『寝たきり老人ゼロ作戦』
山口 昇 19920501 『寝たきり老人ゼロ作戦』,家の光協会,222p
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山口 昇 19920501 『寝たきり老人ゼロ作戦』,家の光協会,222p. ISBN-10: 4259543954 ISBN-13: 978-4259543952 1325
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地球包括システムをどう築くか。
21世紀・長寿社会への指針を提示する。
■目次
第1章 医療の出前が始まった
第2章 御調町と病院のあゆみ
第3章 地域包括医療と病院経営
第4章 寝たきり老人ゼロ作戦の展開
第5章 キーワードは「地域包括システム」
第6章 地域ぐるみのネットワークづくり
第7章 安心できる長寿社会の設計
■引用
「平成3年「寝たきりゼロへの10か条」(山口[1992:126-128])
「従来、わが国では寝たきりの程度を判定する基準がなかった。その地域で、また判定する個人によって、それぞれがばらばらな判定をしていた。御調町でも今から一〇年前までは判定基準がなく、したがって民生委員が寝たきりと判定した老人が、保健婦が行なってみると庭まで下りていたり、まだ逆に寝たきりではないと判定された老人が、実際には寝たきりであったりということがあった。そこで御調町では数年前からADLの程度によってこれを点数化し、その点数によって寝たきりか否かを判定するようにした。このことにより、かなり客観的に判定されるようになった。
国も公衆衛生審議会の答申を得て、平成三年一一月、「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」を作成した。私もその作成委員の一人としてこれに関与したが。要はいつでも誰でもどこででも判定できるものを作ろうという発想であった。今後はこれにより寝たきり度が判定され、平成四年度から五年度にかけて策定される予定の地方老人保健福祉計画にもこれが適用されることになった。
新しい判定基準では、起居移動にウェートを置いて、全体を四つのランクに分けている(表16参照)。まずランクJは、なんらかの障害は有しているが日常生活はほぼ自立<131<<【表16】132<<【表17】133<しているグループである。ランクAは、いわゆる閉じこもり(House bound)であり、準寝たきりに属する。ランクBは、車椅子では移動できるがなんらかの介助を要するグループ(Chair bound)であり、ランクCは、ベッドから離れることができないbed boundである。そして、これらをさらに二つの程度に分けている。また、これら四つのランクに加えて、七種類のADLの程度により必要なサービスを選択できるようになっている(表17参照)。従来の五種の介助に整容と意思の疎通を加えたものである。
私たちはこの寝たきり度の判定基準に当てはめてみたところ、表16に示したとおりで、そのランク別とは得点はほぼ一致していることがわかった。私たちは、こうして従来のADLの程度で判定する点数制と今回の判定基準との整合性を図ることができた。
次に寝たきりにならないために、私たちの病院では具体的にどのような方法を行なっているか、少し紹介してみたいと思う。原則的には国が作った「寝たきりゼロへの一〇か条」で十分であるが、私たちは本人向けと家族向けの十か条を作っている(一三九〜一四一ページ参照)。病院のお年寄りのおられる人たちに、あるいは何かの参考になるかもしれない。」(山口[1992:130-134])
■山口昇 略歴
http://kk.kyodo.co.jp/kenko/thema/yamaguchi.htm
公立みつぎ総合病院、御調町保健医療福祉管理者
昭和37年3月 長崎大学大学院医学研究科修了
昭和59年11月 公立みつぎ総合病院 院長
平成5年10月 御調町保健福祉管理者(病院長兼務)
平成14年4月 全国国民健康保険診療施設協議会常任顧問
平成15年4月 全国老人保健施設協会名誉会長