ロボットの応用範囲が広がる中、ロボットメーカー大手の安川電機会長で、2017年12月に国際ロボット連盟(IFR)の会長に就任した津田純嗣氏にロボットの果たすべき役割について聞いた。
AI(人工知能)を内蔵したロボットが、人間の能力を上回る「シンギュラリティ」の可能性については、「一生かかってもそこまでは行きつかない」と指摘。人間の仕事を奪うのではないかという懸念についても「マスコミの論調的に言われているだけで、科学、技術系の人でそう言っている人はいない。囲碁や将棋などの狭い分野では人間の能力を上回ることはあっても、ロボットに人間の代わりをさせようと思って取り組んでいる人はいない」と述べ、ロボットの果たす役割はあくまで人間を補助するものとの認識を示した。
「シンギュラリティ」とは
米国の有名な発明家レイ・カーツワイル氏が、2029年ごろにコンピュータが人間の知性レベルに到達し、もしくは凌駕(りょうが)すると予測。45年には全人類の知能をAIが超えると主張し、「シンギュラリティ」は「2045年問題」とも言われている。
三菱総合研究所が17年1月に発表した報告書では、AI技術が普及する2030年には、日本の国内総生産(GDP)は50兆円ほど増える一方、雇用は240万人減ると予測した。また、13年にオックスフォード大学のオズボーン氏らが発表した「雇用の未来」によると、今後10〜20年程度で米国の雇用の約半分はAIやコンピュータによって代替されるリスクが高いと予測している。
――ロボットの市場規模はどのくらいか。
ロボットのうち8〜9割は産業用で、自動車の部品製造や組み立て、半導体・液晶の製造工程などで使われているものが圧倒的に多い。金額でみると、日本ではロボット単体で19年が約1兆円、周辺部分を含めるとその4〜5倍になるだろう。台数では世界で200万台強が動いている。海外で一番旺盛なのが中国だ。順調にいけば、毎年15%ほど出荷台数を伸ばしていくだろう。
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