Windows 8の発売以降、PCメーカー各社はタッチ操作のタブレットスタイルと、キーボード入力のノートPCスタイルを1台で両立できる「ハイブリッドPC」の開発に注力している。タッチパネルに配慮して操作画面を大改造したWindows 8に合わせて、PCの形態が久しぶりに大きく変わろうとしているのは興味深い。
日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の「HP ENVY x2 11-g005TU」も、そんなハイブリッドPCのトレンドに乗って登場した新モデルだ。一見、11.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載したクラムシェル型のモバイルノートPCだが、ディスプレイ部だけをキーボード部から取り外して、単体のタブレットとして手軽に使うこともできる。
コンパクトなタブレットながら、基本システムにIntelのAtom Z2760(開発コード名:Clover Trail)を搭載することで、機能に制限があるWindows RTではなく、32ビット版Windows 8の機能がフルに使えるのは見逃せない。
本製品は「分離してタブレットにもなるノートPC」とも「キーボードドック付きのタブレット」ともいえるが、タブレット単体では販売されず、日本HPのWebページで「ノートPC」カテゴリに分類していることから、このレビューではノートPCスタイルを基本として、性能や操作感をチェックする。
ボディ素材はアルミニウムだ。天板や底面には粗めのヘアライン加工が施されており、光を強く反射し、華やかなイメージを演出している。一方、キーボードベゼルやパームレストは落ち着いたイメージのマットな塗装、クリックパッド部分にスピン加工を施し、すべてシルバーながら表面処理で変化を付けている。曲線を多用しつつ、すっきりとしたくさび型のフォルムにまとめており、タブレットを取り付けるヒンジ部の出っ張りもデザインとして自然で、11.6型ノートPCとして外観に違和感はない。
ボディのサイズは、303(幅)×206(奥行き)×17〜19(厚さ)ミリ、重量は約1.41キロだ。実測値は1395グラムで、公称値よりわずかに軽かった。11.6型のノートPCとして考えると少し重めの部類だが、タブレットとしても単体で使えるディスプレイ側にバッテリーを含むシステム一式を収めていることに加え、キーボード側にもバッテリーを内蔵しているため、若干重くなるのは仕方がないところだ。
ヒンジ部中央のロックを外すと、タブレットとして使える。着脱/ロック機構はシンプルだが、マグネットアシスト機能があるため、ガチャッと磁石の力で自然にくっつき、ガタつくこともなくしっかり固定できる。ヒンジ部全体の剛性も確保されており、強度に関する不安は感じない。
タブレット側の端子類は、電源ボタンと音量調整ボタン、ヘッドフォン/マイク兼用端子、microSDカードスロットという内容だ。充電用のDC入力端子は、キーボードドックの接続端子を兼ねる。Webカメラは約200万画素のインカメラと、約800万画素のアウトカメラを装備する。
キーボードドックと合体させると、ドック接続用端子とともにヘッドフォン/マイク兼用端子が隠れるが、いずれもドック側に同種の端子が用意されている。ドック側はHDMI出力と2基のUSB 2.0ポート、標準サイズのSDメモリーカードスロット(SDXC対応)を装備している。
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