キングソフトは8月22日、オンラインストレージ「KDrive」の無料容量を最大50Gバイトに拡張した。クライアントソフトにMac OS版を追加するほか、iOS/Android向けアプリも刷新。アプリ内で撮影した写真をKDrive上に直接アップロードできる「クラウドカメラ」機能などを追加した。
KDriveは、2Gバイトの無料オンラインストレージとして2011年5月にスタート。Webブラウザ経由でファイルのアップロードや閲覧が可能なほか、無料のクライアントソフトをPCにインストールすれば、ローカルドライブと並ぶ形で仮想ドライブを作成し、オンラインストレージと仮想ドライブを自動で同期できる。
今回のアップデートでは、新規登録時に30Gバイトからスタートし、チェックイン機能やユーザー招待機能などの利用によって最大50Gバイトまで拡張できるようになった。同社のオフィスソフト「KINGSOFT Office」のシリアルナンバーを入力すれば、一気に50Gバイトまで拡張することも可能だ。
無料オンラインストレージサービスの容量としては「業界最大だと思う」と、同社の沈海寅社長は話す。DropboxやSkydribe、Google Driveといった他社サービスの無料容量は軒並み2〜16Gバイト。ネイバージャパンのNドライブは30Gバイトの無料容量を提供しているものの、50Gバイトまで拡張できる国内の無料サービスはKDriveだけだという。
沈社長によると、KDriveの大容量化の背景にはスマートフォンの進化の“矛盾”があるという。「スマートフォンのカメラは高解像度化しており、撮影できる写真のファイルサイズも大きくなっている。だが、端末内蔵ストレージの容量には限界があり、micro SDカードなどの外部ストレージも32Gバイトまでしか対応していない場合がほとんどだ。こうした矛盾の中で(大容量オンラインストレージの)ニーズがかなり大きくなるのでは」
iOS/Android版アプリに追加されたクラウドカメラ機能では、ユーザーがアプリ内で撮影した画像を直接KDriveにアップできるようになった。画像はKDrive内の「クラウドアルバム」に保存され、撮影したスマートフォンや他の端末から閲覧/ダウンロードできる。また、端末内のローカルフォルダから写真を選択してアップロードすることも可能だ。
写真のアップロード時には、画質を「元画質」〜「低画質」の間で選択できる。ファイルサイズや通信環境によってはアップロードに時間がかかる場合もあるが、バックグラウンドでアップロードを続けながら次の写真を撮影する――といったこともできる。「スマートフォンのカメラにローカルフォルダはもういらない」と沈社長は自信をみせる。
「ユーザーから要望が多かった」というMac版クライアントソフトも提供するほか、Windows版クライアントソフトのユーザーインタフェースも刷新。エクスプローラ上で仮想ドライブを開くと右側に「ナビゲーションパネル」が表示され、KDrive内のファイルのダウンロードリンクを設定する「パブリックリンク」や、他のKDriveユーザーとのファイル共有、KDrive内のファイルのバージョン管理などを簡単に行えるようにしたという。
また、新たにAPIをオープン化した。これにより、他社のアプリやWebサービスとの連係が可能になるほか、ハードウェアメーカーとの協業を通じて「スマートTV」などへのプリインストールといった連係も考えられるという。
無料版のほか、30Gバイト(6000円/年)、50Gバイト(9600円/年)、100Gバイト(18000円/年)も追加容量プランも提供する。
沈社長によれば、オンラインストレージのユーザーは、有料サービスを使わずに複数の無料サービスを使い分けている場合が多いという。そこで同社はKDriveの大容量化を通じ、複数のサービスを使い分けていたユーザーに対し、KDriveに“一本化”してもらうのが狙いだ。
「50Gバイトの無料容量で満足してくれるユーザーもいると思うが、すぐ足りなくなるのでは」と沈社長。まずは年内100万を目標にユーザー数を増やし、一部ユーザーへの有料サービスの提供で収益を上げていく考えだ。
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