世界最速コンピュータを決める「Top500」ランキングで、中国のスーパーコンピュータ「天河一号A(Tianhe-1A)」が世界一の座を獲得した。
第36回目となる今回のランキングで、天河は2.57P(ペタ)FLOPSのベンチマークスコアを記録し、前回1位だった米Crayの「Jaguar」を抜いた。天河は中国の国防科学技術大学が開発したシステムで、天津の国立スーパーコンピュータセンターで稼働している。前回のランキングでは旧版の天河一号が7位に入っていた。
2位はCrayのJaguarで、ベンチマークスコアは1.76PFLOPS。3位は、前回2位だった中国の星雲(Nebulae)で1.27PFLOPS。天河の躍進で順位を落とした格好だ。4位に入ったのは日本の東京工業大学のTSUBAME 2.0。NECとHewlett-Packard(HP)が構築したもので、ベンチマークスコアは1.19PFLOPS。トップ10入りした唯一の日本のシステムとなる。5位はCray製の「Hopper」で、米エネルギー省のエネルギー研究科学計算センターで稼働している。ベンチマークスコアは1.05PFLOPS。
順位 | 開発元 | システム名 | ベンチマークスコア(TFLOPS) | 国 | 納入先 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 国防科学技術大学 | 天河一号A | 2566 | 中国 | 国立スーパーコンピュータセンター(天津) |
2 | Cray | Jaguar | 1759 | 米国 | オークリッジ国立研究所 |
3 | 曙光(Dawning) | 星雲 | 1271 | 中国 | 国立スーパーコンピューティングセンター(深セン) |
4 | NEC、HP | TSUBAME 2.0 | 1192 | 日本 | 東京工業大学学術国際情報センター |
5 | Cray | Hopper | 1054 | 米国 | エネルギー研究科学計算センター |
6 | Bull | Tera-100 | 1050 | フランス | 原子力庁 |
7 | IBM | Roadrunner | 1042 | 米国 | ロスアラモス国立研究所 |
8 | Cray | Kraken | 831 | 米国 | テネシー大学国立計算科学研究所 |
9 | IBM | Blue Gene/P | 825 | ドイツ | Forschungszentrum Juelich |
10 | Cray | Cielo | 816 | 米国 | ロスアラモス国立研究所/サンディア国立研究所 |
従来、米国勢が強いTop500ランキングだが、トップ10のうち米国のシステムは5台で(前回は7台)、残る半分は中国、日本、欧州勢が占める。Top500全体では、米国が占める台数は282台から275台と後退。中国は24台から42台、日本は18台から26台へと拡大、欧州は144台から124台に後退している。
また全体的に性能も向上しており、トップ10のシステムのうち7台が1PFLOPSを突破し、Top500全体のベンチマークスコアの合計は前回の32.4PFLOPSから44.2FLOPSに増えている。トップ10入りした中国のシステム2台とTSUBAMEを含め、17台がGPUを活用して高速化を図っている。省電力化も進み、消費電力が1メガワットを超えるシステムは500台中わずか25台だったという。ワット当たり性能も、平均で150MFLOPS/ワットから195MFLOPS/ワットに向上している。
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