99u:すでに真夜中を過ぎていました。その日は一日中、提出するための原稿を直していて、やっと終わったところ。疲れは頂点に達していました。いつもなら、時計の針が12時を指すころには眠くなっているはず。ところがその夜は、大きな仕事をやり終えた興奮からか、クローゼットの大整理を始めてしまったのです。
気がつけば、疲労困憊した自分がいました。それで終わりにした? いいえ...。さらに、ずっと読みたくても読めなかった本を手に取り、手つかずになっていた長いメールに返事を書き、それからやっと眠りにつきました。
忙しい時期が終わったり、大きなプロジェクトが完了したときこそ、「休息の技術」を学び直すことが重要となります。罪悪感を感じずに、心からリラックスして創造的になれる時間を持つための技術です。意識的に休息しなければ、時間はすべてタスクで埋め尽くされてしまうでしょう。それでは、考え事をしたり、のんびりしたり、本を読んだり、音楽を聞いたり、そのほか、何でも好きなことをして創造的な時間を過ごすことは叶いません。
計画的に休息をとれば、人生の喜びを取り戻せるだけでなく、創造性もアップします。米誌『Scientific American』が「なぜ脳に休息が必要なのか」と題する記事を掲載していました。
休息は、脳内の注意力やモチベーションを補充し、生産性と創造性を向上させます。また、日常生活において、最高レベルのパフォーマンスを発揮したり、安定した記憶を形成するのにも重要です。心を解き放てば、過去から学んだり、未来に思いを巡らすことができます。また、休息は、道徳感や自己意識を保つためにも重要です。
では、あとひとつタスクを片付けたいという衝動に負けず、罪悪感を感じずに創造的な休息時間を持つにはどうすればいいでしょうか? 以下、いくつかのヒントを紹介します。
耳を澄ます
考えがまとまらない、言葉が出てこない、頭痛がする、ちょっとしたことで動揺したりイライラする...。これらは休息が足りないサインです。無理をせず、立ち止まって、自分にスペースを与えてください。例えば、昼寝をする、深呼吸をする、散歩にでかける、何か好きなことをする、ブログに使えそうな写真をネットで探すのもいいでしょう。何が必要かはあなたの体が知っています。静かに耳を傾けてください。
自分が本当にしたいことを受け入れる
友人からどこかに行こうと誘われたとき、独りで過ごしたいという理由で断るのは、どこかキマリが悪いものです。しかし、ひとりの創造的な人間として、あなたにも心の充電時間は必要です。自分が本当にしたいことを素直に受け入れてください。試合の翌日に、回復のために休息をとるアスリートと同じです。率直な気持ちを言いづらいときは、今日は「別の用事がある」と伝えましょう。
時間を確保する
休息時間は偶然に訪れたりはしないもの。しっかり計画してください。自由時間をいつ取るか、どこで何をして過ごすかをあらかじめ決めておきましょう。例えば、毎日、ランチタイムの1時間は自由に考え事をして過ごすとか、週に一度、夜に好きなことをするのもいいでしょう。または、通勤時間は携帯電話やラジオをオフにするのもありです。自由時間とは自分との重要なミーティングの時間なのだと考え、しっかり確保してください。
成果を気にしない
あなたの魂が創造性の自由を求めるなら、その瞬間にしたいと感じることを自由にしてください。スケッチをする、本を読む、虚空を見つめる、何でもOK。成果を出さなければというプレッシャーを忘れ、その瞬間にしたいと思うことを素直にします。ゴールは、創造的になることであり、心を解放することなのです。
まず自分にやさしくする
休憩時間をスケジュールするときに注意点があります。あなたが罪悪感を感じやすい人なら、自分より忙しい誰かために時間を与えたくなるかもしれません。しかし、常にそんなことをしてれば、フラストレーションが溜まり、いつか爆発してしまいます。あなたが与えすぎることで困るのは、あなただけです。誰かにあなたの自由時間を与えてしまう前に、まず自分に時間を与えてください。
次回、大きな仕事が終わったときには、ゆっくり時間をとり、休息の技術を学び直す機会にしてください。正しい時に正しいやり方で「非生産的」になる技術を身に付ければ、全体の生産性も向上します。
今度はあなたの番です。
あなたなら、どうやって罪悪感を感じずに創造的な休息時間をつくりますか?
The Lost Art of Free Time|Inc.
Elizabeth Grace Saunders(訳:伊藤貴之)
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