SNSなどの自己紹介の欄などでよく見かける「No Music, No Life」という名コピーを書いたのは木村透氏というコピーライターの方らしいのですが、たとえ短い時間でも音楽がないと落ち着かない、という人は珍しくありません。
最近ではアウトドアで遊ぶ際にも、かなり重低音が効いたステレオなどを見かけるようになりましたが、そういった文明の利器がない場合もあるかと思います。そのような場合、iPhoneやiPod touchなどのスピーカーから音楽を鳴らす、という行動をとる人は多いですが、音量も音質も迫力不足なのは否めないところ。そのような時の音質向上に意外にも使えるのが、料理で使う鍋です。
と言っても、別にiPhoneを調理するわけではありません。使い方はいたって簡単。
iPhoneを鍋の中に配置して音楽を再生すると、鍋の中で音が反響し、ちょうどコンサートホールのようになり、iPhoneだけの状態で聞くよりも立体的なサウンドで音楽を楽しめます。
音は空気が振動することで聞こえます。そして、多くの鍋は円形で燃えにくく、かつ熱を通しやすい金属類で作られています。iPhoneは平たく薄い形状の上、下の部分にスピーカーが付いているので、構造上どう置いても音が拡散してしまい、響きにくい造りになっています。それを鍋の中に置いてやると、スピーカーから出力された音によって振動した空気は、円形の鍋の中をぐるりと回転しながら金属に当たって跳ね返ることで何度も共鳴し、音が再生されてから消えてしまうまでの時間に「時差」が生じます。この時差により、若干エコーがかかっているように聞こえ、聴覚上は音が太くなった、またはより立体的になったと感じられるはずです。
また、鍋は調理というその本来の目的に沿ったデザインとなっているため、熱の出口は上部の一つとなっていて、同じ出口を音波も使用するため、内側に配置されたiPhoneから出力される音が拡散していく方向が一つにまとまります。音の方向が一つにまとまった状態で聞くと、バラバラの状態の時と比較して音量が大きくなったかのように我々の脳は認識するのです。例えて言うなら、お風呂で歌うと上手く聞こえるのと同じ原理。
身の回りにある様々な調理用の鍋にiPhoneを入れて、手当たり次第に聞き比べてみたところ、iPhoneがギリギリ入るくらいの幅で、底がある程度深く、あまり厚手でない鍋が理想のようです。
一人暮らしの人で、寝る前にちょっとだけ音楽を聞きたいのだけれど、iPhone用のスピーカーを買うほどではない...という方や、停電中やキャンプ中などの電源の取れないところで音楽を聞きたい場合、手元に調理用の鍋があれば、試しに中に入れて音の違いを確かめてみて下さい! 鍋だけにこの方法をできることなら、「iPot」と命名したい所です。
個人的には、iPhoneのスピーカーくらいの音量の出力があれば、それに何かしらの工夫をすることで、わざわざ電源を噛ませなくてもかなり良い音で音楽を聞ける気がします。例えば、ヴァイオリンという楽器は決して大きくないですが、無電源でかなりの音量が出ます。そういった楽器の構造などを応用すれば、(ほぼ)無電源でも良い音で音楽を楽しめる究極のハックも可能なのでは? と素人考えながら思うのですが、何か良い手だてはないものなのでしょうか...。
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ちなみに、試す際にはしっかりと乾いたキレイな鍋で試してくださいね。
(まいるす・ゑびす)