テストなどのために仮想マシンでパソコン用OSを実行できることは、たぶんみなさんもご存じだと思います。実は、同じことがAndroidでもできるのです。スマホを購入する前に試してみるには、もってこいですね。では、その設定方法について説明しましょう。

Androidを仮想化する理由

おそらく最初に思い浮かぶ疑問は、何のためにAndroidを仮想化するのかということでしょう。パソコン用OSを仮想化する場合と同様に、仮想マシンでAndroidを試してみるべき理由がいくつかあります。初めてAndroidのスマホやタブレットの購入を検討しているのなら、仮想マシンを使ってAndroidを事前にじっくり試してみるのも良いでしょう。開発者なら、仮想マシンを使ってアイデアを試せますし、Androidの愛用者なら、大事なスマホへの影響を心配することなくさまざまなアプリを試してみることができます。つまり、試してみたいと思っていたすべてのソフトウェアをテストできる試験台と考えて良いでしょう。

Androidを実行できる仮想化ツールはいくつかありますが、今のところ圧倒的に秀逸なのは「Genymotion」です。この無料ツールは、(米Lifehackerがお勧めするWindows版仮想化ツール(英文記事)の「VirtualBox」をベースにしており、汎用のAndroidをインストールして実行できるだけでなく、機種を指定して実行することもできます。例えば、「Nexus 7」の購入を考えているなら、仮想バージョンのNexus 7をダウンロードし、購入前にパソコン上で試せるのです。

Genymotionの設定方法

Genymotionのインストールと設定はとても簡単です。以下の手順に従ってください。

  • Genymotionのウェブサイトにアクセスし、「Sign in | Sign up」から登録してGenymotionアカウントを作成します。アカウントを作成後、「Get Genymotion」ボタンをクリックして、無料バージョンをダウンロードします。
  • Genymotionをパソコンにインストールします。インストール中はネットワークのアクセスが一時中断されるので、作業前に大容量のダウンロードなどは終わらせておきましょう。
  • インストールが完了したら、Genymotionを起動します。利用できるAndroidの仮想マシンが存在していないことが自動検出されますので、「Yes」をクリックして仮想マシンを作成します。
  • 「Connect」ボタンをクリックし、「Credentials」ウインドウでGenymotionアカウントのユーザー名とパスワードを入力して、ウインドウ内の「Connect」ボタンをクリックします。すると、すでに作成済みの仮想マシンのリストが表示され、選べるようになります。

Genymotionのダウンロードサイズは、VirtualBoxがバンドルされている場合、117MBとやや大きくなります。VirtualBoxをすでにインストールしているなら、バンドルされていないバージョンのGenymotionをダウンロードすることもできますが、ほかのウェブサイトを訪問することなく必要なものがすべて揃うフルパッケージは、とても気が利いていますね。

Genymotionにある仮想マシンのリストを見てみると、一般的な携帯電話やタブレットのほか、「Samsung Galaxy S5」やNexus 7といった、特定の機種やタブレットも用意されていることがわかります。リスト全体から探し出してもいいですし、ドロップダウンメニューを使ってAndroidのバージョンや機種名で絞り込むことも可能です。仮想マシンを選択するには、次の手順を実行します。

  • リストから任意の仮想マシンを選択し、「Next」をクリックします。
  • 仮想マシンに適切な名前をつけて、「Next」をクリックします。
  • およそ200MBの容量のダウンロードが始まります。完了したら「Finish」をクリックします。先ほどリストから選んだ仮想マシンを選択して、ウインドウ上部にあるツールバーの「Play」ボタンをクリックします。

仮想マシンの初期化に少し時間が掛かりますが、すぐに見慣れたAndroidの起動画面が表示されます。ウインドウ右側には、画面の回転オプションなどの切り替えや制御用のボタンが表示されるので、縦横の表示を用途に合わせて変更できます。

Google Play StoreとGoogle Appsのインストール

すぐに気付くと思いますが、この状態ではGoogle PlayをはじめとするGoogle製のアプリは入っていません。でも大丈夫。これらのインストールも簡単です。

  • ARM Translation』のインストーラーと、『Google Apps』をダウンロードします。Google Appsは、使用しているAndroidのバージョンに合わせて、『Google Apps for Android 4.4』、『Google Apps for Android 4.3』、『Google Apps for Android 4.2』、または『Google Apps for Android 4.1』のいずれかを選びます。
  • ダウンロードが完了したら、ARM TranslationのZipファイルを仮想Androidマシンのウインドウ上にドラッグ&ドロップします。Zipファイルを解凍する必要はありません。「OK」をクリックして、ARM Translationを仮想マシンに送ります。
  • この作業が終了したら、「OK」をクリックして仮想マシンを再起動します。
  • 次に、GoogleアプリのバンドルZipファイルを仮想マシンのウインドウ上にドラッグ&ドロップして「OK」をクリックし、ファイルの転送を開始します。
  • 仮想マシンを再起動すると、Google PlayやほかのGoogleアプリが使えるようになります。

その他に、『Amazon Appstore』など、サードパーティのアプリストアもインストールできます。ただしそのためには、サードパーティ製アプリのインストールを許可する必要があります。まずは「Settings(設定)」を開き、「Security(セキュリティ)」をクリックして、「Unknown Sources(提供元不明のアプリ)」のチェックを外します。ウェブブラウザを起動し、Amazon Appstoreをダウンロードします。その後は、利用可能なアプリを探して、興味のあるアプリをインストールできます。

作成できる仮想Androidマシンの数には上限がないため、各仮想マシンでそれぞれに違うことを試したり、異なるバージョンのAndroidを実行したりできます。年季の入ったAndroidユーザーとしてAndroidの新しい使い方を模索するにしても、初めてAndroidを試すにしても、Genymotionはすばらしい選択肢を無料で提供してくれます。

Mark Wilson(原文/訳:風見隆/ガリレオ)

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