計画は「建物、情報、制度、慣行などでのバリアフリーの推進」「地域での自立生活を基本に、障害者自らがサービスを選択できる援助体制づくり」などを強調。施設サービスの再構築については「『障害者は施設』という認識を改めるため、保護者、関係者、市民の地域福祉への理解を促進する」として、(1)入所施設は地域の実情を踏まえて真に必要なものに限定する(2)障害の重度化や高齢化に対応する専門的ケアの確立(3)施設の一層の小規模化、個室化を図る−−と明記した。
 精神障害者は、約33万人が入院しているが、「できる限り地域で生活できるようにするため、居宅支援事業の普及を図り、退院可能な人の社会復帰のために必要なサービスを整備する」とした。
 また、知的障害者や精神障害者本人の政策決定プロセスの関与を支援することも明記した。12月下旬に閣議決定し、正式発表される。【野沢和弘】

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◆20021205 [みんな一緒]バリアフリー新世紀 大阪市でフォーラム 知的障害者を地域で支援――毎日新聞

知的障害のある人が入所施設ではなく、地域で暮らせる支援のあり方を考える国際フォーラム「地域にいきいき スウェーデン・英・日、3カ国に見る地域移行」(同実行委主催、全日本手をつなぐ育成会・毎日新聞大阪社会事業団など後援)がこのほど、大阪市天王寺区であり、約200人が参加した=写真。
北欧など海外では90年代から、知的障害者が施設に入所しない「脱施設化」が広がっているが、日本には依然多くの大規模施設があり、約13万人が入所している。
 フォーラムでは、スウェーデンで施設解体に携わったベタニアホーム協会のアンデシュ・ベリストローム前副理事長と英国・ブラザーズ・オブ・チャリティサービス協会のルーシー・ジョーンズ部長が、取り組みを報告。ベリストローム氏は「入所施設は強制収容所のようで、社会が障害者を除外することはやめるべきだ」と強調した。続いて両氏と、宮城県船形コロニー(同県大和町)を解体する同県福祉事業団の田島良昭理事長、厚生労働省の大塚晃・障害福祉専門官の4人が討論。田島理事長は「重い障害の人は、地域では暮らせないと思い込まないでほしい。本人に必要なサービスを作ることが大切だ」と語った。 【遠藤哲也】

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◆20021205 「脱施設化」に慎重な姿勢−−障害者施設解体、県会で知事答弁 /宮城――毎日新聞

 浅野史郎知事は4日の県議会一般質問で、先月解体方針が明らかにされた大和町の知的障害者の入所施設「船形コロニー」以外の障害者施設の解体について、「『脱施設化』の流れは広がっていくと思うが、すべての入所者が早期に地域生活に移行していくというのは難しい」と慎重姿勢を見せた。
 浅野知事は「障害者福祉施設が不足している中で、県が率先して解体を進めれば、サービスの低下と福祉の貧困を拡大してしまう」と指摘。「利用者本人や家族、市町村など関係機関との間で、あるべき姿を検討すべきものだ」と述べた。
 船形コロニーの解体についても「ノーマライゼーションに向け一層の展開を図っていきたいという表明であり、問題を一つ一つ解決した後に最終的に解体するという方向が示されたと受け止めている。条件整備を進めていかなければならない」と強調した。
【野原大輔】

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◆20021207 障害者支援費制度、来年度スタートなのに…「施設・事業体一つもない」が14.9%――毎日新聞

◇サービス態勢作り急務−−市町村調査

 来年度から障害者が福祉サービスを業者と契約して受ける支援費制度が実施されるが、支援費対象の施設・事業体が1カ所もない市町村(政令指定市を除く)が14・9%に上ることが、「きょうされん」(旧共同作業所全国連絡会、東京都中野区)の全国調査で明らかになった。支援費制度は、行政による措置ではなく、障害者自身が福祉サービスを選べるようにするために導入されるが、肝心の「選べる」サービスが大幅に不足している実態が浮き彫りになった。支援費制度の実施まで4カ月。国や市町村が抜本的な改善を求められるのは必至だ。

 支援費制度は市町村が運営にあたり、入所・通所施設のほか、特に政府が重視しているホームヘルプやデイサービス、グループホームなどの地域福祉サービスが対象だ。

 調査は全国3234市町村が対象で、すべてから回答を得た。それによると、通所型施設を1カ所も設置していない市町村は73・0%。グループホームがないのは73・1%、デイサービスがないのは86・6%、ショートステイがないのは60・9%だった。これら地域福祉サービスを提供する事業体がすべてそろっている市町村は1・0%しかなかった。政府は新障害者基本計画で「脱施設化」を明確に打ち出しているが、受け皿となる地域福祉の貧困さが際立っている。

 一方、入所施設も含めた支援費対象のサービスがすべてある市町村はゼロで、1カ所もない市町村は14・9%に上る。特に、人口5万人未満の市町村での施設・事業体の不在が目立つ。

 各市町村の地域福祉の実情が具体的に明らかにされたのは初めて。厚生労働省障害福祉課は「地域福祉サービスが不足しているのは事実。市町村に拡充を働きかけ、国もバックアップする」と話す。【野沢和弘】

 ◇地域で暮らす知的障害者に予算を−−研究者ら緊急アピール

 地域で暮らす知的障害者への予算措置が不十分として、東京学芸大の加瀬進助教授(障害児教育)ら47人の研究者が6日、厚生労働省に改善を求める緊急アピールを提出した。

 全国で約46万人いる知的障害者のうち約7割は施設に入所せず、地域で暮らしている。しかし、知的障害にかかわる国などの予算の7割は、入所施設関係に回されており、予算面の「施設偏重」が続いている。

 緊急アピールは、(1)策定中の新障害者プランで「地域生活支援基盤整備」を最重要項目とする(2)入所施設偏重型予算を改め、地域生活支援へシフトする(3)来年度、障害者支援費制度が導入されると、施設入所者の自己負担が増えるが、これにより浮く約200億円分の公費を地域生活支援に回す−−ことを求めている。【須山勉】

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◆20021207 船形コロニー解体表明で県福祉事業団に「遺憾」申し入れ−−保健福祉部長 /宮城――毎日新聞

県保健福祉部の加藤秀郎部長は6日、知的障害者の入所施設「船形コロニー」の解体を表明した運営者の県福祉事業団(田島良昭理事長)に対して、「県は表明の内容について知らず、脱施設の理念には賛成できるが、手続きに誤りがある」として遺憾だと申し入れたことを明らかにした。同日の県議会保健福祉委員会で述べた。

 同委員会では委員から「突然の表明で入所者の家族が動揺している」「解雇を心配している職員が多い」「船形コロニーは重度の入所者が多く、解体で困る人もいる」などの指摘が相次いだ。【野原大輔】

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◆20021208 知的障害者の「脱施設」に政策転換 建設目標設けず 政府新プラン――朝日新聞

政府は、知的障害者の政策について現在の施設入所中心から地域の中で生活する「脱施設」に転換する方針を固めた。これまで施設を増やしてきたが、03年度から5年間の「新障害者プラン」では新たな入所施設建設の数値目標を盛り込まない方針だ。地域での新たな受け皿として、障害者が少人数で生活するグループホームの拡充も検討されている。
 03年度から10年間の障害者政策の基本方針を示す「新障害者基本計画」では、「本人の意向を尊重し、入所者の地域生活への移行を促進する」「障害者は施設という認識を改める」「入所施設は真に必要なものに限定する」などとして脱施設の方向を打ち出す方向だ。12月中に閣議決定される。
 多くの先進国では脱施設が進んでいるが、日本では約46万人の知的障害者のうち約13万人が施設で暮らし、その多くが10年以上の長期入所だ。
 現在の障害者プラン(96〜02年度)は、障害のない人と同じように社会の一員として暮らす「ノーマライゼーション」の理念を掲げてはいるが、実際には約9万5千人分の知的障害者入所施設の整備目標を立て、建設を進めてきた。
 厚生労働省は新プランで数値目標を設けないことについて、「施設を今後一切造らないということではないが、目標を掲げて整備を促進することはノーマライゼーションの理念と整合性がとれない」としている。新プランは12月中に策定される。
 入所施設を巡っては、障害者や家族から「社会で普通に生きたい」と、グループホームなどで暮らすことを望む声が高まっている。

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◆20021211 [記者の目]障害者の支援費制度=野沢和弘(科学環境部)――毎日新聞

◇「選べる」受け皿あってこそ−−予算は地域福祉に回せ

 あと3カ月余りで支援費制度が始まる。行政の判断による措置ではなく、障害者自身が施設や地域福祉サービスを選んで契約する。それが支援費制度である。「選ぶ」「契約」というキーワードは障害者の現状を大きく変える可能性がある。しかし、それは「選ぶ」だけの福祉サービスがあってこそだ。地域福祉が絶対的に不足したままでは、支援費制度の崇高な理念も画餅(がべい)に過ぎない。現在、政府が策定中の新障害者プランや来年度予算に、できる限り地域福祉の拡充を盛り込んでほしい。

 「入所施設は地域の実情を踏まえて、真に必要なものに限定する」「『障害者は施設』という認識を改めるため、保護者、関係者、市民の地域福祉への理解を促進する」。新障害者基本計画(原案)にはこんな言葉が並ぶ。今後10年の日本の障害者福祉の根幹を定める計画だ。どんな障害があっても街で暮らすというノーマライゼーションの理念の下、欧米諸国では知的障害者の入所施設が解体されている。日本でも宮城県福祉事業団が大規模入所施設の解体宣言をしたのをはじめ、脱施設化の動きは各地で起きている。

 ところが、施設が解体された後の受け皿である地域福祉はどうかと言えば、これが惨たんたるありさまだ。小規模作業所の全国組織である「きょうされん」(東京都中野区)が全国3234市町村を調査したところ、グループホーム、ホームヘルプ、ショートステイなどの地域福祉サービスの事業者がすべてそろっている市町村は1%に過ぎないことが判明した。これでは、入所施設を出たくても出られるわけがない。

 地域で暮らす障害者1人にかかる福祉サービスの費用は、入所施設にいる障害者の3分の1とも4分の1とも言われている。入所施設では生活に必要なものは施設側が用意するため障害年金はたまる一方で、数千万円の貯金がある人も珍しくはない。それに比べ、地域でグループホームやアパートに暮らしている人の多くは年金を生活費に回してまだ足りないのが現状だ。知的障害者全体の約3割が入所施設にいるが、この3割の人々に予算全体の7割が投入されている。

 それでも障害者が入所施設を必要としているのならいい。北海道福祉協会の98年の調査では「入所施設にそのままいたい」という障害者は18%に過ぎない。隔離された空間で同じ顔ぶれの仲間と単調な毎日を延々と過ごすのである。冷えた食事、集団での入浴、歯みがきのための行列……そんな施設は珍しくない。障害者がどんな思いで暮らしているのか、親や職員には分からないだろう。支援費は障害者本人に対して支給され、本人の希望する福祉を提供される制度であることを忘れてはならない。

 入所施設必要論の根拠として、大勢の障害者を1カ所に集めて福祉サービスを集中した方が手厚い援助ができる、という考え方がある。私の知っている児童入所施設は、一つの建物に大勢が住むのを改め、少人数が暮らすコテージのような棟をいくつか建てた。行政からは反対されたが、台所も別々にした。家庭的な環境に移った障害児は驚くほど生き生きしてきたという。毎日の食事作りに職員の手がかかることで、注意がおろそかになり事故が起きやしないかと行政は心配したが、現実は逆だった。夕食を作る音やにおいがすると、子供たちはうれしそうに台所に集まるようになった。食費も全体で年間数百万円浮いた。毎日安くて良い食材を必要な分だけ買うようになったからだ。大規模施設での集団生活が、個々の障害者への援助についても、経済的にも、非効率であることを物語っているのではないだろうか。

 「地域福祉が足りないのは分かっているが、こんな財政難の折だから……」と厚生労働省の担当課長は言う。しかし、まったく手立てがないわけではない。入所施設利用者の自己負担のうち「日常生活費」は控除対象だったが、実際には日常生活に必要なものは施設側が用意しているため、支援費制度では控除対象からはずされることになった。それに伴い国所管の予算だけでも年間80億〜100億円が浮くという。これを、重い負担にあえいでいる地域生活者のために回すべきだ。厚生労働省は支援費の導入にあたり、「予算の削減はしない」と再三約束してきた。だからこそ地域福祉の財源に回さないとつじつまが合わないではないか。予算の流れを地域福祉へ変えるまたとない好機を逃してはならない。

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◆20021214 [みんなの広場]障害者入所施設の充実も願う=主婦・大久保悦子・59――毎日新聞

(茨城県取手市)

 今後10年の障害者施策方針を定める政府の「新障害者基本計画」を読みました。その中の「脱施設」の文字に一瞬、暗然となりました。が、読み進むうちに、「入所施設は地域の実情を踏まえる。施設の一層の小規模化、個室化を図る」などの記載があったため、そこにいちるの望みを持つことができました。

 32歳の私の息子は、身辺の自立もままならぬ重い知的障害者です。現在は市立のデイケアセンターへ通い、その集団生活の中でのわずかな成長を家族で喜ぶ毎日です。

 生涯を通じ保護と指導が必要であり、さまざまな場面を想定しますと、親亡き後の彼の幸せは、入所施設に託すのが妥当だと考えています。

 一方、軽い障害者のための地域福祉施策の一つであるグループホームは、数人の仲間が、世話人の助けを得ながら、生活の自立を目指すものですが、これはこれで非常に意義深いことです。

 地域福祉重視イコール脱施設ではなくて、入所施設の充実をも考慮してほしいと願うものです。

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◆20021216 「船形コロニー」解体表明 入所者家族、不安の声−−説明会に380人 */宮城――毎日新聞

◇「脱施設化」いいが…道筋示されず−−県福祉事業団説明会に380人

 知的障害者の入所施設「船形コロニー」(大和町、入所者478人)を運営する県福祉事業団は15日、施設解体を表明したことについて、入所者の家族らに説明会を開いた。田島好昭理事長は「入所者本人の幸せのために『脱施設化』を進め、地域で支える仕組みを作ろう」と訴え拍手も起きたが、解体までの具体的な道筋は示されず、「本当にできるのか」「親が年をとって面倒みれなくなったらどうするのか」など家族からは不安の声が相次いだ。【野原大輔】

 出席した家族ら約380人に、田島理事長は「入所施設は医療面やサポート環境などで優れているが、本人の満足度は地域生活のほうが高い」と指摘。2010年を目標に解体し▽重度障害者のグループホーム整備▽介護保険の対象を障害者に広げる−−などを全国に訴えていくと説明し、「来年度から支援費制度(障害者が福祉サービスを業者と契約して支援を受ける制度)が始まり、『施設に入ってそのまま一生を過ごす』という時代は終わる」と強調した。

 しかし、家族からは「いいことだと思うが、今まで施設に頼ってきているので不安だ」「いつ実現できるか分からない目標で、入所希望の子供が入れなくなる」「受け皿となるグループホームが少ないのに大丈夫か」という不安の声が続出。「地域生活になじめない人もいる。そういう人のために施設を続けてほしい」と訴える声もあった。田島理事長は「きちんとした目標がないと前に進めない。みんなで問題点をクリアしていきましょう」と理解を求めた。

 親せきの子供が入所している山元町の自営業の女性(65)は「不安を解消するために具体的な計画を聞こうと思ったのに」と心配顔だった。

 ◇受け入れ10市32町村に戸惑いも

 船形コロニーの解体方針には、県内自治体にも戸惑いが広がっている。「脱施設」というノーマライゼーションの理念には賛成しながら、受け入れる地域の環境整備の困難さから、計画の早期具体化を求めている。

 同コロニーの入所者479人(11月1日現在)の出身地は仙台市128人を最高に、石巻市25人、古川市19人、鹿島台町16人など10市32町村。同事業団はグループホームを約100カ所整備する方針だ。

 各自治体担当者は、脱施設の総論には賛成しながら、「障害の違いや相性もあり、ホームは数だけでは不十分。財源の問題もある」(仙台市)と話し、「小さい町村だと福祉サービスに限りがある」(栗駒町)▽「施設整備だけでなく、市民の意識改革も必要だ」(塩釜市)▽「働く場がなく引きこもったら、脱施設の意味がない」(鳴瀬町)などの声が出る。

 入所者の平均年齢は49歳前後(7月1日現在)と、入所15年以上の人が半数以上の251人おり、「身寄りのない人もいて、地域にとけ込むのは並大抵ではない」(鹿島台町)との意見も多く出ている。【高橋昌紀】



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◆20021218  施設が必要な子供もいます(声)――朝日新聞

主婦 岩田尚子(さいたま市 44歳)
 「自分の生き方、自ら決めたい」(11日)を読みました。投稿者のように自分の意思を伝えられる方は「入所施設」なしでも十分生きていけると思います。
 私は2年前、長男の障害に特徴的なパニックによる他傷行為に耐えられず施設への入所を選択しました。世の中には、一言の言葉も持たない障害者や、周囲に危害を加えてしまう障害を持つ者もいることも知っていただきたいと思います。
 3年前、自閉的な傾向もあり、知的な遅れも最重度の判定を受けた長男のパニックが原因で、私は手術が必要なケガをしました。毎日死ばかり考え泣き暮らしていた私たちを救ってくれたのは、入所させていただいた施設の指導員の方でした。入浴は毎日で、学校にも通わせてもらっています。国が知的障害者の「脱施設」という方針に転換すると報じられましたが、入所施設を必要とする障害者本人と家族もまだ大勢いるのではないでしょうか。
 また、8日本紙ひと欄に「施設生活はみな嫌。逃げる人はいても、駆け込む人はいないでしょ」とありましたが、本当にそうなのでしょうか。もっといろんな方面の障害児者の家族の声に耳を傾けてください。


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◆20021222 自立支える介護を 浅野・宮城知事が川崎医福大で講演 /岡山――朝日新聞

宮城県の浅野史郎知事が21日、倉敷市の川崎医療福祉大学で開かれた特別公開講座で「日本一の福祉先進県づくり−みやぎの福祉・夢プラン」と題して講演=写真。一般、学生計約500人がメモを取りながら聴き入った。
 旧厚生省時代、主に高齢者福祉や障害者福祉に取り組んだ浅野知事は、同県で進める「ユニットケア」について力説。「ユニットケアは入所者数人で一つの共同体を構成し、生活してもらう新しい介護のあり方だ」とした上で「キーワードは『生活』。一人ひとりが役割を持ち、一緒に生活して初めて人間としての尊厳を取り戻すことができる。あくまでも自立を支えるための介護であるべきだ」と話した。
 また、同県の福祉事業団が運営する知的障害者入所施設を解体し、地域のグループホームなどに移行させるとした「施設解体宣言」を紹介。「施設を造り、障害者を施設に入れることが行政の仕事かと疑問を持っていた。障害者も、例えば海水浴ができるように、地域で支援していくことが本当の福祉ではないのか」と問いかけ、ハードからソフトへの転換を強調した。


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◆20021222 県福祉事業団・田島理事長、来年3月末辞任の意向−−今期限りで /宮城――毎日新聞

県福祉事業団の田島良昭理事長(57)が、来年3月末での任期いっぱいで辞任する意向を明らかにした。知的障害者の入所施設「船形コロニー」(大和町・入所者485人)を2010年までに解体するなど「脱施設化」を大胆に目指す方針を示したばかりの辞任表明となる。田島理事長は21日、取材に答え「(浅野史郎知事と懇意なため)方針を政治的な問題にしないため、身を引く」と述べた。

 田島理事長は20日の同事業団の理事会で「本年度末で任期が切れるので、区切りに理事長を辞任したい」と表明した。

 同理事長は、浅野史郎知事が旧厚生省職員だった時代から旧知の仲で、知事選の選挙参謀を務めた。長崎県の社会福祉法人・南高愛隣会「コロニー雲仙」の理事長だった96年、知事の強い意向で同事業団の副理事長に就任。99年4月からは民間人初の理事長に就任し、2期目を務めていた。

 県福祉事業団は「脱施設化」「障害者の地域での生活支援」を目指し、船形コロニー2010年解体などを含む長中期計画を、来年3月に決定する。【棚部秀行】

 ◇「福祉の現場に戻りたい」

 田島理事長との一問一答は次の通り。

 ◇問 辞任をいつごろから考えていたか−−

 ◇田島理事長

 前回の任期が切れた2年前から、今期いっぱいで辞めることを考えていた。

 ◇問 辞任の理由は−−

 ◇理事長

 3月末に長中期計画案がまとまり、区切りがつく。私の言動では、浅野知事との関係がとりざたされ、知事のブレーンだ、知事を操っているなど、政治的なフィルターがかかってしまう。純粋な福祉の問題が政治的な問題になる。中長期計画を行政で実現するには、私が身を引いた方が良いと判断した。

 ◇問 理事長として計画を最後までやりぬくことは考えなかったか−−

 ◇理事長

 県には福祉に高い志を持った人材が育ってきている。計画の実現は、彼らに任せるほうが近道だ。

 ◇問 今後は−−

 ◇理事長

 福祉の現場に戻りたい。故郷長崎付近で、全国的に支援が遅れている精神障害者のための小さな福祉施設を作りたい。浅野知事と頻繁に会えなくなるのはさびしいが、10年来の考えで今からわくわくしている。


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◆20021224 脱施設へ受け皿整備 政府、目標値を決定 新障害者基本計画――朝日新聞

政府は24日、03年度から10年間の「新障害者基本計画」と、同年度から5年間の数値目標を定めた「新障害者プラン」を決めた。施設入所や入院中心の施策から地域の中で生活する「脱施設」に転換することが特徴で、07年度までにホームヘルパーを現行プラン(96〜02年度)より1万5千人多い6万人に増やす。
 新計画は「本人の意向を尊重し、入所(院)者の地域生活への移行を促進する」「入所施設は真に必要なものに限定する」として脱施設の方針を明記。
 新プランでは、現行プランにある入所施設の建設目標をなくす一方、障害者が地域で生活するための受け皿としてホームヘルパーのほか、▽グループホーム3万400人分、福祉ホーム5200人分(現行目標は合計で2万人分)▽精神障害者生活訓練施設6700人分(現行目標6千人分)▽05年までに車いすで乗れるノンステップバスを路線バスの約10%に導入(新規目標)などの整備目標を掲げた。
 精神障害者については地域社会に受け皿が整えば退院が可能な「社会的入院」の解消を掲げ、10年間で約7万2千人の退院・社会復帰を目指す。
 さらにすべての施設を在宅サービスの拠点と位置づけ、小規模化、個室化を進める。
 現在、知的障害者約46万人のうち約13万人が、身体障害者約352万人のうち約19万人(いずれも01年)が施設で暮らす。精神障害者は約204万人のうち約33万人(99年)が入院し、4割以上が5年以上の長期入院だ。
 
 ■新障害者プランの主な目標(03年度〜07年度)
 ▽ホームヘルパー6万人(4万5千人)
 ▽ショートステイ5600人分(4500人分)
 ▽グループホーム・福祉ホーム3万5600人分(2万人分)
 ▽精神障害者生活訓練施設6700人分(6千人分)
 ▽05年までにノンステップバスを約10%導入(新規目標)
 <注>カッコ内は現行プラン(96〜02年度)の目標

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◆20021225 政治構造、再建の足かせ 調整力なく配分硬直 03年度予算政府案――朝日新聞

税収が歳出の半分しかない03年度予算政府案は、財政破綻(はたん)が現実味を帯びてきたことを印象づけた。回避にはデフレを克服し経済を安定成長に乗せたうえ、遠くない時期に増税に踏み切るしかない。そのシナリオの足かせになるのが政治構造だ。首相の指導力が弱く与党にも抑え役が不在。これでは大胆な予算配分の変更や国民に痛みを強いる決断は難しい。(松下秀雄)
 =1面参照
 
 塩川財務相が「大胆なメリハリ」と誇ったのは科学技術振興費への重点配分だった。軒並み前年割れのなか、3・9%増を確保した。それを誇らざるを得ないことに、柔軟な予算配分の難しさが表れている。
 片山善博・鳥取県知事は「鳥取では土木事業費が断トツだったが、来年度は教育費が抜くのでは」と語る。
 成長分野に重点投資するには、ほかの予算を大胆に削るか、増税をせざるを得ない。ところが、地元や支持層向けの予算獲得がなりわいと化した多くの与党政治家は、削減や増税は避けたい。
 今回も特定扶養控除の廃止方針に、公明党が反対、児童手当の拡充を要求した。与党協議で方針は覆り、首相が調整に乗り出すことはなかった。
 
 ◇抑え役不在響く
 日本の首相は与党を抑える権限が弱い。大統領のように国民の直接選挙で、長期政権を任される仕組みとは違い短命だ。与党に選ばれ、与党が納得する方針でないと国会審議が行き詰まる。同じ議院内閣制でも英国では与党幹部の大半が入閣し、内閣の合意が与党合意になるため、首相の指導力は強い。
 「故・竹下登氏が蔵相の時は蔵相、幹事長の時は幹事長、首相の時は首相が抑え役になった」と財務省幹部は振り返る。過去の実力者は、派閥のボスとしての力と個人的資質で党内を抑えた。実力者の力をバックに調整したのが旧大蔵省。幹部は「派閥政治の最大の恩恵を受けた」と明かす。
 建設省出身の増田寛也・岩手県知事は「かつては自民党の有力者が、票が減るのを覚悟で『財政的にこれ以上無理』と決断した。(在来線を走る)ミニ新幹線への切り替えが例だ。その仕組みが壊れた」と指摘する。
 小泉首相に竹下氏のような力はない。財務省は、「抵抗勢力」といわれる古賀誠前幹事長ら党内実力者の調整力に頼る。だが、カネと選挙と人事で所属議員を従えた派閥に昔日の力はなく、ましてや連立相手の公明党にまで、十分ににらみが利くわけでもない。旧来型利害調整システムは半壊状態だ。
 
 ◇多すぎる関係者
 欧米の研究では、首相や財務相に権限が集中し、予算編成の関係者が少ない国ほど財政赤字が小さいという報告がある。日本は正反対。バブル経済が崩壊し、国債残高が積み上がる軌跡は、派閥が衰え、連立時代に入る時期と重なる。政治状況が財政危機の一因とみることもできる。
 まず必要なのは首相の権限強化だ。英国流の政府・与党一体化や、首相公選に近づけるなど手法は複数ある。政治家が全体と将来を見据える仕組みに変えるための選挙制度改革も一手だろう。
 派閥政治に代わる意思決定システムの再構築。それが経済と財政再建の前提ではないか。
 
・3.9%増の高い伸び 科学技術
 科学技術振興費は1兆2298億円。財務省原案から、さらに206億円上積みされて前年度比3・9%増。来年度政府案の中でも突出して高い伸びをみせた。
 財務省は、政府の総合科学技術会議が事前に示した優先順位のランク付け「SABC」を初めてすべての採択に参考にしたという。S評価(最高評価)なのに財務省原案でゼロ査定だったプロジェクトは、超微細技術を使った環境技術開発など、すべて復活。これで経済活性化のための新規プロジェクトは72件で計719億円となった。
 
・IT
 財務省原案で認められなかったユビキタスネットワーク技術の研究開発予算約25億円が復活。ユビキタスとは「どこにでも在る」という意味のラテン語。外出先から炊飯器や浴槽を操作したり、ICカードと商品タグを整備してレジを通過するだけで支払ったりできるネット社会を意味し、通信・電機業界も開発を競っている。予算は民間への研究委託に投じる。
 
・整備新幹線686億円配分 公共投資
 施設費を含む公共投資関係費は、3・7%減の8兆9117億円。復活折衝でも総額は増えなかった。
 道路整備では扇国土交通相と塩川財務相の折衝で、ETC(自動料金収受システム)普及のための割引制度に65億円が認められた。
 整備新幹線は2・0%減の686億円。02年度補正予算でも80億円が措置される。地方負担を含む事業費の配分は、今月開業した東北の盛岡−八戸の残工事に55億円▽同八戸−新青森に370億円(補正分が別途15億円)▽北陸の長野−富山に515億円(同15億円)▽同石動(いするぎ)(富山県)−金沢に50億円▽04年春開業予定の九州の新八代(熊本県)−西鹿児島に590億円(同75億円)▽同博多−新八代に535億円(同15億円)。
 
・障害者支援費に3225億円 福祉・医療
 厚生労働省の03年度予算の最重点課題だった少子化対策関連は1・2%増。政府が音頭をとる新たな総合的少子化対策に呼応し、年明けに具体化策が打ち出される予定だ。育児休業取得率など目標値を達成するために「土台が整った」(同省幹部)としている。
 来春スタートする障害者福祉の新しい仕組み「支援費制度」にからんで約3225億円を盛り込んだ。24日決まった向こう10年間の「新障害者基本計画」は脱施設を掲げたものの、訪問介護など在宅関係が約516億円なのに対し、施設関係が約2697億円と依然、施設の割合が高い。生活保護の扶助基準は引き下げられた。ホームレス対策費は自立支援法制定を受けて27億円と倍増。
 医療分野では、救急医療の充実を柱とする地域医療の確保に518億円を計上した。
 
・雇用
 雇用の安全網(セーフティーネット)の柱となる失業手当の国庫負担金は02年度より850億円多い5348億円。来年5月予定の制度改正で給付が削減され、そうした効果で国庫負担は580億円減る一方で、新たに雇用保険を受ける受給資格決定件数が5万人多い307万人にふくらむと見込まれている。
 また、将来の正規雇用を前提に期限付きで雇った企業を支援する試行雇用の早期再就職促進事業の対象に若年者、母子家庭、障害者、ホームレスのほか中高年も加え、184億円をつけた。
 
・住宅
 公共賃貸住宅の整備など住宅対策費は0・4%増の9311億円で、復活折衝でも総額は変わらなかった。
 急増する老朽化マンションの建て替えに対応するため、住宅金融公庫の融資や補助など支援制度を拡充。03年度から5年以内に着手する建て替えについて、敷地面積を1千平方メートル以上から300平方メートル以上に引き下げるなど条件を緩和した。
 
・2年連続の減、財源不足最悪 地方財政
 地方財政の規模は1・5%減の86兆2100億円で、2年連続のマイナス。財源不足は過去最大の13兆4500億円に達した。穴埋めのための赤字地方債の発行規模は8割増、過去最大の5兆8700億円となる。
 交付税特別会計が続けてきた独自の借り入れ(02年度約1兆円)を解消することも影響し、地方交付税の配分額(出口段階)は7・5%減の18兆700億円と、過去最大の減少幅となった。地方税収も2兆800億円落ち込み、32兆1700億円に縮小した。
 
・金融・産業再生
 不良債権処理の本格化に伴う「痛み」を和らげる安全網を拡充した。銀行から不良債権を買い取ったり、中小金融機関の合併を支援したりする預金保険機構の政府保証枠は、前年度比約7%増の約57兆円で過去最高水準。新設される産業再生機構が不良債権を買い取る資金枠10兆円も新設し、生命保険の破綻(はたん)に備える保護機構の保証枠は9600億円を維持した。
 
・中小企業
 中小企業対策費は7・1%減の1729億円にとどまったものの、国民生活金融公庫の赤字穴埋めの補助金(02年度220億円)を打ち切ったのを除けば、実質で5・4%増えている。02年度補正予算案の5千億円と合わせ、「不良債権処理の安全網」を手厚くしたという。
 
・環境
 復活折衝で、5年間かけて国内1千カ所に重要生態系の監視地域を設ける「モニタリングサイト1000」事業(4億円)など3事業計9億5千万円がついた。
 ほかに主要予算は、産業廃棄物不法投棄現場の原状回復支援30億円、03年度から環境省共管となる石油特別会計の同省分60億円を使った二酸化炭素(CO2)削減のための地方自治体補助など。廃棄物対策を中心とした循環型社会構築と地球温暖化対策強化が、同省の03年度予算の柱だ。
 
・食と安全
 農水省予算は、牛海綿状脳症(BSE)特別措置法の関連で60億円、コメや野菜の産地などを追跡可能にするトレーサビリティーシステムづくりで29億円、食品表示の信頼回復に4億円などを盛り込んだ。
 厚労省は、BSE全頭検査に40億円。「輸入食品安全対策室」を新設。食品衛生監視員も増やす。
 
・経済協力
 途上国援助(ODA)は4年連続の前年割れとなり、総額は5・8%減の8578億円。その中で一般無償資金協力と緊急無償資金協力を0・5%増やし、「顔の見える援助」として、シニア海外ボランティア新規派遣(500人)、青年海外協力隊員新規派遣(1380人)を維持した。
 
・研究拠点づくりを倍増 教育
 復活折衝では、学力向上策や科学技術水準向上策に重点が置かれた。文部科学省が柱にすえた「学力向上アクションプラン」には前年度の3・5倍となる49億円。大学を競争させることで世界水準の研究拠点づくりをめざす「21世紀COEプログラム」にも事業2年目分として前年度比152億円増の334億円を積んだ。
 ハード面の重点施策である学校施設の耐震化には151億円増の1149億円を確保した。私立学校への助成では大学に3217億円、高校に1001億円。
 
・防衛
 総額4兆9530億円で0・1%減。名目国内総生産(GDP)比は0・993%で、ぎりぎり1%枠に収まった。復活折衝で、サイバー攻撃対処研究費6600万円、隊舎の整備費が認められた。先に契約を認めて支払いは再来年度以降に回す「後年度負担」は2兆9421億円。
 
・司法・警察
 パトカー130台や、ひったくり犯を追いかけるための小型スクーター206台など計733台を追加配備するための10億円が認められた。02〜04年度で警察官を1万人増やす計画の03年度分として4千人増員が認められた。司法関係でも、裁判官45人、書記官47人などの増員が認められた。
 
 ■一般会計 歳入と歳出■
 (単位・百万円、伸び率は02年度当初予算比、▼はマイナス)
 【歳入】            03年度概算額     伸び率
                             (%)
 税収             41,786,000 ▼10.7
 税外収入            3,558,078 ▼19.4
 国債             36,445,000  21.5
 合計             81,789,078   0.7
 【歳出】主要経費別内訳
 ◇社会保障関係
 生活保護            1,521,684  10.0
 社会福祉            1,727,075   0.3
 社会保険           14,651,379   3.5
 保健衛生対策            514,157 ▼ 2.0
 失業対策              576,436  18.1
   計            18,990,731   3.9
 ◇文教、科学振興
 義務教育費国庫負担金      2,787,864 ▼ 8.8
 国立学校特別会計へ繰り入れ   1,525,606 ▼ 1.3
 科学技術振興          1,229,782   3.9
 文教施設              157,002   3.6
 教育振興助成            655,546 ▼ 0.1
 育英事業              115,431   2.4
   計             6,471,231 ▼ 3.5
 ◇国債費           16,798,069   0.8
 ◇恩給関係
 文官等恩給              48,238 ▼ 7.3
 旧軍人遺族等恩給        1,082,885 ▼ 5.3
 恩給支給事務              3,919 ▼ 2.6
 遺族、留守家族等援護         67,812 ▼ 6.8
   計             1,202,854 ▼ 5.5
 ◇地方交付税交付金      16,392,632   1.8
 ◇地方特例交付金        1,006,168  11.4
 ◇防衛関係           4,952,967 ▼ 0.1
 ◇公共事業関係
 治山治水対策          1,211,922 ▼ 4.7
 道路整備            2,079,278 ▼ 6.6
 港湾空港鉄道等整備         574,862 ▼ 2.3
 住宅都市環境整備        1,494,682   2.3
 下水道水道廃棄物処理等施設整備 1,374,309 ▼ 5.7
 農業農村整備            878,880 ▼ 4.9
 森林水産基盤整備          370,574 ▼ 2.1
 調整費等               39,905 ▼10.5
   小計            8,024,412 ▼ 3.9
 災害復旧等              72,674   0.0
   計             8,097,086 ▼ 3.9
 ◇経済協力             816,071 ▼ 4.7
 ◇中小企業対策           172,881 ▼ 7.1
 ◇エネルギー対策          556,691 ▼ 2.2
 ◇食料安定供給関係         687,509 ▼ 5.8
 ◇産業投資特別会計へ繰り入れ    163,604  12.4
 ◇その他の事項経費       5,130,584   1.1
 ◇予備費              350,000   0.0
   合計           81,789,078   0.7

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◆20021225 地域で「普通の生活」を 新障害者基本計画・プラン決まる――朝日新聞

政府は24日、「新障害者基本計画」(03〜12年度)と、03年度から5年間の数値目標などを定めた「新障害者プラン」を決めました。施設入所や入院中心の現状を変え、障害者が地域で暮らせるよう支援するのが最重点です。現行のプラン(96〜02年度)は障害がある人もない人と同じように生活できるようにする「ノーマライゼーション」を打ち出しましたが、施設中心は変わっていません。知的障害者は3割が施設で生活していますが、「社会の中で生きたい」と望む声は高まっています。地域社会で暮らす知的障害者を訪ね、脱施設の意味と課題を考えました。(生井久美子、清川卓史)
 
 ●「若いとき経験したかった」 入所40年、初「通勤」
 井上太さん(48)は毎朝バスで神戸駅に行き、なじみの喫茶店でモーニングセットを食べるのが楽しみだ。施設と違ってゆで卵が温かいことがうれしい。
 井上さんは9歳のとき、神戸市郊外にある社会福祉法人が運営する知的障害者入所施設「ひふみ園」に来た。うねった細い林道の奥にぽつんと園はあった。イノシシも出る山の中。「こんな山奥に建物が」と驚いたことを覚えている。今年4月、職員の勧めで園を出て、市内の団地に移るまで40年近く園で暮らした。団地は車で20分の距離なのに別世界だった。
 園は10年ほど前、施設長の交代を契機に、入所者ごとに支援プログラムを組み、職員が同行することから始めて1人で外出する機会を増やした。昨年には地域支援課を作って地域移行に乗り出した。井上さんは園に籍を置いて通い、団地で仲間と2人で暮らしている。
 「通勤しているみたい。普通の人と同じだと思うと、うれしくなる」。気が向くと別のバス停で降りる。その日の気分で行動を決める自由を初めて味わっている。「若いとき、20歳ぐらいでこんな経験がしたかった」と井上さんは言う。
 子どものころ、1部屋に8人が4枚のふとんで寝た。園を出るまで8畳間で3人がふとんを並べた。夜中に3回ある見回りのたびに、目が覚めた。いまは初めての個室でぐっすりと眠る。
 何かあればすぐに職員が駆けつける。だが、困ったのはトイレが詰まったときぐらい。「拍子抜けするほど問題はありません」と新銀茂地域支援課長(42)。
 園の入所者80人の平均入所期間は17年。4割が20年以上だ。新銀さんは「うちの園でも9割は地域で暮らせると思う。井上さんのような人は全国にたくさんいるはず。どうして彼は40年も入所していたのか。『障害者は特別』という意識が職員や家族、社会の側にあり、地域での暮らしを支援する態勢を作ってこなかったからではないか」と話す。
 
 ●「人の中で生き、人は輝く」 重度でもグループホーム
 横浜市の住宅街。ドアを開けると、パンの焼ける香りがする。地域サポートセンター「径(みち)」の中にある「ゆめのパンや」だ。
 知的障害に加えて重い身体障害がある約10人がエプロン姿で、職員と材料を量り、こね、100個のパンを焼く。評判がよく、毎回売り切れる。
 車いすの深沢裕子さん(46)はパン生地を量る担当だ。職員がはかりに載せると、目盛りを読んで合図する。それを見て職員が量を加減する。
 深沢さんは8年前から市内のグループホームで仲間3人と暮らしている。食事や入浴、寝返りなどすべてに介助が必要だ。夕方から寝るまで介護スタッフ4人が付き添い、3人が泊まり込む。
 今月3日、深沢さんは、父親の忠一さん(78)やスタッフと、再結成したフォーリーブスのコンサートに行った。10代からのファンで、この日のために髪を茶色に染めた。
 忠一さんは2年前、「お父さんが死ぬ時、一緒に死のうよ」と口にした。「やだあ、私若いからお先にどうぞ。グループホームで暮らせるから」。娘の答えに成長を感じ、安心した。
 グループホームを運営するのは社会福祉法人「訪問の家」(日浦美智江理事長)。施設に入るか自宅で家族が面倒をみるしかない、といわれた重度の重複障害者が地域で生活する道を切り開いてきた。17年前に通所施設「朋」を作り、4年前、相談やデイサービス、ショートステイを担う「径」を立ち上げた。
 深沢さんはいま、一人暮らしをするのが夢だ。
 日浦理事長(64)は言う。「街の中、人の中で生きてこそ人は輝く。たとえ障害が重くてもあきらめず、例外は作らない。その可能性に挑戦することがノーマライゼーションだと思うんです」
 
 ●「施設偏重の予算変えよ」 地域へ出る人は1%未満
 約46万人いる知的障害者のうち、施設に入所しているのは約13万人。70%以上が5年以上の長期入所だ。
 厚生労働省の研究班の調査(00年)によると、施設を出て地域で生活する人は全体の1%に満たない。戦後、地域で暮らすための施設やサービスが少ないことから、障害者の家族らは自分たちが死んだ後のことを考え、入所を望んだ。国も施設を増やし続けてきた。同省研究班の分析では予算の7割が入所施設関連に振り分けられている。
 地域の受け皿作りが進まないために施設を出られず、その結果入所施設が増えてきた、と専門家は指摘する。社会の理解も広がらず、地域住民がグループホームを作ることに反対するケースも出ている。
 今後の最大の課題は受け皿作り。作業所などの全国組織である「きょうされん」によると、グループホームが一つもない市町村が73%。ホームヘルプなど在宅サービスの事業所がない自治体も14・5%に達する。
 日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は新プランについて、「グループ・福祉ホームをみても、精神障害者を含めて現プランの目標から年間約3千人分上乗せしているだけ。これでは現状は変わらない」と話す。
 北欧や英米を中心に脱施設が進む中、日本では入所者が増え続けている=グラフ参照。愛知県コロニー発達障害研究所の三田優子研究員によると、脱施設をほぼ達成しているスウェーデンでは施設解体の方針を法律に明記、期限を設けて予算配分を大胆に変え、地域のサービスを増やしていったという。三田さんは「解体目標を決め、施設偏重型予算を抜本的に変えることが不可欠。まずは当事者の声を真剣に聞くべきだ」と指摘する。
 
 ○「相談窓口目標ない」新プランに批判も
 白梅学園短大の堀江まゆみ教授(障害者心理)ら研究者や福祉関係者らは24日、政府が在宅サービス利用などについて障害者の相談に乗る事業の補助金をなくし、新障害者プランに窓口の設置目標を盛り込まなかったことに対し、反対の緊急アピールを出した。
 現行のプランは人口30万人あたり2カ所の相談窓口を設置することが目標。厚生労働省は03年度予算で補助を廃止し、相当する財源を一般財源として自治体に交付する方針を打ち出した。
 これに対して堀江教授らは「来春から始まる支援費制度の相談窓口としても重要な役割をもつ。目標を達成しないまま一般財源化すれば、国の責任があいまいになり、整備が進まなくなる」と訴えている。
 
 ■新障害者基本計画の概要(03〜12年度)■
 【考え方】だれもが人格と個性を尊重して支え合う共生社会の実現
 【四つの視点】社会のバリアフリー化、利用者本位の支援、障害の特性を踏まえた施策の展開、総合的かつ効果的な施策の推進
 【新規・重点施策の例】
 ▽入所施設は限定し、小規模化、個室化を進める
 ▽障害者が障害者政策の決定過程にかかわる
 ▽精神障害者を法定雇用率制度の対象とすることを検討
 ▽IT(情報技術)を活用した雇用の促進
 ▽学習障害、多動性障害などへの教育支援
 ▽うつ対策など自殺予防
 
 ■新障害者プランの目標値(03〜07年度)■
 ◇在宅サービス
 ホームヘルパー6万人(4万5千人)
 ショートステイ5600人分(4500人分)
 デイサービス1600カ所(1千カ所)
 精神障害者地域生活支援センター470カ所(人口30万人あたり2カ所)
 ◇住まい・働く場
 グループホーム・福祉ホーム3万5600人分(2万人分)
 通所授産施設7万3700人
 ◇その他
 10年で精神障害者約7万2千人の退院・社会復帰
 05年までにノンステップバスの路線バス導入約10%
 雇用障害者数を08年度に60万人に
 ※カッコ内は現行プラン(96〜02年度)目標値

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◆20021225 障害者計画で「脱施設」を明確化−−在宅サービスなど目標値――毎日新聞

政府は24日、03年度から10年間の「障害者基本計画」と、07年度までの5カ年間の数値目標を盛り込んだ「新障害者プラン」を決めた。知的障害者について、これまでの施設中心の対策を見直し、地域で障害者を支える「脱施設」を明確に打ち出した。

 新計画は「障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重して支え合う共生社会の実現」を基本理念に掲げ、(1)入所施設は真に必要なものに限定(2)施設の小規模化、個室化を図る−−といった方針を示した。

 新プランは、現行プランの入所施設整備目標を削除。「脱施設」の具体化に向け在宅サービスを拡充するとし、ホームヘルパーを現行プラン(96〜02年度)から1万5000人増の6万人、グループホームなどを同1万5600人分増の3万5600人分に拡充するなど数値目標を掲げた。

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◆20021225 政府が「障害者基本計画」決定 ホームヘルパー6万人に――毎日新聞

◇知的障害者の「脱施設」へ数値目標

 政府は24日、03年度から10年間の「障害者基本計画」と、07年度までの5カ年間の数値目標を盛り込んだ「新障害者プラン」を決めた。知的障害者について、これまでの施設中心の対策を見直し、地域で障害者を支える「脱施設」を明確に打ち出した。
 新計画は「障害の有無にかかわらず、相互に支え合う共生社会の実現」を基本理念に掲げ、(1)入所施設は真に必要なものに限定(2)施設の小規模化、個室化を図る−−といった方針を示した。
 新プランは、現行プランの入所施設整備目標を削除。「脱施設」の具体化に向け在宅サービスを拡充するとし、ホームヘルパーを現行プラン(96〜02年度)から1万5000人増の6万人、グループホームなどを同1万5600人分増の3万5600人分に拡充するなど数値目標を掲げた。05年度までの旅客ターミナルの段差解消について、駅60%(現在33%)▽バスターミナル80%(同68%)の目標も示した。



*作成:三野 宏治
UP:20100408 REV:
施設/脱施設
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