プロジェクトにつきまとうリスク。事前に想定し得るリスクを洗い出し、適切に対応することでプロジェクトへの影響度合いを下げることができる。IFRS適用など難易度の高いプロジェクトでは特にそのリスク管理が重要になる。リスク管理体制を構築するポイントを解説する。
前回「プロジェクト運営の難所はこうして乗り越える」まで述べてきたように、今日のプロジェクト運営は多岐にわたるビジネスニーズへの対応、短期間・低コストでの導入、日々進化する技術への対応などが求められるため、より難易度が高くなってきている。ほとんどのプロジェクトでは計画段階で多くのリスクを内包しており、このリスクを適切に取り扱わずに、大量に発生する課題をただやみくもにつぶしていくだけでは、品質・コスト・スケジュールがどのような結果となるのか予測することはできない。このような難易度の高いプロジェクト運営において、プロジェクトのゴールを定量的に予測するためには、リスクを網羅的に洗い出し、計画的に管理する事がプロジェクトの成否を握っている。
当初からリスクがあると周囲から思われていたにもかかわらず、問題が顕在化されるまでアクションが取られないプロジェクトは思っているより多いのではないか? こういった事例の原因を究明していくと、リスクを挙げられない現場、リスクを抱え込む中間管理層、リスクを聞きたがらない経営層といった問題点が明らかになってくる。多くの場合、リスク管理はツールやプロセスという仕組みだけでなく、組織に根差す風土・文化にかなりの影響を受ける。
本稿ではプロジェクト成功のためにリスク管理をどのように進めるのかポイントを示したい。
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