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板垣さんがわし座に新星を発見

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山形県の板垣公一さんが10月5日、わし座に約12等級の新星を発見した。

【2015年10月8日 VSOLJニュースCBAT/CBET】

著者:前原裕之さん(国立天文台)

山形県の板垣公一さんはこれまでにも100個を越える数の超新星のほか、新星や彗星を発見しています。板垣さんは9月27日にもいて座の中に新星を発見したばかりですが、このほど別な新星をわし座の中に発見しました。

板垣さんは10月5.548日(世界時、以下同様、日本時間5日22時20分ごろ)に口径21cmの反射望遠鏡とCCDカメラを用いて撮影した画像から12.4等の新天体を発見しました。この天体は板垣さんによる発見の4日前、ハワイとチリでそれぞれ4台の口径14cmの望遠鏡とCCDカメラを使って超新星のサーベイを行っているAll-Sky Automated Survey for Supernovae(ASAS-SN or "Assassin")によって10月1.29日にV等級で15.2等の新天体(ASASSN-15qd)として発見された天体と同一のもので、ASAS-SNの9月29日に撮影された画像にも14.7等で写っていたことがわかりました。板垣さんが発見直後に口径50cmの望遠鏡で行った観測によると、この天体の位置は以下のとおりです。

赤経  19h21m50.12s
赤緯 +15°09′24.8″ (2000年分点)

わし座の新星
わし座の新星の発見画像(撮影:板垣さん)

この天体は板垣さんとASAS-SNによる発見よりも前の9月27日に群馬県の小嶋正さんが撮影した画像に既に写っていたことがわかりました。また、筆者の行っている広視野サーベイのデータでも9月21日には写っていなかったものの、9月29日にはIc等級で10.2等で写っていたことがわかりました。肉眼で見た時の星の明るさに近い波長550nm付近のV等級と比べて、波長の長い800nm付近のIc等級ではこの天体は明るいことから、この天体の色が極めて赤いことがわかりました。この他、愛知県の広沢憲治さんや千葉県の野口敏秀さんからもこの天体の観測が報告されました。

この天体の分光観測は岡山県の藤井貢さんによって行われ、強いHα輝線の他、一階電離した鉄やカルシウム、中性酸素などの輝線を示すことがわかり、これらの特徴からこの天体が古典新星であることが判明しました。分光や多色測光の結果から、この新星は強い星間吸収を受けていると考えられます。

わし座の新星の位置
わし座の新星の位置。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で表示)

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