グリーは10月26日、SNS「GREE」のPC版を約3年ぶりに大幅にリニューアルし、140文字までのコメントを投稿できるTwitter風「ひとこと」機能をメインの機能として追加。β版として公開した。「これからのネットは、リアルタイムコミュニケーションに向かう」と、田中良和社長は話す。
ユーザートップページはTwitterライクに一新。トップページ最上部のフォームにひとことを投稿すると、そのすぐ下に掲載される。絵文字にも対応した。
リンクしている友人のひとことも新しい順に表示。友人のひとことに返信することもできる。Twitterに投稿したコメントを、ひとことに表示するTwitter連動機能も用意した。
新たに、PC版からもアバターアイテムを購入できるようになったほか、携帯版で先行して行っていたニュース配信もスタート。ニュースのリンク入りひとことを書くこともできる。
まずはFirefox 3.5、Safari 4、Chromeに対応。11月上旬の正式版リリース時にはInternet Explorerにも対応するほか、ひとことの投稿をTwitterに反映する機能や、トップページデザインを変えられるスキンも導入予定だ。
GREEはPC専用SNSとして、田中社長が楽天社員だった2004年に個人サービスとしてスタート。当初は友人とリンクし、お互いを紹介しあう機能が中心だったが、mixiの後を追うようにして、日記と足あと機能を追加した。
2004年12月に株式会社化。06年にはKDDIと提携し、モバイルサービスを本格化。07年からは、当時急成長していた「モバゲータウン」と同様、モバイル版にアバターやゲームを導入した。テレビCMなどを使ったマス広告も奏功し、モバイル版は急成長。9月末時点での登録ユーザー数は1512万人と、モバゲータウン(9月末時点で1510万人)を超えた。
一方でPC版の利用は低迷。月間ページビュー(PV)は1〜3億程度で推移し、mixi(40〜50億PV)に大きく水を開けられている。「PCを使うユーザーも取り込まないと、目標としている2000〜3000万ユーザー獲得を達成できない」――GREEが目指すのは、日本で一番使われるサービス。携帯版がモバゲーを抜いたこのタイミングで大規模なリニューアルに踏み切り、mixi追撃態勢を整える。iPhone版も投入する計画で、ユーザーのすそ野を広げていく。
Twitterライクな半リアルタイムコミュニケーション機能をメインにすえたのは、「次はリアルタイムWebが来る」と考えたためだ。
「われわれは、5年後、10年後に求められるサービスを想像しながら作っている。5年前は『2010年はモバイルが来る』と考えモバイル版を強化したが、次の5年は、リアルタイムに今を発信し、返信するというリアルタイムコミュニケーションに向かう」
リアルタイムコミュニケーションに注力する背景には、「今後、より多くの人が、より長時間ネットを使うようになる」ことがある。「みんなで同時にネットを使うタイミングが増え、同時に使って面白い機能が求められる」
一方、「日記を読み、足あとを付けるという旧来のスタイルは、リアルタイムに楽しめない」ため、「日記+足あと”というスタイルはもう古い」と判断。日記機能も残してはいるが、トップページから数クリックたどらないと行き着けないサブの位置づけにした。
携帯電話版にも近く、ひとこと機能を追加する予定だ。女子高生の間では、Twitter的なひとことコミュニケーション「リアル」が、携帯向け個人サイト「ホムペ」上で流行しており、そういったニーズも取り込めるとみている。
「モバイルの成功事例をPCに導入し、PC版を伸ばしていく」――PC版にもゲームを導入していく計画だ。
「mixiなど他社のSNSもソーシャルゲームを取り入れ始めているが、GREEは3年前から、ゲームとSNSの組み合わせが新しい時代に求められると考えてきた」。モバイル版でのゲーム開発経験を生かし、時期は未定だが、PC版にもソーシャルゲームを投入する。
モバイルのノウハウを取り入れ、PC版のユーザーインタフェースも、シンプルに分かりやすく改善した。「モバイルサイトはシンプル。以前作っていたPCサイトが分かりにくく難しいもので、多くの人に受け入れられるものではなかったと、3年間のモバイルサイト構築経験から分かった」
ライバルのmixiとモバゲータウンはゲームAPIをオープン化。他社が作ったソーシャルゲームを取り入れられる態勢を整えている。GREEもオープン化は「検討中」だ。「面白いゲームを作ってもらえるならばオープン化に意味はあるが、そうでないなら意味はない」と田中社長は慎重に検討している様子だ。
まずは、PC版で存在感を打ち出すことが目標。「mixiやアメブロ、はてなは、PCでGREEの何百倍も使われている。まずはそれらのサービスと肩を並べ、PCでも日本有数のサービスになりたい」。PC版、iPhone版は英語版もリリースし、海外展開していく考えだ。
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