現在放映されている『蒼き鋼のアルペジオ アルスノヴァ』は、フル3DCGアニメーションです。
実際どのような絵になったかは、公式ページを観てください。

TVアニメ「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」公式HP
確かに2Dには限りなく近いけど、言われれば3Dらしさはある。
それが、止め絵でもグラビアのように魅力的。動くとさらに独特の味を出します。

艦艇のメンタルモデル(インターフェイス)が女の子、という設定のアニメです。
気になるのは、なぜあえてフル3DCGで作ったのか。
インタビューではこう述べています。

松浦:この作品での一番の新しさというのは、単に3DCGでTVシリーズを作ったということではなく、キャラクター商品としての価値も踏まえているという点なんですよ。
松浦:2Dアニメーションの場合は、意図して描きこまなければキャラクターは存在しないわけですけど、3Dの場合は、単にそこにキャラクターを存在させるだけなら、ボタン一つで既に完成したモデルを呼び出せてしまう。そこが3DCGの落とし穴なんです。ただ存在しているだけでは、視聴者に可愛くは映らない。
岸:まずお客様にとって、「3DCGのアニメって新鮮だね」というような形ではなく、素直に楽しんでいただけるものを作らないと意味がないと思っています
『蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐』岸誠二監督×松浦裕暁サンジゲン代表取締役インタビュー 「3DCGに宿る日本のアニメの"魂"」(前編)「AniFav」 (中編) (後編)

『アルペジオ』は「手書きアニメに寄せつつ、あくまでも3DCGがかわいい」の部分に挑戦しました。
ピクサーなどのリアル系と別の道を、選びました。


同じように作った映画に、同じ制作会社サンジゲンの『009 RE:CYBORG』があります。
こちらはジェットとジョーなどのアクションのスピード感ある映像でした。
しかし『アルペジオ』って、艦隊と潜水艦戦。スピード感の質が違います

静の画面が増えると、ほんのちょっとした動きに、独特のクセが出る。あえてそこを利用しています。
画面構成自体は、普通のアニメとあまり変わりません。
この制約の中で、髪の毛の動きや細かい仕草で、どう可愛く見せるか工夫しています。
フィギュアのかわいさを想像してみるのが一番近いです。

トゥーンレンダリングによる陰影の強さを使った演出もいい。
特にコンゴウのティータイムはそれが顕著。影絵的演出と引きのカット切り替えで「強さ」をキャラに含ませています。
一方、イオナなど表情変化の少ないキャラの、家に一人ほしい感たるや。
お人形さんですよ。

5話のハルナに至っては、ほのぼのお食事や入浴シーンまで。
いやほんと、こんなの本来なら手書きでいいんです。
そこをあえてやるのがいい。カット一つ一つをそのまま飾りたい。

アングルをぐるぐる回すような、立体である主張を特にしていません。エンディングくらいです。
ダイナミックな映像は、実はこの技術でいくらでも作れる。
そうではなく、新しい3D技術で自然な映像を作る。
今までのアニメ好きな人を、新しい形態のアニメに引きこんでいく戦略が練られています。

あとは、この技術が商品的価値を生み出せるのかどうか。
グッズ化する時に、普通のイラストのみになっちゃったら意味がない。
さてどうなるんだろう?
個人的には、『アイドルマスターG4U!』のように、自由に動かせるグラビアソフトの『アルペジオ』版が欲しいです。

そういえばマンガ『ピューと吹くジャガー』で、G子というCGアイドルに熱狂するファンの話がありました。
たくさんの人がCGに熱狂したら面白いよね、というギャグでした。
しかしもうそれがアイマス・初音ミク・デッドオアアライブ・閃乱カグラあたりからアルペジオまできて、むしろそっちの方がいいんじゃないか?というところまで来ています。

ところで艦これに「伊401」登場するのまだですかね。


『蒼き鋼のアルペジオ アルスノヴァ』BD1巻

(たまごまご)
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