スマホと無線通信して情報を遠隔表示するスマートウォッチ「Meta Watch」。これまでAndroid版だけが開発者向けに提供されていましたが、最近、Bluetoothがバージョンアップしたおかげで、ついにiOSにも対応しました。
...ん? でも、これで万事解決なんだっけ? と心の中で疑問に思われた方、かなり鋭いですねー。そもそも、iOSをはじめとしたAppleのデバイスでは、Meta Watchの動作が技術的に難しいとされてきました。古いバージョンのBluetoothだとプロトコルが合わないという問題もありますが、それ以前にiOSはBluetooth接続をバックグラウンドで行うのが難しい状況にあったそうなんです。
それって、iPhoneから常に最新データを受け取るスマートウォッチとしては致命的な問題ですよね? でもiPhone 4Sと新しいiPadでは、iOS 5とBluetooth 4.0(そしてバッテリー節約モード)があるのでもう心配無用! これからはじゃんじゃん好きなだけ使えばいいみたいですよ?
これまでスマートウォッチといえば、MicrosoftやFossil、Swatch、Sony Ericssonなど、巨額のマーケティング費用をもつ企業がリリースした製品ですら、ユーザーからはほとんど無視されてきました。しかし、最近アメリカではPebble Watchの成功をうけて、スマートウォッチに対する関心も高まってきています。
Meta Watchの創業者たち、Bill GeiserさんとDavid Rosalesさんは、過去にもスマートウォッチのデザインについて果敢に取り組んできた人たち。最近の流れを受けて、今回はちょっと注目すべき変わったアプローチをとっています。それは「Meta Watchをはじめから万能デバイスにしない」という思想。そのかわり、オープンプラットフォームにすることで、開発者たちがユニークで新しい価値を自由にユーザへ提供できるようにしたのだそう。
これは「iPhoneとiTunes App Storeとの関係にならって、スマートウォッチもユーザが好きなように機能をカスタマイズできるようにすべきなのではないか?」というコンセプトに賭けたから。意図的に自分を振りきって市場に問う、こういう潔さはステキですよね。
このMeta Watchは、Bluetooth 4.0、iOS / Android対応。ただしiOSは、Bluetooth 4.0に対応したiPhone 4Sと新しいiPadが実質的な対象機種となります。気になるお値段は199ドル、まずは開発者にむけて今月中に販売開始となるそうです。色はホワイトとブラックの2色で、3軸加速度センサー、96×96ピクセルのLCDディスプレイ、環境光センサーがついています。
スマートウォッチはまだこれからのサービス。だからこそ、新しい世界を切り開こうとしている人たちの過程を見るのって楽しいですよね。自分が開発者ならどんな風にカスタマイズしてみたいか、新しい使い方をちょっと考えてみるのも面白いかもしれませんよ?
Andrew Liszewski(Rumi/米版)