利益が全てじゃないよと。
2月28日にアップルの株主総会があり、その中でティム・クックCEOが良いこと言ってくれました。それは、一部の保守的な投資家がアップルの環境重視のポリシーを批判してきたのに対する反撃でした。
アップルは製品づくりにおいて革新的であるだけでなく、社会的責任を果たすという意味でも先進的なポリシーを進めつつあります。特に地球環境保護に関しては、たとえば自社で使う電力を100%再生可能エネルギーにすることを目標に掲げたりしています。
ティム・クックの言葉でいえば、アップルは「我々が最初に見たときよりも良い世界を残す」ことを目指しています。たしかに会社の成長過程では社会に対して何らかの負荷もかけているはずなので、それを元に戻すためにいくらか投資をするのは道義的責任と言えそうです。
アップルが掲げたポリシーはそれほど極端なものでもありませんが、そうは思わない人もいました。アップルの株を買っている人はたくさんいて、一般論としては、彼らが求めているのは利益です。だからアップルやクックCEOの考え方に反論する人がいてもおかしくはありません。
そんな株主のひとり、National Center for Public Policy Researchのジャスティン・ダンホフ氏が株主総会の質疑応答で立ち上がりました。そしてアップルが事業上必ずしもプラスでない環境ポリシーを今後も進めるつもりかと質問しました。
Apple Insiderによれば、クックCEOはいらだったように「我々は利益以外の動機からも、たくさんのことをしています」と答えました。さらに、「その考え方が気に入らない人は我々の株を手放すべきです」とまで発言したそうです。
対するダンホフ氏は米Gizmodo宛にメールでこんな声明を送っています。基本的に、企業が環境保護を重視することにも、地球温暖化に関する世論そのものにも、否定的であるようです。
「ティム・クック氏には、他のアメリカ人と同様、自身の政治的視座を持ち、自分の時間において法的に問題ない範囲で活動家になる権利がある」とNational Center for Public Policy Researchのエイミー・リデナーは言います。「そしてもし一市民としてのティム・クック氏が、95%以上の気候モデルは地球温暖化を過大に予測していることを無視して、そうした誤ったデータを元にロビー活動を行い、もって物価を上げ、雇用を減らし、経済成長や第三世界の寿命増大を遅らせるとしても、彼には自分がしたいように活動する権利がある。だが公開企業のCEOとしては、ティム・クック氏には投資家のために利益を出す責任がある。シエラクラブとかグリーンピース(訳注:いずれも自然保護団体)とかのCEOになりたいなら、そちらに手を挙げればいい。」
ダンホフ氏らは「アップルは環境保護主義を推進する団体への加入や支払いについて透明性を高めるべき」とする決議案を株主総会に提出していましたが、他の株主たちに否決されました。だって企業の目的もそうだけど、株を持つ目的も、お金だけじゃないですからね。
Mario Aguilar(原文/miho)