『向精神薬の臨床――理論と実際』
諏訪 望・森田 昭之助・山下 格 19630120 金原出版,151p.
■諏訪 望・森田 昭之助・山下 格 19630120 『向精神薬の臨床――理論と実際』,金原出版,151p. ASIN: B000JAJGYM \1300
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■内容
(本文・序より)
われわれは本書で、けっして精神疾患の薬剤療法に関する一つの規準を定めようと試みているのではない。いわば新薬の氾濫期にさいして、臨床の実際において、つねに基本的な考え方から出発する批判的態度の必要性を強調するという点に、われわれの目標がおかれているわけである。また薬剤の効果判定の方法や基準についてはいっさい触れなかったが、これは多くの専門家の協議を必要とする問題である。――本書が臨床の場において少しでも役立つことができれば幸いである。
■目次
第1部 薬剤の特徴と使い方
第1章 向精神薬の分類について
第2章 精神安定剤(広義のトランキライザー)
I. 自律神経遮断剤 (Neuroplegica)
A. Rauwolfia アルカロイド
B. Phenothiazine 誘導体
- Promazine群
a. 分岐のないPropyl側鎖をもつもの
(1) Chlorpromazine
(2) Promazine
(3) Acethylpromazine
(4) Trifluoropromazine
(5) Methoxypromazine
(6) Chlorpromazine-Sulfoxide
b. 分岐のあるPropyl側鎖をもつもの
(1) Levomepromazine
(2) Levopromazine
- Mepazine群
a. Piperidyl-methyl側鎖をもつもの
b. Piperidyl-ethyl側鎖をもつもの
- Perazine群
a. Methyl-piperazinyl-propyl側鎖をもつもの
(1) Prochlorperazine
(2) Trifluoromethyl-perazine
(3) Thioproperazine
b. Oxyethyl-piperazinyl-propyl側鎖をもつもの
(1) Perphenazine
(2) Fluphenazine
- その他の群
(1) Diethazine
(2) Promethazine
- Phenothiazine誘導体における構造の差による作用の違い
a. Phenothiazine核のNから発する側鎖が変った場合
(1) Propyl側鎖をもつ場合
(2) Propyl側鎖に分岐ができた場合
(3) Piperidine環をもつ場合
(4) Propyl側鎖の中にPiperazine環をもつ場合
b. Phenothiazine核のRが変った場合
(1) Chlorpromazineと同じ側鎖をもつ群
(2) Levomepromazineと同じ側鎖をもつ群
(3) Prochlorperazineと同じ側鎖をもつ群
(4) Perphenazineと同じ側鎖をもつ群
- Phenothiazine誘導体における副作用の問題
C. Thiophenylpyridylamine誘導体
D. Benzoquinolizine誘導体
E. Thioxanthene誘導体
(附)Haloperidol
II. 狭義のトランキライザー
A. Diphenylmethane誘導体
(1) Azacyclonol
(2) Hydroxyzine
(3) Benactyzine
B. Crotonylurea誘導体
C. Propanediol誘導体
D. Benzodiazepine誘導体
第3章 精神昂揚剤 (Psycho analeptica)
I. 感情調整剤 (Thymoleptica)
Iminodibenzyl誘導体とその改良薬
(1) Imipramine
(附)G.33040(Insidon)
(2) Amitriptyline
II. 精神賦活剤 (Psychicenergizer) (MAO阻害剤)
Hydrazine誘導体
A. Isoniazid誘導体
(1) Iproniazid
(2) Nialamide
B. その他のHydrazine誘導体
(1) Pheniprazine
(2) Isocarboxazid
(3) Phenelzine
(附)Safrazine
III. 精神運動刺戟剤 (Psychomotor Stimulants)(狭義の中枢刺戟剤 Central Stimulants)
A. Diphenylmethane誘導体
(1) Pipradrol
(2) Methylphenidate
B. Phenylmetrazine誘導体
C. Oxazolidine誘導体
D. Dimethylaminoethanol
第2部 治療の実際
第4章 精神分裂病の薬剤療法
I. 薬剤療法のあり方
A. 精神分裂病の診断がついたら――まずChlorpromazine――
B. 薬剤療法だけで十分か――ショック療法との併用――
C. 薬でどこまでよくなるか――生活指導の必要性――
D. いつまで投薬をつづけるか――再発の防止――
II. 実際的な工夫
A. 薬のえらび方
B. はげしい興奮がつづく場合
C. 無為,昏迷がとれない場合
D. 抑うつ症状が中心になった症例
E. 不安が前景に出ている症例
F. 外来的に治療する場合
G. 何を使ってもよくならない陳旧例
(1) いわゆる大量療法
(2) Thioproperazineの応用
H. Phenothiazine誘導体の副作用の取扱い方
第5章 躁うつ病の薬剤療法
I. 躁状態の治療
A. 薬剤療法の効用と限界
B. 実際的な工夫
(1) Levomepromazineの応用
(2) Imipramineの大量療法
II. うつ状態の治療
A. 薬剤療法のあり方――Imipramineを中心として――
B. 薬のえらび方
C. 症状に応じて併用療法を
(1) 不安,焦燥のつよい場合
(2) 精神運動制止がとれない場合
(3) 種々の身体的な訴えの多い場合
D. Imipramineが役立たないときの工夫
(1) Amitriptylineの応用
(2) MAO阻害剤の応用
第6章 神経症の薬剤療法
I. 薬をのむということの心理的意味
II. 薬剤の効き方と適応症の問題――精神療法との併用――
A. 薬剤がかなりよく効く場合――未完結な反応様式――
(1) 不安状態
(2) 神経衰弱状態
(3) 心気状態
(4) 抑うつ状態
B. 薬剤があまり役立たない場合――完結した反応様式
III. 薬のえらび方と副作用
IV. 薬剤療法の弊害
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:角田 あさな