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Research Press Release

結核菌の薬剤耐性の原因は遺伝子欠失なのか

Nature Communications

2012年3月21日

結核の治療薬として広く用いられているイソニアジドに対して結核菌(Mycobacterium tuberculosis)が耐性を持つ原因が、SigI遺伝子の変異あるいは欠失である可能性が浮上した。この新知見は、薬剤耐性結核に関して重要な意味をもつ可能性がある。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 抗生物質を用いた治療が行われた後、結核菌の遺伝子が変異して、多剤耐性菌株や広範囲薬剤耐性菌株が生じることがある。これらの菌株は、ヒトからヒトへ感染することがあるため、感染に対する適応度が十分に高いことが示唆されている。イソニアジドは、結核菌に感染した患者の治療に広く用いられてきたが、結核菌のKatG遺伝子の変異を原因とする薬剤耐性を起こすことが知られている。KatG遺伝子は、イソニアジドが代謝されて活性中間体を形成するために必要な遺伝子だ。今回、W Bishaiたちは、KatG遺伝子の濃度を調節する別の遺伝子SigIの欠失によってもイソニアジドに対する耐性が起こり、結核のマウスモデルの死亡率が高くなることを実験的に明らかにした。今回得られた知見は、SigIの変異によって薬剤耐性結核菌が発生する可能性を示唆している。

doi:10.1038/ncomms1724

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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