ライフハッカー編集部さま

ブログを始めようと思っています。ガッポリ稼げるとは思っていませんが、実際のところ、仕事を辞めてブログだけで生計を立てられる可能性はどのくらいでしょうか? あちこちでサクセスストーリーを見かけますが、現実的に稼げる金額はどのくらいですか?

新人ブロガー(Burgeoning Blogger)より

新人ブロガーさんへ

あなたが何か特定のテーマにすごく詳しくて、文章力もそこそこあるのなら、ブログの執筆は間違いなく、今までの仕事に代わるキャリアパスとなります。なので、ご質問に一言で答えるなら、オンラインでの執筆活動で生計を立てることは可能です。なかには、かなり稼げる場合もあります。でもその反面、「昨今、世に溢れているブロガーの大半は、ブログだけで生活を支えているわけではない」という厳しい現実もあります。どういうことか、詳しく見ていきましょう。

職業としてのブログ執筆

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図中表記:

The five types of bloggers(ブロガー:5つのタイプ)

1. 兼業ブロガー

ブログを収入の足しにしている

2. 趣味ブロガー

ブログは趣味でやっていて、収益はない

おもに個人的意見を掲載している

ブログに費やす時間「週3時間以下」の人が60%

3. 専業ブロガー

フルタイムの仕事としてブログを執筆

4. 企業ブロガー

フルタイムの仕事の業務の一部(または全部)として、企業や団体のためにブログを執筆

ブログの8%を占める

5. 起業家ブロガー

自身の所有する企業のブログを執筆

ブログの13%を占める


ブログで生計を立てるには、主に2つの方法があります。ひとつは、すでに定評のある企業またはサイトと契約して、フリーランスまたは社員としてブログを書くこと(米LHの編集部員たちもこのタイプです)。もうひとつは、自分のブログをイチから立ち上げることです。

プロのブロガーとして契約を取るのは、何もないところから自分のブログを始めるのに比べればずっと簡単です。定評ある企業の仕事が得られればすぐに、食べていけるくらいの収入を得られます。

自分のブログを立ち上げて「マネタイズ」するのは、それに比べてずっと労力を使います。起業するのと同じくらいの大変さです。どのくらい稼げるかの目安になりそうなキャリアパスや前例は存在しません。ブログを書くだけで何十万ドルと稼いできた人や、自分のブログを何百万ドルで売却した人がいる一方で、1セントも儲かっていない人もいるのです。

実際のところ、ブログというものが目新しかった頃に比べると、ウェブ上に自分の居場所を確保してブロガーとして有名になるのは、今ではそれほど簡単ではなくなっています。それに、成功していると言えるくらいに読者を獲得するには時間がかかります(現在もっとも成功している、数百万ドル規模のブログのほとんどは、遅くとも2005年ごろまでに開設されています)。ブログでフルタイムの仕事をしている人は多いけれど、即座に巨万の富を得られるかというと、答えは間違いなくノーです。

実際、どのくらい稼げるか

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図中表記:「ProBlogger」読者層のブログ収入(1カ月当たり)

企業に雇われてブログに書く場合の給与は、非常にさまざまです。職場レビューサイトの「Glassdoor」によると、「ブロガー」というポストの年収は1万9000ドルから7万9000ドルまでと幅があります。別の調査によれば、ブロガーの14%は給与を支払われていて、その額は平均すると年2万4000ドル(企業ブロガーに限定すれば年3万3000ドル)だそうです。これに対し、フリーランスのブロガーの場合、1件の投稿が10ドル以下の人から、比較的短い投稿でも100ドル以上を稼ぐ人までいます。

自分でブログを立ち上げた場合の収入は、2012年に「Blogging.com」がブロガー1000人を対象に調査しています。それによると、ブログだけで生活を維持できている、あるいは家族を養えているのは全体の17%。これに対し、81%はブログで100ドルも稼げていないそうです。残りの2%は、ブログに費やす時間は1日2時間未満なのに、15万ドル以上も稼いでいます(『「週4時間」だけ働く。』のティム・フェリス氏みたいなタイプです)。

ブログで収入を得ようとしていると回答した「ProBlogger」の読者1500人を対象に行った調査では、9%の人が月に1000~1万ドルを、4%の人が1万ドル以上を稼いでいる一方で、大多数は1日に3.5ドルも稼げていないという結果になりました(ただし、これらのブログの大部分が、立ち上げから2年未満です)。

個々のブログでいくら稼げるかには、さまざまな要素が絡んできます。更新の頻度、コンテンツのクオリティ、取り上げるテーマの魅力、読者の獲得とトラフィックの生成をどれだけ効率的に行えるか...。もちろん、運が向いてくるかどうかも、大事な要素のひとつです。

ブログそのものは、厳密に言えばビジネスではありません。むしろ、ほかの収入源を得るためのプラットフォームという役割です。コンテンツを書いても、それ自体はお金になりません。でもそのコンテンツによって、広告主を得たり、コンサルティングや講演の依頼が来たりします。ブログ読者がリンクをたどって何かを購入すれば、その数%がアフィリエイト収入として入ってくるし、電子ブックや有料コンテンツを販売して収入を得る方法もあります。このように、ブログから収入を得るさまざまな方法については、英文記事ですがProBloggerに素晴らしい記事があります。

成功への道のりは長く険しい

がっかりさせるつもりはないのですが、「ブログで生計を立てるには何カ月も(もしかしたら何年も)かかるかもしれない」ことは知っておきましょう。クーポン情報サイト「Coupon Project」を立ち上げたAngelaさんの至言を、Amy Lynn Andrews氏のブログから孫引きします。

みんなにいつも言うことですが、私はブログを始めて8カ月目にようやく、初めての小切手を受け取りました。ブログで扱う話題に、身も心も捧げる熱意があるかを確かめておきましょう。最初は、コンテンツのクオリティに力を注ぎましょう。そうすれば、おのずとトラフィックもついてきます。もしお金が必要なら...それも今すぐに? だったら、ブログなんか始めてる場合じゃありません。お金になる仕事を探しましょう。

この発言を引用したAndrews氏自身もこう書いています。

個人的見解ですが、収入を引っ張ってこられるようになるまで、せめて6カ月は待ちましょう。(6カ月経っても)収入はたいがい、コーヒー代程度です。

もうひとつ知っておくべきは、それなりの収入を得るには膨大なコンテンツを作成しなければならず、それにはかなりの時間の投資が必要ということです。1日に少なくとも1つは記事を投稿するのが理想的ですが、そのための調査、執筆、編集の作業に、内容によっては何時間もかかることがあります。これは重労働と言えるでしょう。

これを副業としてやっても、それなりの金額を稼げる場合もあります。それで大丈夫そうなら、ブログを本業にすれば良いのです。

本業にできそうになくても、ブログの世界に飛び込む意味はあります。就職活動中なら、採用の確率が上がるかもしれないし、思いのたけを打ち明ける場所として使うのも良いでしょう。起業家でコンサルタントのAlli Worthington氏はこう書いています。

「書くことが好きだからブログを始めた」という人。それはそれで構わないんですよ。ただ、そのブログから大きな収入が得られるのを待ち望んでいるなら、それは実現しません。

それはブログであって、ビジネスではないからです。

時々こんな風に思うんです。私たちは「生計が立てられるかどうかは気にせず、思いっきり大好きなことをする」のも必要じゃないかって。だから、私があなたに許可を与えましょう。ブログを書くのは、あなたにとって良いことです。創造的欲求のはけ口になるし、あなたにとって重要な話題を語る場になるし、家族や友達とつながっていられるから。その喜びを、どうしてもお金に代えようとしないといけないわけではないのです。

ほかのブロガーがどれだけ稼いでいるか、どんなトラフィックを得ているか、詳しく知りたいなら、英文記事ですが「Beauty Through Imperfection」のこの記事その続きをご覧ください。

幸運を祈ります!

ライフハッカーより

Melanie Pinola(原文/訳:江藤千夏/ガリレオ)

Photos by blambca, ignitespot.