銀行の国債保有に新規制 バーゼル委、結論16年に
主要国の銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会は8日、銀行が保有する国債などの金利関連商品に導入する新規制案を発表した。金利上昇リスクに応じ、資本を積み増す共通ルールを導入する案と、金融当局に行政処分などを含む監督権限を与える案の2つを提示。2016年に結論を持ち越し、19年以降に適用する。
金融機関の国際ルールであるバーゼル規制の見直しの一環。新しい規制は市場金利が急上昇(価格が急落)した際に、銀行が保有する国債や住宅ローン商品などの資産価値が下がり、経営に悪影響を及ぼすリスクを監視する狙いがある。外国債も含め、あらゆる金利商品を対象にする。
欧州が主導してきた第1案の金利リスクを反映する共通ルールの導入では、各国の金利動向に応じて基準を変える。日本などの低金利国は金利が1%上昇するリスクを計算し、必要な資本を積み増す。一方、ギリシャなどの高金利国は金利が3%上昇するリスクを計算する。日銀の試算では、金利が1%上がると、邦銀が持つ債券の価値は約5.5兆円下がる。
一方、日米が支持する第2案の金融当局による監督権限の強化は、数値に基づく機械的な資本の積み増しを求めない比較的柔軟な規制だ。当局が銀行に金利リスクの開示を求め、必要ならば資本増強の勧告や行政処分を出せるようにする。
バーゼル委は加盟国の銀行に対し、9月上旬まで意見を求める。それを踏まえて16年にも新規制を固め、19年以降に適用する方針だ。