各社から魅力的なプロダクツがどんどこリリースされており、PCやタブレットの分野でもハイスペックなもの、リーズナブルなものなどあれこれ登場してきて、悩ましい毎日です。
今回はマイクロソフトが次世代のモバイルPCのあるべき姿として、PCにもタブレットにもなる2in1デバイスのリファレンスな存在を目指した Surface Pro 4 に触ってみましたよ。
これってどんなマシンなの?
基本はモバイルPCですが、タブレットにもクラスチェンジできる Surface Pro シリーズのニューモデルです。モバイルマシンの中でもトップクラスの性能とモバイル性を兼ね備えたモンスターマシンなんですよ。
横位置で使ってもストレスが少ないアスペクト比3:2の12.3インチ液晶タッチパネルが個人的にはキャッチー。2736×1824ピクセルと極めて高解像ですし、縦方向に長いからデジカメ画像をレタッチしたり、 Office のアプリを使うときに効くんです。見やすいんです。
CPUは第6世代(Skylake)Core iシリーズ(Intel Core m3/Core i5/Core i7 *Core i7は2016年1月発売予定)を採用し、メモリは4~16GB、ストレージは128GB~512GBと、デスクトップマシンと比較しても劣らないスペックも選べます。
12.3インチとなると大きいかと思いきや、ボディサイズが絞り込まれているし、質量も約766g(Core m3モデル)と、このサイズにしては軽量級。そうでもない? いやいや、この立派な足を見てください。キックスタンドを内蔵しているから、自立するんですよ。ここ重要。
またWindows機といえば、ビジネスシーンにおける生産性の高さも重要視されます。大丈夫です。 Surface Pro 4 Type Cover を使えば大丈夫です。
ディスプレイのカバーともなる別売りのオプションですが、 Surface Pro 4 をフル活用したいなら必須なアイテムかと。電力は Surface Pro 4 側から供給するタイプなのでバッテリーレス。いちいち充電する手間はかかりません。
2in1機でブラウジングするときはタブレットスタイル。文字やデータを入力するときはキーボードをつけてノートスタイル。このマルチパーパスな多様性が、どんなシーンでも頼もしく感じてきました。効率的に排熱されるように、冷却効率も改善されているので、Webブラウジングや各種編集作業などのCPUに高い負荷をかける作業をしても、ノイズで集中力が途切れることも少ないですよ。
全体のデザインや大きさ
Surface Pro 3 と比較すると、ディスプレイサイズがわずかに大きくなり(12インチ→12.3インチ)、解像度が高くなり(2,160×1,440ピクセル→ 2,736×1,824ピクセル)、わずかに薄くなり(約9.1mm→約8.4mm)、わずかに軽くなりました(800g→766g)。
数値上は大差ありませんが、ディスプレイの面積が増えたというのは嬉しいニュース。高解像になり、1画面内に表示できる情報量も増えました。 PixelSense ディスプレイはエアギャップレス構造となっていて、明るい場所でもコントラストが豊か。しかも、この PixelSense ディスプレイ 、一つ一つのピクセルを操作できるほど繊細なタッチ操作が可能という意味も込められており、もちろん指先でタッチしたときの精度も圧倒的。使っている間はドリフトすることがありませんでした。なおエクステリアデザインの方向性は Surface Pro 3 と並べると、パッと見でどちらがどのモデルなのかわからなくなるほど似ています。 Surface シリーズ共通のデザイン、ということですね。
もちろん中身は別物。上でも触れていますが、最新世代のCPUでスピードアップを果たしましたし、ディスプレイが高解像になりながらもバッテリーライフを維持しつつ、薄型化、軽量化を実現しているのですから。この変えないところは変えない、変えるべき要素はとことん変えるという作りはブランディングの意味でも重要です。ソフトウェア
クラウドスペースの OneDrive にデータを保存できるメモアプリ「 OneNote 」。いやあ! これはちょっと感動系ですね。 Surface ペン の消しゴム部分のノック1発で起動するというのは。
Surface Pro 4 & Surface ペン なら即座に起動できるので、アタマの中に素晴らしいポエムの神が降りてきたときも大丈夫。サッと Surface Pro 4 をバックから取り出し、 Surface ペン をワンノックでクリエイティブタイムに入れます。ロック解除も Windows Hello がありますから!(後述)
Office の各アプリもグレイト。 Word 、 Excel 、 PowerPoint 、 OneNote と、ビジネスシーンで欠かせないアプリをフル装備です。昨今は同じファイルが扱えるアプリも増えてきましたが、マクロを駆使するとなると、安定性の高さでやはり、 Office に軍配があがります。
Surface Pro 4 の良いところ
まずは、 Surface ペン に惚れました。いいなこれ。書きやすい。 Surface Pro 3 のペンと比較すると、とてもいい意味でわずかに粘りを感じます。この適度な摩擦が止め・はね・払いに効果的。リアルなペンのように抵抗があったほうがペンを走らせやすいんですよね。
別売りの Surface ペン先キット(1,512円)により、 Surface ペン のペン先を2H、H、HB、Bに変えられるのですが、コレは書き味を変えられるチューニングキットといえるかも。抵抗をなくしてサラっと流れるようにペン先を滑らせたいのなら2H、堅めのタッチながら止めたいところでピタっと止まるのが好きならH、じっくりと文字を書いていきたいならHB、筆のような柔らかなタッチで描きたいならBと、好みや状況によってカスタマイズできる点がグレイトです。
Surface ペン × Microsoft Edge (ブラウザ)の組み合わせもGOOD。ブラウザ画面に直接アンダーラインを引いたり丸で囲んだり、コメントを記せちゃいます。気になるサイトをブックマークするだけではなく、最初に見たときに、どの部分に一番ココロが動いたのかもビジュアルとして残せちゃうんですね。
Surface ペンで描いたデータと背景となるブラウザの画面はそのまま OneDrive に残せますから、自宅に他の母艦機がある人でも後から簡単にチェックしなおせます。文字情報のインプットに欠かせない Surface Pro 4 Type Cover を再度フィーチャーしましょう。各キーの間に隙間を設けたアイソレーション型のキーボードなんですよ。キーボード全体の横幅を広げたために、 Surface Pro 3 のモノと比べてキーそのもののサイズも体感的には変わらず。押し込んだときの硬質感もあり、運指のエネルギーもストレートに受け止めます。
この打鍵感、カバータイプのキーボードの中ではトップクラスといってもいいでしょう。トラックパッドの質感もいい。面積も広くなりましたし、ガラスを思わせる堅さとその先にあるクリック感が気持ちいい。ユーザーインターフェースデバイスの触感にこだわる人でも納得できるはず。この名脇役があってこそ、「 Surface Pro 4 」という主役は引き立つのです。脚光を浴びるのです。
となると、 Continuum の存在も忘れてはいけませんね。マシンの状態を常に把握して最適なUIにオートチューニングしてくれる機能で、 Surface Pro 4 Type Cover を外せばタブレットなUIに、 Surface Pro 4 Type Cover をつければPCなUIへと変わります。ハデではないかもしれませんが、両方のスタイルを使う人にとってこれは効きますよ。
Surface Pro 4 の面白い点
いま、 Windows 8.1 から Windows 10 にした、他社の2in1マシンを使っているのですが買い換えたくなっちゃったどうしよう…。一瞬で惚れ込むほど、 Windows Hello のインパクトが強烈です。
Surface Pro 4 の Windows Hello は顔認識の技術を使い、カメラをのぞき込むとロックが解除され自動的にデスクトップが表示されるというもので、いちいちキーボードでパスワードを入力する必要がないんです。
しかも赤外線で撮影したデータを元にするから、多少暗い場所でもササッとロック解除。メガネをかけていても認識してくれます。メガネっこにはありがたいかぎり。パスワードを自らの手で入力するという時代は終わりを告げちゃうのでしょうか。
モデルによってはデスクトップ級のスペックとなる Surface Pro 4 は薄型重視のタブレットゆえに、コネクタやスロットの種類、数は、持ち運んで使う際に必要なもののみとなっています。デスクの上に置いて多くの周辺機器と組み合わせて使いたいときは、電源ポート( SurfaceConnect )に接続する Surface Dock の導入がオススメ。Mini DisplayPort×2、LANポート×1、USB3.0×4、オーディオ出力ポート×1とインターフェースを増強できます。
これ1個でマウスだって外部モニタだって接続自由自在。音質を高めるためのUSB DACやハイレゾプレーヤーとだって合わせて接続できちゃいます。こちらも有料オプションですが、 Surface Pro 4 のオーナーになるなら揃えたいところですね。Surface Pro 4 の残念なところ
Surface Pro 4 の完成度は非常に高いレベルにあるのですが、敢えて言うのであれば、 Windows 10 の新しいフィーチャーである音声アシスタント機能の Cortana 。尋ねても寝ぼけているのかちょっと外した情報をレコメンドしてくれたりと、英語版はとても評価が高いのですが、日本語はまだ不慣れなのかもしれません。
マイクロソフトとしても「 Cortana は現在鋭意育成中」といった発言をしていますし、利用ユーザーからのデータのフィードバックをもとに進化し、今後の Windows Update により精度アップするということなので、期待しましょう。
Surface Pro 4 は買いなのか?
買ったときの満足度はトップクラスでしょう。ハイエンドモデルはスペック相応な価格となりますが、この軽さとスピードスターな性能を求めている人にとっては価値あるお買い物となるでしょう。今回僕が使ったCore i5モデルのレスポンスも上々。 ミドルグレードでこの素早さかとうなりましたよ。 Windows 7 時代に作った当時の最高スペックなウチの自作デスクトップより、シーンによってはスピーディに動かせましたし。テクノロジーの進歩ってすんごいですね。
前述したようにルックスは Surface Pro 3 に似ていますが中身は別物。いやね? ちょっと考えちゃったんですよ。 Surface Pro 4 がでたってことは、 Surface Pro 3 が安くなるんじゃないかなって。だったらそっち狙うのもアリかなと思っていたのですが、1週間過ごしてみて痛感しました。入力しやすいキーボードと操作しやすいタッチパッドとペンの多機能性とスピーディでセキュリティレベルの高い Windows Hello で買いです。あっ、画面のタッチ精度もあった!
この全域で性能アップを果たした Surface Pro 4 。PCショップの店頭で彼の姿を見かけたら、一度触れてみてください。
どんなユーザーにおすすめ?
で、最後にPhotoshop CCでRAWの現像なども試してみたのですが、1枚1枚作業するならCore i5モデルでも十分。さすがにLightroom CCで、数百枚単位の画像を一気に現像するとなるとCore i7モデルが必要になるでしょうが、逆を言えば上位機種ならクリエイティブワークにも使いまくれるということ。
スタンダードなCore m3モデルは、ブラウザビューワー&メール& Office マシンとしてビジネスマンに、Core i5モデルはちょっとした制作作業や開発作業も行えるエディター・ライター・エンジニアに、Core i7モデルはコンテンツを作るデザイナー・イラストレーター・カメラマンにおすすめですね。
source: Surface Pro 4
(武者良太)