1人1人の好みに合わせてプロのスタイリストが服をセレクト、パーソナライズされた全身コーディネートが届く――女性向け定額ファッションレンタルサービス「airCloset」が成長を続けている。単なるレンタルではなくスタイリングやコンサルティングも含んだ「ありそうでなかったサービス」として、サービス開始前から利用希望者が殺到。2015年2月のスタート段階で登録者数は2万5000人にまでふくらみ、利用開始まで数カ月待ちになるなど話題を集めた。ユーザー数や提携ブランドを増やして着実に成長を続け、今年1月には約10億円の大型資金調達を達成している。
「ほしい情報を自然にSNSでキュレーションしているように、自分に似合うファッションにITの力で出合ってほしい」――“ファッション×IT”の新しい形を提案するairCloset。人気の秘密と急成長の裏側を、運営会社の天沼聰代表に聞いた。
airClosetは、“もう1つのクローゼット”をテーマにした女性向けの定額ファッションレンタルサービス。好きなアイテムを選んでレンタルできる――わけではなく、ユーザーの好みに合わせてプロのスタイリストが全身コーディネートした3着が届くのが特徴だ。気に入った商品があればそのまま購入でき、レギュラープラン(月額9800円)は何度でも、ライトプラン(月額6800円)は月に1度まで交換できる。送料、クリーニング不要でそのまま箱に入れて返送すれば、新たなボックスが送られてくる仕組みだ。
メインターゲットは20代後半〜40代の女性で、30代半ばが全体の約40%を占める。無料会員も含め、5月現在でユーザー数は約8万人にのぼる。決して手頃な値段ではないが、継続率は高く、新規の申し込みも絶えないという。現在もサービスを利用するまでに数週間程度の待ち時間が必要な状況だ。
サービス開始時には数十程度だった提携ブランド数は、300以上に拡大。具体的な名前は公表していないが、ファッションビルや百貨店に店舗を構え、認知度・人気ともに高いブランドをそろえている。
最大のポイントは、プロのスタイリストが全身コーディネートを選定すること。ユーザー1人1人のサイズはもちろん、好きな色、着てみたい色、よく着るスタイルのイメージ写真、お気に入りアイテム――などマイページに登録している情報をもとに、1着ずつ手作業で選んでいるという。天沼代表は、「服選びをサポートするシステムはもちろん開発しているが、最後は人の目とプロのひらめき」とこだわりを話す。
ユーザーは服を交換するたびに、各アイテムに関するフィードバックコメントを送る。気に入った点はもちろん、サイズが合わなかった、色味が気に入らなかった――など、実際に試した感想を書き込み、スタイリストはそれを参考に次回の服を選ぶ。プロによる各アイテムの着こなしのコツがメッセージとして届くのも、ユーザーから評価の高いポイントだという。使い続けるほど、自分の好みが蓄積、可視化されていく。
「受け取ったのは夜だったが、早く着たいので着替えてオシャレして近所のスーパーに行った」「職場で『いつもと雰囲気違うね』と言われた」「今まで挑戦したことない服だったけど案外似合うかも」「ファッションについて考える時間が増え、服選びが楽しくなった」――日々寄せられるユーザーからのリアルな反応に、思い描いていた“ファッションとの新たな出合い”を提供できている実感があるという。
「どうしよう、服がない!」――クローゼットの中には服が十分にあっても、出てくる言葉は「服がない」。サービス誕生のきっかけは、外出する直前まで着る服に悩む天沼代表の妻の姿だったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR