今から400年前の1608年、オランダのメガネ職人リッペルスハイが、レンズを組み合わせているうちに遠くのものが大きくはっきり見えることを発見したのが望遠鏡の始まりと言われています。
翌1609年からは、ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を天体に向け、月にクレーターがあること、木星のまわりを4つの衛星が回っていること、金星が満ち欠けしていること、天の川が星の集団であることなどを発見していきました。そこで、ガリレオが天体に望遠鏡を向けてから400年であることを記念して、2009年は世界天文年と定められました。 みなさんもリッペルスハイになったつもりで、レンズをいろいろ組み合わせて、望遠鏡を作ってみましょう。 【用意するもの】
・ 黒画用紙 数枚 ・ セロハンテープ ※ レンズは、「虫メガネ」や「ルーペ」以外に「老眼鏡のレンズ」があるといいでしょう。 どれも100円ショップなどで手に入ります。 【まずは試してみよう】 虫メガネを使うと、近くのものを大きくハッキリと見ることができます。 しかし、望遠鏡は遠くのものを大きくハッキリと見るための道具です。 リッペルスハイは、レンズを組み合わせて遠くのものが大きくハッキリと見えたということなので、用意したレンズをいろいろと組み合わせて、遠くのものがハッキリ見えないか試してみましょう。 1枚のレンズを目の近くに、もう1枚のレンズを目から離しておいて、それぞれのレンズを前後に動かしてみると、どこかで遠くの景色がハッキリと見えるかもしれません。 【しょう点距離を調べてみよう】 ![]() また、老眼鏡には「度数」という数字が書いてあって、1mを度数で割った長さがレンズのしょう点距離になっています。 例えば、度数1.0の老眼鏡のレンズのしょう点距離は1m、度数2.0だと0.5m(50cm)、度数2.5だと0.4m(40cm)です。 【簡単望遠鏡を作ってみよう】 いろいろなレンズの中から、しょう点距離が30〜50cmくらいのもの(度数2.0〜3.5の老眼鏡のレンズなど)と、3〜10cmくらいのもの(虫メガネやルーペ)を使いましょう。 老眼鏡は、フレームに付いたままでも望遠鏡にできますが、フレームからはずした方が作りやすくなります。 100円ショップで売っている老眼鏡の場合は、レンズをネジで固定していませんので、フレームを壊さないとなかなかはずれません。 老眼鏡のレンズは、大人の人にニッパーやペンチを使ってはずしてもらいましょう。 レンズが用意できたら、次は黒画用紙で筒を作ります。 筒の太さは、使うレンズの内、小さい方のレンズの大きさくらいにしましょう。 このとき、ラッパのように筒の一方の端が太くなったり細くなったりしないように注意しましょう。 黒画用紙を筒にしたら、セロハンテープでとめます。 さらにこの筒のまわりにもう1枚の黒画用紙を巻いて、セロハンテープでとめます。 これで、筒が伸び縮みするようになります。 このとき、筒の長さは「2枚のレンズのしょう点距離をたし合わせた長さ」くらいで、伸び縮みしないといけません。 筒が長い場合は切って短くして、筒が短い場合は黒画用紙をもう1枚巻いて三重の筒にしましょう。 筒ができたら、内側の筒の片方の端にレンズをひとつ、外側の筒の片方の端にもうひとつのレンズを、それぞれセロハンテープでとめます。 レンズを取り付けたら、細い方の筒を太い方の筒にさし込んで、筒の長さを「2枚のレンズのしょう点距離をたし合わせた長さ」くらいに伸ばします。 これで望遠鏡の完成です。 しょう点距離の短いレンズの方から望遠鏡をのぞいて、遠くの景色を見てみましょう。 少し筒を伸ばしたり縮めたり、望遠鏡のレンズと目を近づけたり少し離したりすると、遠くの景色が上下逆さまになって大きく見えます。
【うまく見えない場合】 ・ 筒がまっすぐになっていますか? 筒が二重になっているので、伸ばしたときに筒が曲がってしまうと、うまく見えません。 ・ 望遠鏡をのぞく目の位置を変えてみましょう 使っているレンズによって、レンズに目がぴったりくっつくくらいにしてのぞいた方がよく見える場合や、レンズから目を数cm離してのぞいた方がよく見える場合があります。目をレンズに近づけたり離したりしてのぞいてみましょう。 ・ 望遠鏡をのぞく向きはあっていますか? 2枚のレンズのうち、しょう点距離の短いレンズの方からのぞいていますか? 反対側からのぞくと、景色が上下逆さまになって小さく見えます。 ・ 筒の長さは、ちょうどいい長さになっていますか? 使ったレンズと筒の長さが合っていないと、うまくみえません。 使っている2枚のレンズのしょう点距離をそれぞれ調べ直してみましょう。 筒の長さは「2枚のレンズのしょう点距離をたし合わせた長さ」くらいで伸び縮みしますか? 【望遠鏡の倍率】 望遠鏡の目でのぞく方のレンズを「接眼レンズ」(または「アイピース」)、反対側のレンズを「対物レンズ」といいます。 望遠鏡の倍率は、 になっています。例えば、対物レンズに度数2.0の老眼鏡のレンズ(しょう点距離50cm)を使い、接眼レンズにしょう点距離10cmの虫メガネを使うと、倍率は5倍になります。 対物レンズをしょう点距離の長いレンズにかえたり、接眼レンズをしょう点距離の短いレンズにかえると、倍率は高くなります。 逆に、対物レンズをしょう点距離の短いレンズにかえたり、接眼レンズをしょう点距離の長いレンズにかえると、倍率は低くなります。 但し、レンズのしょう点距離によっては、筒の長さをかえないといけません。 【工夫してみよう】 筒をじょうぶにスムーズに しょう点距離の長いレンズを対物レンズに使うと、筒を長くしなければなりません。 じょうぶな材料で筒を作らないと、途中で曲がって見えなくなってしまいます。 水道管に使われている塩ビパイプ(ホームセンターなどで売っています)や、ラップやアルミホイルの巻いてある筒などを使ってみましょう。 細い筒のまわりにガムテープなどを巻いて、太い筒にぴったり合うようにしましょう。 逆さまにならないように ここで紹介した望遠鏡は「ケプラー式望遠鏡」といって、上下左右が逆さまになって見えます。 接眼レンズを凹レンズにかえると、上下逆さまにならない「ガリレオ式望遠鏡」になります。 また、鏡を組み合わせると、上下左右を元に戻すこともできます。 右下の写真を参考にして、鏡をどんなふうに組み合わせたらいいのか試してみましょう。
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