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「総量規制」の余波で カードのキャッシングなくなる?

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   「実施か」「延期か」――。2010年6月までの実施が予定されている改正貸金業法の「総量規制」が揺れているなかで、クレジットカード会社が総量規制の実施をにらんで、収益源の一つであるキャッシングサービスの廃止・縮小に動いている。

   「総量規制」は無担保カードローンを利用する場合、利用者一人あたりの借入総額が年収の3分の1を超えないようにする規制。それによって悪質な業者を排除し、かつ多重債務者をなくすのが狙いだ。

   しかし、この規制を実施すると、お金を借りたくても借りられない中小・零細企業や個人事業主が増え、お客が結果的に「ヤミ金」に流れるとの指摘がある。利用者の不満もくすぶっていて、こうしたことが総量規制の「延期論」が浮上した背景にある。

ヤミ金の利用拡大を懸念、「延期論」も

   2009年11月3日、大塚耕平金融副大臣は2010年6月までに完全施行される改正貸金業法について、「延期も含め見直しの議論をはじめる必要がある」との認識を示した。法律が成立した3年前とは経済状況が大きく変化したため、「予定どおりでいいのか、議論する」と話した。

   ところが、その翌4日に亀井静香郵政・金融担当相が「予定どおりの実施」を明言。金融庁も「議論はするようだが、具体的にはこれから」といい、実施するのか延期なのかはわからない。

   そうした中で、「総量規制」の実施が半年後に迫り、「準備を進めておかないと実施となった場合、間に合わなくなる」(大手カード会社の幹部)段階にある。

   個人信用情報センターとのアクセスのためのシステム投資だけで数10億円が必要というし、法施行後はお客から定期的に年収証明書を提出させるなど、手間がかかるので、低金利で採算ベースに乗らない小口のキャッシングサービスなどは廃止・縮小していく兆しにある。

   三井住友カードは10月から、キャッシングのうち、借り入れた翌月に一括返済する制度を廃止した。同社は、「貸金業者の、毎月の返済額を年収の36分の1以内に収める自主規制を遵守したため」と理由を話す。この自主規制は日本貸金業協会が「総量規制」を踏まえて別途定めたルールだ。

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