全国のお人よしの皆さん! あんまりイエスばかり言っていると、どこでイエスと言ったか忘れてしまいますよ。ときにはノーと言うことも必要です。米サイト「Medium」において、コピーライターのスコット・フェッターズ氏が、ノーと言えることの重要性と、言えるようになる方法を語っています。

私は、「ミスターNO」の代表として、この記事を書いています。だからといって誤解しないでくださいね。素晴らしい人生のすべてを否定することをすすめているわけではありません。もっと自分の成長に関わる内容です。自分の中にいる八方美人なイエスマンを黙らせることで、ウソ偽りのない人生を送ろうじゃありませんか。

私自身、心の中に巣くうお人よしな自分がストレスを生み出し、非効率的な生産サイクルのもとになっていることに気付いたのはここ数年の話。厳しいビジネスパートナーのおかげもあって、「ノー」と言う練習を繰り返すことで、自分の中の大切な資源を保ちながら、人間面でも仕事面でも成長できるようになってきました。

お人よしは衰弱のもと

この8年間テック業界で身を立ててきた私は、時間を無駄にするたくさんのものにサインアップしてきました。常時接続のソーシャル&デジタル・ライフは、ケータイの画面ごしに人々の気まぐれを満足させるためのもの。ビープ音やアラートひとつで、それまで保っていた生産性はあっという間に地に落ちます。メール、チャット、Facebook、ケータイメール、電話、ボイスメール、ツイート......。あなたの仕事を中断するものは、数え出したらきりがありません

きっと誰もがこう言うでしょう。「そんなに迷惑なら、すべてOFFにして、仕事に集中すればいいだけだ」と。数時間であればそれも効果的でしょう。でも、メッセージの受信は避けられません。つまり、受信したあとのあなた対応に、すべてがかかっているのです。

中断の例とお人よしな反応

メール/チャット:「専門外のタスクにつき、早急なヘルプを求む!」――どれどれ、ビジネスコーチングは自分の専門ではないけれど、彼らにはアドバイスが必要なようだ。これは助けてあげなくっちゃ。

無駄な会議/アポイントメント:「この会議には目的がないけど、1つの会議がすべてを支配する」――たったの1時間だし、人脈作りだと思えばいいか。きっと、予算ができたら自分のところに戻って来てくれるはず。

言い訳:「事故に遭って。オフィスで抜き打ちの避難訓練があって。腎臓結石ができちゃって。金魚のニモがどうしても散歩に行きたがっていて」――うーむ。この人の生活には大変なことが起こっているようだ。こりゃ、納品が届くまでにあと24時間から48時間は必要だな。

イベント:「一生に一度の、他に例のないカンファレンスです。こんな人脈作りのチャンスは、次のブルームーンまでやってきません!」――なるほど。きっと、いいビジネスチャンスがあるに違いない。

機能・仕様変更:「先日どこかのブログで読んだんですが、Xって商品がすごくいいんだそうですね。ぜひとも購入したいんですが、これぐらいのかんたんな機能追加だったらそんなに時間かからないでできますよね?」――もちろんですとも。必ずや、短期間で終わらせてみせますよ。あれ? ちょっと待てよ。

顧客管理:「このプロジェクトは、かなりの真剣勝負だ。毎日1回、2時間の状況報告が必要になる」――クライアントの言う通りだよな。何よりも、彼らはたくさんのお金を出している。うちの会社の売りはカスタマーサービスだし、お客さんを喜ばせることに集中しなきゃ。

皆さん、「ノー」と言うことを恐れないでください。その言葉には、いささか高圧的なイメージがあるかもしれません。でもそれは、真の開放をもたらす言葉でもあります。「この件に関しては特に自分の注意はいらない」とか、「非生産的だからこれはやらない」と決めるときには、自分の直感に従うことが大切です。

「ノー」という言葉は、邪魔ものを跳ね返すための盾です。自分に正直でいるために。我が道を外れないために。自分が正しいと思えないことや、やりたくないことをやっていると、あなたの心は打ちのめされてしまいます。やりたくもないドッジボールをしながらでは、クリエイティブな仕事は望めないのです。とにかく、自分の直感を信じること。そうすれば、脳もあなたに感謝するでしょう。

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解決策

私は気がつきました。ノーと言えることは、効果的なコミュニケーションが取れることを意味するのだと。人々は、あなたに否定されたことで、いずれあなたを尊敬するようになるでしょう。「ノー」と言うことは、相手に中指を立てることとは違います。むしろその正反対で、あなたにビジョンがあり、プランがあり、意見があることを示す手段なのです。自分のニーズ、課題、〆切をはっきり示すことで、邪魔ものを排除できるようになります。行動計画を自分で決められるため、八方美人な行動をしようとも思わなくなるでしょう。

私の職業人としての人生で、今までにもっとも直接的な収益につながったのが、仕様変更に関する数々のプロジェクトでした。当社の作業範囲記述書(SOW)は、この2年間で10回以上も見直され、より完璧なものに仕上がってきました。しかし、クライアントはSOW以上のことを望んできます。これはプロジェクトが進むとともに避けられない事態ですが、タダ働きはお金にもならなければ、リソースを浪費するだけ。「ノー」ということで、クライアントを価値あるリピーターに位置付けることができ、私たちは当初の計画に固執することで、プロジェクトを期待通りに進めることができています。つまり、たった1回の「ノー」が、利益につながっているといっても過言ではないのです。

お人よしは生産性の敵です。心の中に、時間を無駄にしている自分をあざ笑う悪魔が現れることもあるでしょう。入念に考えてノーということで、新しいビジネス機会が生まれ、状況を支配できていることを誇示できます。そうすることで、プロジェクトは日の目を見ることができるのです。

それに、あなたの気分もすっきりこと請け合いです。

Say "NO" More | Medium

SCOTT FETTERS(原文/訳:堀込泰三)

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