富士フイルムは1月15日、顔検出技術を使ったアプリケーションを体験できるサイト「顔ラボ」をオープンした。第1弾として、写真から顔を検出して加工できるWebアプリを公開。画像から顔の位置を指定してくれるAPIも、28日に公開する予定だ。
顔検出技術は、コンパクトデジタルカメラ「FinePix」などに搭載した技術。複数の顔が入った画像から1秒足らずで顔の部分だけを切り出し、被写体の顔に自動的にピントを合わせたり、顔色を補正したりできる。横向きや斜め向きの顔でも検出できる精度が売りだ。
顔ラボでは、同技術をネット上のアプリケーションに応用し、トラックバックやコメントでユーザーから意見を募って技術の向上に役立てたり、新たな活用法を探る。
まずは、ユーザーがアップロードした画像から自動で顔を検出し、顔にぼかしをかけたり、横線で目を伏せたりといった加工をする「顔シークレット」を公開した。
タイガーマスク風のスタンプで顔を隠したり、ウサギの耳のスタンプを付けるといった加工も可能。ブログなどにアップロードする写真に写ってしまった見知らぬ人の顔を隠す――といった活用法を想定している。
1月21日には、自分でアップロードした顔写真で遊べるゲーム「顔シャボン」を追加する。ふくらんでいくシャボン玉を、破裂寸前のタイミングでクリックしてふくらみを止めるゲームで、シャボン玉に顔写真を貼り付けて楽しむ。
APIも1月28日に公開する。画像から顔の位置を検出し、座標で指定してくれるAPIで、アップロードした写真や、指定したURLに含まれる画像から顔検出できる。
同社が顔検出技術の開発を始めたのは10年ほど前。もとは、写真をプリントするラボ機器向けで、運動会の写真など、たくさんの人の顔の向きがバラバラの場合にも、正確に顔を検出して補正するための技術だった。
同技術は同社製デジタルカメラ「FinePix」シリーズに06年から搭載。自動で顔にピントを合わせたり、明るさを調整できる機能に応用してヒットした。また、携帯電話向けには、写真から顔や目、口の位置を検出して装飾し、デコメールにできるサービスも、同技術を活用して提供している。
「富士フイルムの技術の精度は世界トップと自負している。携帯電話での認証など、セキュリティを確保する目的で開発された他社の顔検出技術に比べて汎用性も高い」と、同社の沢野主任技師は胸を張る。
今後、顔認証機能を応用したセキュリティシステムや、顔をキーにして写真データを整理・検索するといった企業向けアプリなどでの利用も見込んでおり、同サイトで技術のブラッシュアップにつなげていく。「動画の中から顔を検出し、ぼかしや目伏せが入れられるようなサービスができれば」――ネット応用ビジネス推進部の阿部優子さんは展望する。
ユーザーからの意見を積極的に取り入れようと、サイトにはコメント機能やトラックバック機能を付けた。「企業間で話を進めるだけでは、ユーザーニーズを十分にくみ上げることは難しい。顔ラボを通じ、ユーザーの意見の中に『顔検出技術のこんな使い方もあるのか』という気づきがあればうれしい」(阿部さん)
自社開発したソフトウェア技術を外部公開するラボサイト「FUJIFILM Internet Technology Labs」の第2弾として公開した。「顔検出はホットな分野。最近は顔検出機能がデジカメに搭載され、CMで“顔検出”という言葉が使われるなどメジャーなものになってきた」(阿部さん)
ラボサイトで公開した技術の第1弾は、画像検索エンジン「TRIPIT」だった。「TRIPITの時は『富士フイルムはこんなこともやっているのか』という驚きの声が多かった。樹木希林さんのイメージはあっても、ハイテクなイメージはあまりなかったのかもしれない。ラボサイトを通じてソフトウェア技術の高さもアピールできた」(同社ネット応用ビジネス推進部の沢野哲也主任技師)
今後もラボサイトで同社の技術を公開していく。「顔ラボやTRIPITとは全く違うテイストのものを公開する」(阿部さん)予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR