アパグループのホテル客室に、「南京大虐殺」や「慰安婦の強制連行」を否定する書籍が置かれていることに対する中国の反応が常軌を逸している。日本の一民間企業代表の歴史認識が気に入らないからといって、国家ぐるみで国内企業や日本観光客に、アパホテルの利用ボイコットを呼びかけるその姿は、共産党の一党支配下にある国の異様さを改めて見せつけた。
■1万数千件の激励
ただ、中国の報復措置を受けたアパホテル側の反応は堂々としたものだった。元谷外志雄代表は24日の会合でこう指摘し、書籍を撤去しない方針を示した。
「向こうが押せば引くと、70年間にわたって日本は『押せば引く国』『文句言えば金を出す国』ということで敗戦国の悲哀を味わっていたが、もう『本当はどうなのか』ということを向こう(中国)にも知ってもらう必要がある」
日本社会は変わりつつある。以前は中国や韓国に歴史問題を持ち出されると、ことの真偽にかかわらずひたすら頭を低くして波風立てずにやり過ごそうとばかりしてきた。だが、今回は政府も「民間企業の個別の対応について政府として立ち入るべきではない」(萩生田光一官房副長官)とアパホテル側に圧力をかけたり自制を促したりはしない。