Inc.:コーヒーが大好きな人は多いと思いますが、これは克服した方がいい不健康な欲求なのでしょうか? それとも、罪の意識を持たず存分に楽しんでもいい非の打ち所のない嗜好なのでしょうか?
インターネットで調べると、恐ろしいほど混乱してしまうでしょう。出くわす見出しの半分は、たとえば、Inc.に掲載された「カフェイン:気づかぬうちに成功の芽を摘むもの」とか「カフェインの取り過ぎで起こりうる19の恐ろしい事態」などのように実に恐ろしいものです。残りの半分は、「コーヒーが本当に良いと言える7つの驚くべき理由」(これもInc.の記事です)のように、実に心強い見出しがついているでしょう。
この難問に対する誰の目にも明らかな解決策は、面白いけれども必ずしも正確な答えが得られるとは限らないインターネットではなく、もう少し信頼できる人物に尋ねることです。たとえば、ハーバード大学の栄養学研究者はどうでしょうか。
コーヒーに関する最新の科学ではどう考えられているか
ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院栄養学科の博士研究員であるVasanti Malik氏は先ごろ、Redditの「AMA[Ask Me Anything:何か質問ある?]」で、どんな話題でもMalik氏に質問できる機会を設けました。栄養学に関する興味深い質問が数多く寄せられましたが、その中には世界中の心配性のカフェイン中毒者が大きな関心を持ちそうな質問もありました。
ユタ州在住のある参加者が、「コーヒーについてはどうお考えですか?」と尋ねました。この人は、大好きなコーヒーを飲み過ぎると胃の粘膜を傷つける、と繰り返し言われたと書いています。この話にほんの少しでも真実が含まれているかどうかを、この人は知りたがっていました。
Malik氏によると、答えは簡潔に「いいえ」だそうです。甘味料を入れさえしなければ、実はコーヒーは体に良いのです。「コーヒーは、砂糖の量を最低限にして、生クリームを入れなければ、間違いなく健康的な飲み物です。コーヒーは、カフェイン入りでもカフェイン抜きでも、体にいいビタミンなどの栄養素をたくさん含んでいます。私たちの研究では、糖尿病や心臓血管疾患のリスクを低下させ、死亡率を下げる働きがあることが分かりました」と、Malik氏は答えています。
でも、待ってください、飲む量についてはどうでしょう? どれくらいの量ならコーヒーを飲んでもかまわないのでしょうか? 「1日5杯までは効果が確認できています。5杯以上飲んでも、さらに効果が高まるわけではないようです」とMalik氏は述べ、この問題に関して参考となるリンクをいくつか紹介しています。
要するに、好きなだけ飲めばいいのです! 科学が進んで正反対の結果が提示されない限り、何の心配もありません。それどころか、コーヒーの悪口を言いふらす人々に、自分はコーヒーを飲むたびに糖尿病と心臓病と早死にの危険性を減らしているのだと反論してもいいのです。
1つだけちょっとした注意を
ただしMalik氏は、ユタ州の参加者のようにコーヒーが胃に及ぼす影響を心配するのは完全に間違っているわけではないとも述べています。深刻な消化不良を患っている人がコーヒーを飲まないようにするのは、意味のある行為なのです。
「医者は一般に、潰瘍性大腸炎やIBD(炎症性腸疾患)、IBS(過敏性大腸症候群)、または胃潰瘍を患っている患者にはコーヒーの摂取を控えることを勧めています」と、Malik氏は付け加えています。これらの病のいずれかを患っていますか? もしそうなら、コーヒーカップを置きましょう。それ以外の人々は(1日5杯まで)コーヒーを楽しみましょう。
Harvard Nutrition Researcher to Coffee Fans: Go Ahead, Have 5 Cups a Day | Inc.
Jessica Stillman(訳:松田貴美子/ガリレオ)
Photo by John Orford/Flickr (CC BY-SA 2.0).