いよいよ発売が8月25日に決まったWindows® Phone。かなりイイんじゃないですか?
スマフォ界の風雲児、話題沸騰、注目株と目されていたWindows® Phoneの最新版7.5を採用したauの「Windows® Phone IS12T」をこの1週間使ってみましたよ。ギズでは今までに端末のレビューやKDDIのWindows® Phone担当者にインタビューしていましたが、私はまったくノータッチ。Windows® Phoneは気になっていたので、端末を貸してもらい、アラフォーiPhoneユーザーからの目線でレビューを書かせてもらうことにしました。
さて、その使い心地はいかに!?
■超強力なソーシャル連携このご時世、メールだけじゃモノ足りません。一昔前なら携帯でメールとネットが多少できればそれで十分だったんですけど、時代はソーシャル。Twitterは当然、Facebookだってやるのが当たり前。だから最初っから Twitterに Facebookを組み込んじゃいました。さらに勢いあまって LinkedInまで。LinkedInはビジネスに特化したソーシャルネットワークでアメリカでは結構流行っているんですけど、まだ日本では知る人ぞ知るといったサービス。もちろん基本となるのはWindows® Liveで、Windows® Phoneを使うには Windows® Live IDが必要です。
ひとたびWindows® Live IDを登録し、TwitterやFacebook、LinkedInのID、パスワードをセットするとあら不思議。「People」という機能ですべてのソーシャルストリームを横断的にみることができるんです。
いままでTwitterアプリだ、Facebookアプリだとあっちこっちに切り替えて見ていたのに、PeopleのTLですべてチェックできるのでとても便利。
「People」と同じく便利なのが「Me」で、こちらは各ソーシャルネットワーク上の「自分」あてのメッセージなどの通知、新着情報が集中。一覧することができます。メッセージの投稿もできるんですが、各ソーシャルストリームにマルチポスト可能。
写真だってソーシャル。「Pictures」ではローカルに保存されたカメラロールの画像だけでなく、Facebook上にアップされた友人の画像が新着として表示されます。かなりソーシャルに特化していますね。
■基本はクラウドソーシャルだけではありません。データの持ち方もとても先進的。そうです、クラウドです。あまりWindows® Phoneの特長にクラウドは挙げられていないように思えるんですが、これがグッド。
GmailのID、パスワードを入力するだけでメール、さらにはスケジュールも同期されます。GmailとGoogle カレンダーで仕事をしている私にとってこれはとても助かります。
Windows® Liveのファイル共有サービス「SkyDrive」にも対応。ローカルに保存した画像データを手動、または自動で「SkyDrive」に転送することができるんです。自動でアップロードされるだなんて、まるで Eye-Fiのようですよ。「SkyDrive」上の画像は公開設定することができるので、完全公開したり、特定の友人にだけ限定公開することも可能。まあDropboxといえば分かりやすいでしょうか。
Officeが使えるのもWindows® Phoneの魅力の1つですが、OneNoteではメモ帳をクラウドに保存、スマフォからでもPCからでも継続して編集することができますよ。
さらに Officeのクラウド版、Office365にも当然対応。クラウド対応に死角はありません。
■新鮮なユーザーインターフェースこれらの先進的機能を操作するのが目新しいユーザーインターフェース。「メトロUI」と呼ぶそうですが、「メトロ」といえば「メトロポリス」。SFチックな映画かと思ったんですが実際には「地下鉄」のこと。随分と身近な話です。
「持てる武器は全て持って戦います」 KDDIのWindows® Phone担当者へインタビューしてきました : ギズモード・ジャパン
(Windows® Phoneを手に持ちつつ)さらに、Windows® Phoneの設定から選べるテーマカラーを見ててわかったんですが...マゼンタって大江戸線の色に似てません? パープルが半蔵門線、ティールが南北線、ライムが都営新宿線、ブラウンが副都心線で、ピンクが浅草線、オレンジが銀座線でしょ。で、残りが東西線、丸ノ内、千代田...ね? 実は日本の地下鉄の色なんですよこれ! まさに文字通りじゃなくて「色」通りメトロUI!
地下鉄デザインのUIはかなり斬新。フリックしてスクロールするのはもちろん、アイコンや文字が3D空間でまるでページをめくるかのようにアニメーションします。しかもとてもスピーディ。このスムースさは軽快で見ていてとても気持ちいいですね。
トップのメニューにIEやらオフィスのアイコンが並ぶのはとてもWindows®らしいのですが、ちょっと気になることが。そうなんです、Windows®の特徴である ウィンドウがどこにもないんですよ。
ここからはちょっと懐かしい話を交えた余談を。
Windows®からはじまった、マイクロソフトのウィンドウシステム。このウィンドウシステムはたとえPDAやPocketPCとなってもWindows® CEとして受け継がれ、さらには Windows® Mobileとなり、そしてWindows® Phone 7 となったわけですが、ふと気付くと名前にはウィンドウは残っているのに四角い窓やメニューバーがなくなっちゃいましたよ。あらら~。
そもそもウィンドウシステムは「デスクトップ(机の上)」をメタファーとして構築された、マルチタスク用のGUIです。昔の人なら覚えているでしょう、マウスカーソルを追いかける目玉のアプリケーション。あれをたくさん起動してマウスを動かしても全部のウィンドウの目玉がおっかけてくる、うわ、すげーーって感動したあれがマルチタスクの走りです。
マルチタスクとウィンドウシステムは密接な関係にあって、ウィンドウシステムをとっぱらってしまうとマルチタスクを表現するのがとても難しいんですね。だからウィンドウシステムではない iOS(昔のiPhone OS)は最初マルチタスクはサポートされてなかったし、マルチタスクをサポートした今もあまりスマートでない方法でマルチタスクを終了しなければいけません。Windows® Phone 7.5も例外ではなく、何がバックグラウンドで動いているのかちょっと分かりにくいですね。
「ウィンドウがないのにWindows® Phoneとはこれいかに」なんて気もしますが、ウィンドウの枠をとっぱらって液晶ディスプレイのサイズ以上の空間を広々と使っている感があるインターフェースはとても気持ちがいいです。
しかも背景が黒でその上にシンプルな文字とグラフィックがあるのをみていると、なんだかWindows®以前の世界を思い出します。そうです、あれですよ、MS-DOS!
MS-DOSの頃はよかったですよね~、真っ黒な背景に真っ白な文字。起動も瞬時、このスピード感はなんとなくMS-DOSに似ていません?
MS-DOSの頃はランチャーとかファイラーが流行っていて、シュンシュンアプリを起動したり、ファイラーでファイル操作したりしてましたねえ。いまでいうところのバックグラウンド処理、マルチタスクは常駐アプリでやってました。でもメモリが足りなくなるからCONFIG.SYSをいじってメモリを増やすのがポイントだったりと、そういえばCONFIG.SYSの本買ってHIMEM.SYSのパラメータをチューンしたよなあ、ってみんなついてこれてます?
つまりですね、「ウィンドウ」がないWindows® PhoneはMS-DOSの頃の素直さと潔さと、スピードがあるということです。そして電池も結構持ちますよ。一日外に持ち出して普段 iPhoneでやっているような作業、ソーシャルストリーム見たり、写真や動画をとったりしても問題なし。一日余裕で持ちました。
だからあえていおう、
MS-DOS Phoneであると!(笑)DOS Phoneなら背景が黒で、アイコンがビビッドな11色なのもなんとなく納得ですよ。だって昔は16色くらいしか使えませんでしたから、なんて。まあそういう冗談はともかく、スマートフォン世界の第3勢力として強力な1台が現われましたよ。後発だけあって、濁点、半濁点を斜めフリック「カーブフリック」で入力できるなど、細かな改良がされているのがまた憎いです。
一方で液晶画面は大きいのに文字が大きすぎて情報量は少ない、バッテリー残量がよくわからないなどまだまだ荒削り。アプリももともと数が多くない上、Windows® Phone 7.5で互換性がなくなり過去のアプリが動作しないことも。とはいえ、今後の可能性に期待しちゃいますね。
気になる人は是非実機を触ってみて下さいね~。斬新なインターフェースに最初は「うわっ、なにこれ!」と思っても、ジワジワ馴染んできますよ。
(野間恒毅)