地質学:ダイヤモンドの形成機構に関する新しい考え
Nature Communications
2015年11月4日
天然ダイヤモンドの形成を説明できるという新たな機構を発表する論文が、今週掲載される。この新しいモデルによれば、地球の地中深くにおいて水-岩石相互作用が起こる時のpH値の低下によってダイヤモンドの沈殿が起こるとされる。
これまでの研究では、ダイヤモンドの形成を引き起こすのが、地球深部の流体またはマグマと関連した酸化還元反応だとされてきたが、その解明は進んでおらず、他方でpH値の変化が果たす役割についての研究も行われていなかった。今回、Dimitri Sverjenskyたちは、理論的手法を用いて、ダイヤモンドが形成される可能性のある条件を水和流体、高温、高圧を使ってモデル化した。Sverjenskyたちは、流体が移動するにつれて流体が進化する過程とケイ酸塩岩石との相互作用をモデル化することによって、流体-鉱物反応によってpH値が低下し、ダイヤモンドの沈殿に適切な条件になるという考え方を示している。このプロセスは、これまでダイヤモンドの形成を説明するために用いられていた酸化還元変化がなくても発生するが、これまでの学説は一部の条件下で妥当する可能性が残っている。
今回発表された新しいモデルは、ダイヤモンド形成のさまざまな自然条件を調べる上で有用となる可能性があるだけでなく、より複雑な変数を導入して拡張できる可能性もある。この種の研究は、究極的には、地質学的時間にわたる地球深部の流体の複雑な履歴を解明する上で役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms9702
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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