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IEと.NET Frameworkのサポートポリシーが変わります(1年後ですが……)山市良のうぃんどうず日記(24)

Internet Explorerと.NET Frameworkのサポートポリシーが約1年後の2016年1月13日から変更になり、いずれも利用可能な最新バージョンのみがサポート対象となります。その時になって慌てないように、お使いのPCの状況を確認しておきましょう。

» 2015年01月23日 19時00分 公開
[山市良,テクニカルライター]
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連載目次

IEと.NET Frameworkのサポートポリシーが変更されたことをご存じですか?

 マイクロソフトは昨年夏の2014年8月、「Internet Explorer」(IE)と「.NET Framework 4.x」のサポートポリシーの変更を発表しました。新しいサポートポリシーは、「2016年1月13日」(日本時間、以降の日付も同じ)からスタートします(画面1)。

画面1 画面1 マイクロソフトの「Internet Explorerサポートポリシー変更の重要なお知らせ」ページ。新しいサポートポリシーの開始は「2016年1月13日」(日本時間)。まだ1年、あと1年……

 マイクロソフトはWindowsに関して、発売後、最低5年間のメインストリームサポートと、その後の最低5年間の延長サポートの、合計最低10年間の製品サポートを提供しています。

 IEはWindowsのコンポーネントの一つであり、以前のIEのサポートポリシーでは「このコンポーネントのサポートは関連する製品もしくはプラットフォームのライフサイクルに準拠します」とされていました。つまり、“サポート期間中のWindowsのサポート対象サービスパックで動作するIEの全バージョンが、そのWindowsの延長サポート終了日までサポート”されていたのです。

 2016年1月13日からスタートする新しいサポートポリシーでは、“サポート期間中のWindowsのサポート対象サービスパックで動作する、最新バージョンのIEのみがサポート対象”となり、技術サポートとセキュリティ更新プログラムの提供を受けることができるようになります。マイクロソフトのサポートライフサイクル検索ページは、すでに新しいIEのサポートポリシーに準拠した内容に変更されています。

 以下の表1は、上記のマイクロソフトの発表および重要なお知らせで示された2016年1月13日以降のサポート対象のIEの一覧に、Windowsの延長サポート終了日を追加したものです。

Windowsプラットフォーム Internet Explorerのバージョン Windowsの延長サポート終了日
Windows Vista SP2 Internet Explorer 9 2017年4月12日
Windows Server 2008 SP2 Internet Explorer 9 2020年1月15日
Windows 7 SP1 Internet Explorer 11 2020年1月15日
Windows Server 2008 R2 SP1 Internet Explorer 11 2020年1月15日
Windows 8.1 Update Internet Explorer 11 2023年1月11日(予定)
Windows Server 2012 Internet Explorer 10 2023年1月11日(予定)
Windows Server 2012 R2 Internet Explorer 11 2023年1月11日(予定)
表1 2016年1月13日以降のサポート対象のIE

 例えば、Windows 7 Service Pack(SP)1ではIE 8〜IE 11が動作しますが、これまでのサポートポリシーではIE 8〜IE 11の全てが2020年1月15日までサポートされることになっていました。新しいポリシーでは、2016年1月13日以降、Windows 7 SP1ではIE 11のみが2020年1月15日までサポートされることになります(画面2)。詳細は、「Internet Explorerのサポートライフサイクルポリシーに関するFAQ」を確認してください。

画面2 画面2 2016年1月13日(日本時間)からIEのサポートは、サポート対象のWindowsで利用可能な最新バージョンのIEのみが対象となる

 上記の表1にないWindows、例えば、Windows XPやWindows Vista SP1以前は、すでに延長サポートまたはサービスパックサポートが終了しています。また、Windows Server 2003およびWindows Server 2003 R2については、「2015年7月15日」に延長サポートが終了するため、新しいサポートポリシーの対象外(サポート終了製品)となります。

「2016年1月13日」はWindows 8のアップグレード猶予期限

 2016年1月13日以降のサポート対象のIEの一覧には、“Windows 8とIE 10の組み合わせ”がありません。これは、新しいサポートポリシーが、Windows 8からWindows 8.1へのアップグレード猶予期限に合わせてスタートするからです。

 Windows 8のサポートライフサイクルはWindows 8.1と共通ですが、Windows 8のサポートポリシーでは「Windows 8.1がWindows 8に対するサポート対象サービスパック」という位置付けになっています。Windows 8.1のリリースから2年間はWindows 8.1へのアップグレードのための移行期間であり、この猶予期限が2016年1月13日までとなっています。Windows 8ユーザーがサポートを継続して受けるには、2016年1月13日までにWindows 8.1にアップグレードする必要があるのです。

 また、前出の表1では「Windows 8.1」ではなく「Windows 8.1 Update」となっています。Windows 8.1 Updateとは、2014年4月にリリースされた累積的な更新プログラム「KB2919355」のことであり、Windows 8.1でIE 11のサポートを受けるには更新プログラム「KB2919355」の適用が前提になることを示しています。

 更新プログラム「KB2919355」の適用は、個人ユーザーが2014年6月まで、企業ユーザーが2014年8月まで猶予されました。猶予期間の終了後の今、Windows 8.1やIE 11向けのセキュリティ更新プログラムやセキュリティ以外の更新プログラムを受け取るには、更新プログラム「KB2919355」の適用が前提となっています。この要件は、Windows Server 2012 R2の場合も同様です。

2016年1月以後もサポート対象のIE 7/8は存在する

 IEのサポートポリシーの変更は、多くのIT系メディアでニュースとして取り上げられたのでご存じの方も多いでしょう。新しいIEのサポートポリシーを“2016年1月にIE 8のサポートを終了”と伝えたメディアも多かったようです。

 実は、IE 7およびIE 8のサポートは2016年1月以降も一部のOSで継続します。一部のOSとは、「Windows Embedded」と呼ばれるバージョンです。以下の「Internet Explorerのサポートライフサイクルポリシーに関するFAQ」には、サポート対象のIEに関する、Windows Embeddedを含む詳細なリストがあります。

 このリストによれば、IE 7のサポートは「Windows Embedded for Point of Service」に対して、延長サポートが終了する2016年4月13日まで提供されます。IE 8のサポートは、「Windows Embedded Standard 2009」「Windows Embedded POSReady 2009」「Windows Thin PC」に対して提供され、最長はWindows Thin PCの延長サポートが終了する2021年10月12日まで続きます。

 Windows EmbeddedはOEM製品であり、家庭や企業の一般的なPCで利用できるものではありません。しかし、Windows Thin PCは、Windowsのソフトウェアアシュアランス(SA)特典として提供されるWindows Embedded Standard 7 SP1ベースの無償の軽量OSです。

  • Windows Thin PC(90日評価版があります)(マイクロソフト Windows)

 Windows Thin PCは「リモートデスクトップサービス」のクライアントとして、シンクライアント専用OSとしての利用が想定されたものです(画面3)。しかし、新しいIEのサポートポリシーがスタートすると、IE 8環境を維持するためのクライアントとして利用できないかと検討する企業が出てくるかもしれません。ただし、Windows Thin PCには日本語版はありませんのでご注意を。

画面3 画面3 SA特典として無償提供されるWindows Thin PCでは、2016年1月以降もIE 8がサポートされる

.NET Frameworkは「3.5.1」と「4.5.2」のみがサポート対象に

 マイクロソフトはIEのサポートポリシーの変更と同時に、.NET Framework 4.xの2016年1月13日からのサポートポリシーの変更も発表しました。こちらはIEのように大きくニュースで取り上げられなかったため、まだ知らないという人も多いのではないでしょうか。

 .NET Frameworkはバージョン3.5 SP1(Windows 7およびWindows Server 2008以降の3.5.1)のときにWindowsのコンポーネントとして位置付けられ、その.NET Frameworkが動作するWindowsと同じライフサイクルポリシーが適用されます。

 .NET Frameworkの新しいサポートポリシーは、.NET Framework 4.xのみを対象とした変更になります。2016年1月13日からは、.NET Framework 4.0、4.5、および4.5.1のサポートが終了し、現時点で最新の.NET Framework 4.5.2のみがサポート対象となります。

 .NET Framework 3.x以前についてサポートポリシーの変更はありませんが、2016年1月13日時点で.NET Frameworkの古いバージョンはすでに延長サポートが終了しています。2016年1月13日時点でサポート対象となるのは、以下のバージョンが動作するWindowsの延長サポート終了までとなります。

  • .NET Framework 3.5 SP1および3.5.1
  • .NET Framework 4.5.2

 単体製品としての(OS組み込みではない).NET Framework 2.0 SP2の延長サポートは2016年4月13日までとなっていますが、この.NET Framework 2.0 SP2が対象としているWindows XPおよびWindows Server 2003は、2016年1月13日の時点で延長サポートが終了しています。なお、.NET Framework 3.5 SP1または3.5.1がインストールされている環境で、.NET Framework 2.0や3.0のコンポーネントのサポートは継続して提供されます。

Windows Updateでの.NET Framework 4.5.2の配布開始

 .NET Framework 4.5.2は2014年5月にリリースされていますが、2015年1月のWindows Updateで重要な更新プログラム(KB2901983またはKB2901982またはKB2934520)としての配布が始まりました。

 ただし、インストール対象として自動的に選択されないので、Windows Updateを自動更新で実行している場合は、手が空いたときに手動で実行して更新しておきましょう(画面4)。.NET Framework 4.5.2のインストール後はPCの再起動が必要です。再起動後は、.NET Framework 4.5.2の言語パックがWindows Updateで検出され、インストール対象として自動選択されるようになります。言語パックのインストール後にもPCの再起動が必要です。

画面4 画面4 2015年1月のWindows Updateで、.NET Framework 4.5.2が重要な更新プログラムとして配布された。インストールするには手動で選択する必要がある

 多数のクライアントPCおよびサーバーを抱えている企業では、.NET Frameworkのバージョンを調査したいかもしれません。その場合は、以下のドキュメントが参考になるでしょう。レジストリを参照する方法、スクリプトで調査するサンプルコード、Visual Studio付属のツールを使用する方法が説明されていますので、ぜひ参考にしてください。

「山市良のうぃんどうず日記」バックナンバー

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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