大阪府大東市は大阪府東部に位置する小都市であるが、この地で地域リハビリテーションの先進的な実践活動が展開されていることは、少なからぬ保健・福祉の関係者から注目されていた。本書は、その担い手である大東市福祉事務所理学療法課の活動を、その中心人物である山本和儀理学療法士とのかかわりをふくめ、立体的に記述分析したものである。
いうまでもなく、保健・福祉領域の先進的な活動事例には、それを推進発展せしめた個性的な人物にことかかない。サービス活動が人を介在して成り立ち、しかも従来の制度を超えた革新的なものであればあるほど、キーパーソンの役割なしには活動が展開しえないからである。したがって、人の役割を無視してはその十全な理解は困難であろう。しかし、だからといって、それは他の地域のモデルとしての普遍性を欠いたものとはいえない。むしろ1つの先駆的な実践の経験を、他に適用可能なシステムとして、他の地域での活動を促進するに十分な内容をふくんでいるのはいうまでもない。
本書は、大東市理学療法課の活動を、その個性的な側面とともに普遍的な側面にも注目し、現在喫緊な課題とされている地域における保健・福祉活動総合化の1つの有力な事例として、各位に検討の素材として提供することを目的に編まれた。