IE 7との新ブラウザ戦争へ
2006年「Firefox」が愛された理由
2006/12/27
「Mozilla Firefox」は、「Netscape」とのWebブラウザ戦争を勝ち抜いたマイクロソフトの「Internet Explorer」の対抗馬として2004年に登場した。いまや2ケタのシェアを獲得し、IEに次ぐWebブラウザの地位を確かにしている。特にIT技術者の間ではオープンソースで開発されるFirefoxの人気が高い。Mozilla Japanの代表理事 瀧田佐登子氏は「ユーザー主導型の開発がFirefoxの人気を呼んでいる理由」と分析する。
Firefoxの源流はNetscapeだ。開発中の「Netscape Communicator 5.0」のコードが1998年にオープンソース化され、コード管理のためMozilla Organizationが設立。2003年に非営利組織のMozilla Foundationが独立し、2004年にFirefox 1.0がリリースされた。
プロジェクト休眠中に試行錯誤
1998年にコードがオープンソース化され、Firefoxがリリースされるまでの期間、「プロジェクトは外部から見ると休眠していた」と瀧田氏は振り返る。しかし、開発に関わる技術者たちは眠っていたのではなく、「ユーザーがWebブラウザに対して何を求めているかを考え、開発に取り入れていた」。Firefox 1.0が2004年にリリースされ、日本を含めてユーザーを急増させた背景には、この間の「技術者の試行錯誤がある」と瀧田氏は話す。
Firefoxのユーザー主導は徹底している。特に品質にシビアな日本ではメニューで使う日本語までも開発者らがコミュニティで議論。「例えば『閉じる』にするか『終了』にするかを話し合った」という。Mozilla Foundationは次期版のFirefox 3を開発しているが、「各国によって求められる機能が違う。それをどうフィードバックするかが重要だ」(瀧田氏)
Firefoxが受け入れられた背景にはライバルIEの停滞もある。IE 6.0は2001年に登場したが、セキュリティ関連の脆弱性が相次ぎ指摘された。Firefoxが登場時に高いセキュリティ機能をアピールし注目を集めたのは、IEの脆弱性にうんざりしたユーザーの心を捉えたからだ。IEは新機能の追加も停滞し、メジャーバージョンアップのIE 7が登場するまで5年かかった。Firefoxはこの間隙を突いたともいえる。
Firefoxは市場シェアを継続して伸ばしていてワールドワイドでは「15%前後とみている」(瀧田氏)。国内では10%前後との認識だ。ワールドワイドのアクティブユーザーは7000万人を超える。ダウンロード総数は2億超。ユーザーの母数が多いクライアントアプリケーションとはいえ、オープンソースソフトウェアとしては異例のヒットだろう。瀧田氏は「オープンソースの製品なので技術者がユーザーの中心になると予想していたが、実際は普通の人が使っている。これはびっくりした」と話す。
FirefoxとIEが同じ土俵に
ただ、日本で11月に登場したIE 7は「Firefoxを超えた」との声も一部ではある。Firefoxの猛追を受けたマイクロソフトはタブブラウジングやRSSリーダー、フィッシング詐欺対策などの新機能をIE 7に盛り込んだ。また、標準技術に外れた仕様が多かったIE 6と異なり、IE 7は標準技術に準拠した。
瀧田氏はIE 7が標準技術に準拠したことを取り上げ、「オープンスタンダードを求めるFirefoxとやっと同じ土俵に並んだ」と語る。Firefoxは、IE 6に準拠したWebサイトを正しく表示できないことがあったが、IE 7に準拠したWebサイトならFirefoxでも同じように表示できる。つまりWebサイトというWebブラウザの競争の土俵が統一されることになる。「IE 7は(前バージョンの)Firefox 1.5にやっと追いついたと考えている。競争は両者にとってよい刺激になるだろう」
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