「予定通りに増税すべきだ」-。11月13日に首相官邸で開かれた消費税再増税の是非を有識者に聞く政府の集中点検会合で、社会保障分野の専門家らが次々と声を上げた。
社会保障・税一体改革は、税収増分の使い道も、実施スケジュールも大枠で決まっている。来年4月からの子ども・子育て支援新制度などは税率10%を前提とする。増税時期が先延ばしになれば影響は避けられない。それどころか、一体改革そのものが崩壊しかねないという懸念があったからだ。
これに対する安倍晋三首相の答えは「一体改革路線の堅持」だ。増税延期を正式発表した同月18日の記者会見で「社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たす。(再増税を)再び延期することはないと断言する」と語った。
第2次安倍政権の社会保障政策は、一貫して一体改革に軸足を置いてきた。政権が誕生して間もない平成25年1月21日の社会保障制度改革国民会議で、首相は「内閣としても(自民、公明、民主の)3党合意に基づき一体改革を進める」と宣言。以来、改革を着実にこなすために時間を費やしてきたといってもよい。