『やさしさのゆくえ=現代青年論』
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栗原 彬 19810610 『やさしさのゆくえ=現代青年論』,筑摩書房,201p. 1300 ※ ISBN: 9784480851659
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◆目次
序
1 未成の存在証明
一 青年期と歴史社会
二 近代における青年期の創出
三 アイデンティティと政治社会
四 閉塞状況と青年文化
五 青年の歴史的性格
2 青年の虚無
一 現代の虚無の迂回的性格
二 ルソーと青年期の歴史規定性
三 虚無とアイデンティティ・クライシス
四 体制に回収された人生
五 自我が状況との交点で知るやさしさ
3 青年のなかの老い
一 卒業寸前の退学願
二 老いの無化と異化
三 浮谷東次郎と中屋幸吉の<死>
四 老いの手法化
4 青年が歩く
一 日本ジプシー・リヤカー
二 社会主義伝道行商
三 大本教青年宣伝使のテント旅行
四 <ひゅうまん>のリヤカー旅行
五 共同性の実験
5 <場>と<ふるさと>への回流
一 国際化と国際感覚
二 国際感覚の異化
三 自分に帰ってくる世界
6 モラトリアムのなかの青年
一 創造的な休止符
二 青年期のモラトリアム
三 モラトリアム概念の履歴(ヒステリシス)
四 モラトリアムと社会的セクション
五 現代日本のモラトリアム青年
六 モラトリアムの内面化
7 やさしさのゆくえ
一 私信・水俣の一情景
二 高度産業社会の青年
三 聞書き・一つの個人史
四 やさしさの主題と変奏
8 青年の「保守化」
一 青年像の転換
二 国際比較のなかの日本の青年現象
三 アイデンティティ拡散症候群
四 日本型の共同的自己
9 共に生きる力のために
一 こどもの荒廃と家族の衰弱
二 核家族の二重拘束性
三 他者性をふくむ共同性
あとがき
◆メモ
「序を含めて一〇篇の文章は、一九七〇年代の初めから八〇年代初めまでほぼ一〇年の間に書かれた。…はじめ私は明らかに青年に充溢を求めていた。だが後には青年の実体を無化する動きが現れている。アイデンティティの概念にも変化がある。しかし、私が変わってゆき、青年像が動いていく、その軌跡が記録されることにむしろ本書の積極的な意味があるかもしれない。
七〇年代を通して社会現象としての青年現象の振り子は左から右へ大きく振れたわけだが、青年のもつ可能性と不可能性、「透明と障害」の両義性もまたくっきりと浮び上ってきたように見える。」(p200、あとがきより)