「これからのビジネスマンは「英語」「IT」「会計」くらいは、できないと...」

などと、まことしやかに言われますが、はたしてそうでしょうか

ITに関しては、メール、ワープロ、表計算ソフトくらいは使えないと困るでしょうが、「英語」「会計」に関しては、職種によって使う頻度がだいぶ違うような気がします。

かと言って、「どうせ使わないから~」とバッサリ切り捨ててしまって、まったく会話について行けないのも、それまた困ります。

「本気で勉強はしたくないけど、会話にはついていきたい」という、非常に虫がよい考え方をしてる人にぴったりなのがこの本です。

本書は、一般の会計書が教科書としたら、教科書ガイド的な本です。

基本的な考え方の他に、実際の会話の中で、上司との会話に気の利いたコメントをしたり、後輩に説明したりといったシチュエーションに対応できるようになっています。

続きます。

 例えば、

損益計算書の項目では

●後輩へはこう説明しよう

後輩:損益計算書ってなんですか?

あなた:要するに一定期間でどれだけ儲けたかという会社経営の成績表のことだよ。

具体的には、会社の利益を「本業での利益」や「資金運用での利益」というふうに、発生原因ごとに表す形式になっているんだ。

●上司にはこうコメントしよう

上司:損益計算書だけじゃ、何を改めたら良いかまではわからないからな。

あなた:確かに、投資家や銀行から見ればこの表示方法は適切かもしれませんが、経営者の視点で何を改善すればよいのかを判断するには、管理会計の手法も必要ですね。

という模範コメントの文例が載っています。

きちんとした原理原則をじっくりと学ぶ事も重要ですが、こうやってとりあえずコメントすることも重要ですよね。実務に使うのであれば中途半端な理解では困りますが。

このような、コメント例が

  1. 貸借対照表(B/S)
  2. 損益計算書(P/L)
  3. キャッシュフロー計算書(C/S)
  4. 内部留保
  5. 債務超過
  6. 粗利益率
  7. 労働分配率
  8. 減価償却
  9. 連結決算
  10. ROI
  11. 自己資本比率
  12. 流動比率
  13. 損益分岐点売上高
  14. 黒字倒産
  15. 粉飾決算
  16. フリーキャッシュフロー
  17. IFRS

というビジネスによく出てくる17の会計用語に絞って解説しています。

また、後半には、これまた新聞でよく記事になり、職場でも話題になりがちな「業績報告記事」「倒産・破綻記事」への気の利いたコメント例もあります。

普段、職種的にまったく会計に縁がなく、そして若手のうちなら、このような教科書ガイドに頼るのもアリでしょうし、これがきっかけで会計に興味を持ったら本格的に勉強をしてみるのもいいでしょう。

要は使いもしないのに、「なんとなく恥ずかしいから~」というような理由で、あまり明確な目標や使い道もないのに時間やお金を使うのはもったいないなと。

戦略においては、「選択と集中」と言われますが、自分の本業にフォーカスするためにも、必要でないものは「付け焼き刃でいいや」的な割り切りも重要なのかと思います

そういう割り切った考えにピッタリなのが本書だと思います。

(聖幸)