メディアはこの数日、GoogleがNetbook(ミニノートPC)向けに発表したOS「Chrome OS」により、Microsoftの死が迫っているようだという話題で持ちきりだ。
Windowsの死を予測するのは時期尚早かもしれない。Microsoftは既に、Googleの省機能OSのライバルとなるプロジェクト「Gazelle」(コードネーム)の開発を進めている可能性がある。
MicrosoftはChrome OSについて公式のコメントを出していないし、Netbook向けOSのリリース予定についても言及していない。だが同社は、Netbook分野での大きな市場シェアを維持するために、Googleに対抗しなければならないと感じているかもしれない。Chrome OSが満足のいくユーザー体験を提供すれば、この分野での同社のシェアが浸食される可能性がある。
「Google Chrome OSはMicrosoft Windowsに真っ向から挑むものではないが、側面からの攻撃となる」とGartnerのアナリスト、レイ・バルデス氏は指摘する。「Googleの通常のアプローチは、範囲を絞り込んで、問題の一部を深いレベルで解決するというものだ。Google Mapsはそうだったし、GmailとChromeでも、それほどではないが同様の手法が見られた」
その精神で、GoogleはChrome OSで「やりやすいところを選んでいる」とバルデス氏は付け加えた。「同社は既にブラウザを持っている。OS(独自のLinuxバージョン)もある。『絵』を完成させるのに必要なのは、比較的小さなサブシステム(ウィンドウシステム)だけだ」
Chrome OSは初め、コンシューマー向けの製品になるが、3〜5年ほどで企業にも影響を及ぼすようになるかもしれないと同氏は考えている。
Microsoftがそれに対抗するためには、Gazelleのような「高速、安価、軽量の、ブラウザとOSのハイブリッド製品」が必要だと同氏は主張する。
GazelleはブラウザベースのOSとして動作し、デバイスとシステムリソースへのアクセスを管理し、ポリシーを施行する可能性が高い。理論上は、これによってユーザーのデバイスを不正なプラグインなどの攻撃コードから保護する。
ブラウザOSは、クラウドベースのアプリケーションという文脈では特に理にかなっている。クラウドアプリケーションは普及が進み、人気が高まってきており、ブラウザには処理能力を要するWebページを処理すると同時にユーザーのデバイスとの仲介をするという重圧がかかっている。
「ブラウザがOSになるように設計されたことはなかった」とMicrosoft Researchのシステム・ネットワーキング部門の上級研究者ヘレン・ワン氏はMicrosoft ResearchのWebサイトで語っている。「プリンシパルは同じプロセス内あるいは保護ドメインでの共存が可能で、リソース管理はほとんど存在していない」
だが、GazelleがNetbook OSに適していると分かったとしても、Chrome OSの普及を食い止めるには、Microsoftが製品版をどれだけ迅速に投入できるかが問題となる。GoogleはChrome OSを2010年後半に提供する予定だ。
Googleはブログで、Chrome OSは最終的にハイエンドデスクトップシステムにも適していることが判明すると予測しているが、特定の市場セグメント向けのOSを開発するのは、問題が多いことが分かるかもしれない。Googleは周辺機器ベンダーなど、面倒な問題に対処しなければならないだろう。
MicrosoftはNetbook分野での優勢な立場を示してきた。同社は10月22日のWindows 7リリースで、引き続き優位を保つ考えだ。
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