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「電力消費当たり性能時代の幕開け」とインテル

2006/4/7

 インテルは4月6日に開発者向けイベント「インテル・デベロッパー・フォーラム Japan 2006」を開幕した。初日の4月6日に基調講演に立った米インテル上席副社長兼セールス&マーケティング統括本部長 アナンド・チャンドラシーカ(Anand Chandrasekher)氏は、インテルのマルチコア戦略を「アンダークロック」(クロックダウン)という言葉を使って説明した。

米インテル上席副社長のアナンド・チャンドラシーカ氏

 「あるプロセッサの最大周波数から20%オーバークロック(クロックアップ)すると、パフォーマンスは13%向上するが消費電力も73%上がる。一方、20%アンダークロック(クロックダウン)すれば、パフォーマンスは87%に低下し、消費電力は51%に下がる。ということは20%アンダークロックのプロセッサを2個使えば、パフォーマンスは73%向上するが、消費電力は2%しか上がらない。」。これこそがインテルのデュアルコア、マルチコアの考え方の基本だとチャンドラシーカ氏は語った。

 「2006年はすべての製品がデュアルコアに移行する。モバイルPCに適用したのと同じエネルギー効率のよいアーキテクチャを、デスクトップやサーバに広げていく」

 インテルでは、これにプロセス技術を組み合わせてさらにエネルギー効率の向上を目指す。

 「90nmから65nmへの移行で、トランジスタ性能を20%向上しながら、スイッチング電力を30%低減することができた。今年はさらに45nmへの移行で、再び性能の20%向上と電力の30%低減が可能になる」

 また、インテルの今後のプロセッサの基盤となる「Coreアーキテクチャ」では、1クロックサイクルで4つの命令を実行可能とする「ワイド・ダイナミック・エクセキューション」、一部のマルチメディア命令に要するクロックサイクルを減らす「アドバンスド・デジタルメディア・ブースト」、さらにキャッシュやメモリの利用における工夫を通じて、プロセッサ自体の効率が向上すると同氏は続けた。

 結果として、モバイル向け次期プロセッサの「Merom」(コード名)ではCore Duoとの比較でバッテリ持続時間を同じに保ちながら、パフォーマンスは20%以上アップ、デスクトップでは、次期プロセッサの「Conroe」(コード名)が、Pentium D950との比較でパフォーマンスは40%アップしつつ消費電力は40%ダウンするという。

 サーバでは、2006年後半に量産開始予定の低電力デュアルコア・プロセッサ「Woodcrest」(コード名)が、Xeon 2.80GHz 2×2MBとの比較で消費電力が35%ダウンするにもかかわらず、パフォーマンスは80%向上すると同氏は説明した。

 「2006年第3四半期に、インテルにおけるプロセッサの出荷はシングルコアとデュアルコアが半々になり、第4四半期にはデュアルコアが7割を占めるようになる」

 消費電力を抑えたうえで、さらにパフォーマンスを向上するという課題に応えるため、インテルではソフトウェアのマルチスレッド化を支援するパフォーマンス解析ツールやライブラリの提供も行っている。

 しかし、それだけで十分だろうか、と同氏は問いかける。

 「現在の典型的なサーバでは、全消費電力のうち48%をCPUが消費する。しかし、Woodcrestになると、これが33%に低下する。次の問題は通信やストレージ、ディスプレイを含めたプラットフォーム全体の消費電力をどう減らすかということになる」

 同氏は、現在インテルが研究中の、リアルタイムな電源管理を実現する「Enhanced Idle」という研究をデモしながらも、「最終的には業界全体の取り組みが必要になる」と述べた。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
インテル・デベロッパー・フォーラム Japan 2006

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