東京大学は、2016年2月に学内の教育用計算システム(ECCS)を刷新し、新しいiMacを計1341台導入した。2004年から4期連続でMacを採用している東大だが、Macを使い続ける理由はなんだろうか。
「昔からですが、学生や教員の需要に対して1種類のOSでは足りません。Windowsが動くことと、UNIXが動くという需要に対して現在最適なのがMacとWindowsのデュアルブートということです。OSバージョンはそれぞれOS X El Capitan、Windows10と現在最新のもので導入しました。ただ、毎年OSアップデートに対応できるかというとそうではなく、環境の検証の関係もあって2年に一度バージョンアップができたらいいほうです」と語るのは、東京大学情報基盤センター 情報メディア教育研究部門の柴山悦哉教授だ。
―― Macの優れているところはどのようなところでしょうか。
柴山氏 集中管理のソリューションとしては、現在はWindowsでも同様のことができるものはあると思います。それでもMacが良いというのは、1つはユーザーにroot権限を与えなくても多くのアプリが動くということ。Windowsの場合だとインストーラーが必要なことがあり、root権限がないとインストールできないものがありますが、Macですとホームに置いてしまえば動くものが多いです。学生の数だけさまざまなアプリを使いたいという需要があるので、その面でMacは優れていると思います。情報系ですと、UNIXに慣れ親しんでいる人が多いためにMacを好むというのもあります。他にはデザイン系をやる人たちもそうですね。最近の学生では、iPhoneを使っているために、iOSと相性が良いという理由でMacを使う子たちが多いみたいです。
―― 新入生もMacには抵抗感がない?
柴山氏 確かに高校まではWindowsで、大学で初めてMacを使うような子もいますが、今のOSだとそこまで見た目に差がないので、それほど抵抗感だったり戸惑いというのはなさそうです。それに、会社に入ったらそこのPCを使えなくてはいけないのですから、そもそもこれくらいで戸惑われては困りますね(笑)
取材の中、ECCSを管理している駒場キャンパスのサーバルームを見せてもらった。東大には駒場キャンパスの他に、本郷、柏キャンパスがあるが、全てのキャンパスの端末をここで一元管理しているということだ。しかもサーバラックのスペースもたったの4台という省スペースだから驚きだ。
ラック内にあるMac ProやMac miniは、学外からMacの環境を使いたい教員のための外部アクセス用の端末として稼働しているということだ。同時に15人までのアクセスに対応できるという。
―― やはりそれだけMacユーザーが多い?
柴山氏 一概にそういうわけではないです。もちろん情報系など、学会で見回すとMacを開いている人が多いような分野もありますが、そうではないところもあります。これはそれぞれの分野だったり、研究室のカルチャーではないですかね。
決してMac一辺倒ではないとのことだが、駒場の東大生協では2016年から、生協推奨PCとして13インチMacBook Airを初めて採用した。しかもこれは学生主導で決めたことらしく、学生からの支持の高さがうかがえる。
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