初音ミクに新しい表情を追加する拡張音源パック「初音ミクAppend(MIKU Append)」が4月30日に発売される。開発元であるクリプトン・フューチャー・メディアでVOCALOID関連製品を統括するキーパーソン、佐々木渉さんに話を聞いた。
初音ミクAppendは昨年8月31日、初音ミクの誕生日(発売2周年の日)に発表。このときは3つの歌声データベースのデモを公開。12月には5つのデータベースの中から3つの初期β試用版を配布し、新しい声を活用して多くの楽曲が作られた。
この試用版は2週間しか使うことができないため、ユーザーから製品版を待ち望む声が高まっていたが、このほど発売日が決まり、製品内容もフィックスした。Soft、Dark、Solid、Vivid、Sweetの5つ音声ライブラリが決定。3Dフィギュアをベースにした新たなビジュアルも公開された。
公式サイトには、それぞれのライブラリについて次のような説明がされている:
オリジナルの初音ミクの可愛らしい表情に追加される音声ライブラリの内容は、甘くささやくような[Sweet]、大人びた声で哀愁の有る[Dark]、やわらかく優しい声の[Soft]、ハキハキと活舌の良い[Vivid]、シャープで緊張感のある声質の[Solid]……どれも個性的な声質で、初音ミクの世界観を広げる事でしょう。
ところが先週になって新たな「表情」が加わることが判明した。それが「Light」だ。初音ミクAppendで加わる音声ライブラリはこれを入れて合計6つ。オリジナルの初音ミクを含めて7つの声質を使い分けることが可能になる。
オリジナルの初音ミクと同様、初音ミクAppendも声優の藤田咲さんの声を元にしている。彼女の音声を収録するとき、佐々木さんは藤田さんに「こういう発声を」と指示。その成果物が編集され、データベース化されることで、新しい表情ライブラリとなるという流れだ。スタジオで藤田さんにどのような指示を出したか、佐々木さんに聞いた。
Solidについては裏話がある。最初は「Strong」という名前がついていた。しかし、藤田さんの声を、そのキャラクター、テンションでどんなに強くしても「Strongとはちょっと違うかなあ」と思ったため、つまった、とげのあるものをSolid、そうでないものをLightとした。
「明るくてあっけらかんとした、脳天気な声というのをイメージして作ってはいるんですけど……」と佐々木さんはLightについて若干言葉を濁しつつ説明する。
佐々木さんによれば、ミクAppendの表情ライブラリでは、Soft、Sweet、Darkは名前と実際に出てくる歌声が直結していて分かりやすい。それに対してVividやSolid、Lightは分かりづらいという。藤田さんに意識して強い声や明るい声を出してもらっても、実際にそれで変化する声のパーツと、さほど変わらないパーツがある。SweetやSoftと比べると変化が分かりにくい傾向があるようだ。フレーズによってはLightとSolidの区別がつかない場合もあるかもしれない。
「名前は付けたものの、それぞれのライブラリ単体では成立しないのでは」という思いもあり、「6個並べて距離感を出さないと」ということになった。
同じ系列の歌声とはいえ、6ライブラリで1万6800円。佐々木さんは「6個のデータベースが入っていてこの価格は安いと思うけど、期待値の熱量が鏡音リン・レンが出たときに相当するかというと、そうではないだろう。そうなってくれればありがたいが」と冷静に見ている。販売数については「初音ミクユーザーの20%くらいが上限かな」。
初音ミクAppendは、オリジナルの初音ミクが正規インストールされてないとインストールできない。「優待価格」とされているが、その時期は限定されているわけではなく、ミクの正規ユーザーならばずっとこの価格で買える。
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