シャープは4月8日、堺市に建設している液晶パネル工場の稼働開始時期を半年早め、今年10月から稼働すると発表した。在庫調整が一巡した上、新興国を中心に需要回復の兆しが出てきており、量産化のめどが付いたため、稼働を前倒しして対応する。片山幹雄社長は「競争力のある工場の稼働は、厳しい環境で競争する武器になる」と話している。
堺工場は約3800億円を投じる世界最大級の液晶パネル工場。世界で初めて第10世代ガラス基板(2880×3130ミリ)に対応した最新鋭設備を備え、主に40〜60インチクラスの大型テレビ用パネルを製造する。稼働当初の投入能力は月産3万6000枚で、最終的に倍の7万2000枚まで引き上げる計画だ。来春にはソニーと合弁化する予定。
世界金融危機の影響で液晶テレビ需要が冷え込み、メーカー各社は積み上がった在庫処理に追われた。同社も一部ラインの再編を迫られたほか、需要の閑散期となる1〜3月期の工場稼働率は「半分くらい」に落ち込んだ。
だが現在、主力の亀山第2工場はフル操業状態が続いているという。「フル操業と聞いてびっくりするだろうが、びっくりするくらい市場が動き始めた。この1〜2週間で急に注文が入り始めた」──8日の経営方針説明会で、片山社長は声を弾ませた。
中国で液晶テレビ需要が伸びてきているなど、新興国を中心に需要回復の兆しが出てきた上、昨年度に比べ生産能力は減っているため、年末商戦に向けて「秋には堺工場を動かさないと全く足りなくなる」と判断。中国メーカー向けにパネルを外販するめども付き、稼働前倒しに踏み切る。
堺工場には「亀山にはない新技術」も投入するという。片山社長は新技術の詳細については「堺で製造したパネルが出てくるまで待っていてほしい。わくわくするような液晶が出てくる」と自信を見せた。
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