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ver.1.31

2013.4.11
   河野 武
ファンが企業を救う
 fans save your business.
⾃自⼰己紹介

         河野武  /  KOUNO  Takeshi
         –  1974年年7⽉月3⽇日⽣生まれ。⽴立立命館⼤大学卒。京都在住。
            コミュニケーションデザイナー。企画屋。観光再⽣生⼈人。
         –  1997年年、ニフティ⼊入社。2001年年にニフティ退職後、
            フリーターとして数年年過ごし、2004年年から2005年年ま
            でオンライン書店ビーケーワン専務取締役兼COOを務
            める。2005年年から2007年年までシックス・アパート株
            式会社マーケティング担当執⾏行行役員を務める。2007年年
            から2010年年までブックオフオンライン株式会社取締役
            を務める。現在はフリーランスとして数社のマーケ
            ティング⽀支援の顧問・アドバイザーを務める。
         –  著書に『Twitterアクティブサポート⼊入⾨門』『そんなん
            じゃクチコミしないよ。』がある。
         –  個⼈人でもcrossreview、clipmailなどを運営。
         –  趣味は城巡りで、攻城団というプロジェクトを推進中。
でははじめます
  現代社会と
マーケティング
まずは現状認識識を

ぼくらの⽣生きる現代社会
  シャッター通り
  まだ使えるゴミ
  処理しきれない情報
最愛志向のコミュニケーション戦略 ver.1.31
いきなり結論論めいたことをいいますが、

⽣生き残る⽅方法は3つしかない
⽣生き残る⽅方法は3つしかない
あなたはどの戦略略を選びますか?

•  最⾼高「いちばん性能がいい」
  – 常に新機能を研究開発して実装し、
    他社の機能やサービスもどんどん取り込む
•  最安「いちばん安い」
  – 徹底的にコストダウンを図り、他社よりも
    1円でも安く販売する
•  最愛「いちばん愛されてる」
  – 購⼊入前後のケアなど、顧客との関係性を重視し、
    その企業「らしさ」を⽀支持してもらう


        いまあなたの会社は
       どれを狙っていますか?
クルマでたとえるなら、こんな感じ



                   メルセデス・ベンツ
                   CLSクラス
                   851万円〜~1262万円




                   ダイハツ
                   ミラ
                   58万円〜~171万円




                   MINI
                   ミニ
                   217万円〜~570万円
「うちの嫁は最⾼高」(最⾼高は最愛か?)




 「最愛」=「特定の人にとっての最高」
ここで具体的にイメージしてみましょう

あなたの会社




競合その1




競合その2
ここで具体的にイメージしてみましょう
                     例
あなたの会社


         ドコモ


競合その1


         au


競合その2


 ソフトバンクモバイル
最近の各社のCM
このCMは最⾼高なのか最愛なのか?
ここで具体的にイメージしてみましょう
                     例
あなたの会社


         ドコモ


競合その1


         au


競合その2


 ソフトバンクモバイル
ここで具体的にイメージしてみましょう
                     例
あなたの会社


  ジャパネットたかた


競合その1


    アップルストア


競合その2


         ヤマダ電機
ここで具体的にイメージしてみましょう
                     例
あなたの会社


    スターバックス


競合その1


        マクドナルド


競合その2


         コメダ珈琲
  少し過去の話を
あんな時代もありました

•  早く作れば売れる時代
  – いざなぎ景気時代のように⽇日本中で所得⽔水準が向上し、
    需要が供給を上回っていれば、競合他社より「早く」
    「⼤大量量」に作ればどんどん売れる
   • ⼤大量量⽣生産、⼤大量量流流通、⼤大量量広告……
   • 3C(car、cooler、color  TV)
  – そもそもマーケティングが不不要だった時代
   • モノが不不⾜足していた時代
   • 「最速」がマーケティングの鍵になった時代




    でも需要が満たされてしまうと
     作っただけでは売れない
こんな時代もありました

•  いいものを作れば売れる時代
  – バブル期のように⽇日本中に購買意欲が溢れていれば、
    他社より「すごい」製品を作ればどんどん売れる
   • より速い、より⼤大容量量……
  – 製品競争は⾼高機能、⾼高性能が求められる
   • 「最⾼高」がマーケティングの鍵になった時代
   • ほんとうのマーケティングが必要とされなかったともいえる




      商品に不満がなくなれば
    機能が差別化要因ではなくなる
「失われた20年年」になにが起こったか

•  経済のグローバル化
  – 技術的な優位性が⼀一瞬でなくなる
    • 韓国、中国などアジア各国の台頭なども影響
  – 同じような商品が短期間で模倣される
    • その結果、値崩れしやすくなった
•  ⾏行行き過ぎた機能競争
  – 消費者が実感できない機能差
  – 性能に不不満ある?




   「レグザ、ブラビア、アクオス…?
    どれを買えばいいかわからない」
カミソリって何枚刃までいくの?




                  5枚刃
            4枚刃
   3枚刃
勝⼿手にふたがあく必要ある?
マイナスイオンが出るテレビ
プラズマクラスター搭載コピー機
そして、価格競争に(「最安」の時代へ)

•  コモディティ化とPB商品の登場
  – ⽇日⽤用品などは機能的な有意差はほとんどなく
    「そこそこよくできた商品」で溢れている
•  インターネットの普及
  – Amazonや楽天などECの⼀一般化
  – カカクコムなどの⽐比較サイトの登場
•  不不況の影響
  – デフレ下ではよりPriceが強くなる
   • 「マーケティングの4P」のバランスが崩れる



    「どれでも大差はないのだから、
     いちばん安いのでいいか」
トップバリューか、⻘青の洞洞窟か
マーケティングの4Pの変化


                      PPrroodduucctt  




      PPllaaccee                            PPrriiccee  




                     PPrroommoottiioonn
マーケティングの4Pの変化


                        PPrroodduucctt  
   Product                 製品、サービス、品質、デザイン、
   (製品)                    ブランド 等


   Price
                           価格、割引、支払条件、信用取引 等
   (価格)
        PPllaaccee                            PPrriiccee  
   Place                   チャネル、輸送、流通範囲、立地、
   (流通)                    品揃え、在庫 等


   Promotion               販売促進、広告、
   (プロモーション)               ダイレクトマーケティング 等

                       PPrroommoottiioonn
Priceが強すぎる


                      PPrroodduucctt  




      PPllaaccee  
                                            PPrriiccee  

                     PPrroommoottiioonn
  いま売れてます
広告は終わったんだよ。  
 だって『いま売れてます』が  
いちばん効くコピーなんだから、
この先の広告にはなにもないよ。
「いま売れています」が最強のコピー

•  商品が多い上に、機能的な有意差がないので
   消費者が⾃自分で選べなくなっている
  – ランキング偏重
   • なんとかランキングNo.1!
   • コンビニの商品は1年年間で7割が⼊入れ替わる
  – (ネットを含む)メディアの影響
   • ステマ、ステマ、ステマ!
•  悲しい現実
  – 「○○みたいなので、いちばん売れているやつ」
  – 「○○みたいなので、いちばん安いやつ」


  ふつうの企業には勝ち目がないのか?
  なんとかランキング
  ナンバーワン
たとえば⾃自動⾞車車保険の場合…
たとえば⾃自動⾞車車保険の場合…
たとえば⾃自動⾞車車保険の場合…
消費者はもうあれこれ悩んだり考えたりしたくない!

•  けっきょくどこがほんとのナンバーワン?
  – ⾃自動⾞車車保険はみんな第1位
   • そこにウソはないかもしれないけど…
•  考えたくないから権威に依存する
  – モンド・セレクションって信じていいの?
•  決められない消費者はどうすればいい?
  – いちばんいいやつ  →  機能差が難しくなった
  – いちばん安いやつ  →  価格競争も限界
  – いちばん売れてるやつ  →  ナンバーワンだらけ


だからこそ無条件に「いつものやつ」と
選んでもらえるようになりたい(=最愛)
話が広がったので⼩小休⽌止

ここまでのまとめ
「最⾼高」を⽬目指せるのか

•  最⾼高の商品、最⾼高のサービスを実現しつづける
   ための投資が必要
  – 投資を回収できるのか
    • 最⾼高の商品を作ったけれど⼤大⾚赤字というのでは
      話にならない
  – これ以上、どんな機能をつけるのか?
•  消費者の多様化
  – 趣味嗜好はどんどん多様化している
    • 最⾼高の商品は⼈人によってちがう
  – 多様化が進めば市場規模が⼩小さくなる
「最安」を⽬目指せるのか

•  基本的には「薄利利多売」戦略略
  – 「薄利利」は分単位で進む
    • インターネットの⽐比較サイトの影響は⼤大きい
    • 家電量量販店でもネットの価格を⾒見見せて交渉
  – 「多売」を現実のものにできるのか
    • 少⼦子化が進み、⼈人⼝口減少が予想される国内市場だけでは
      むずかしい
•  ⼤大⼿手企業や海外資本との値下げ競争
  – グローバル企業との競争
    • ファストファッション、家電……
  – PB商品(プライベートブランド)との競争
「最愛」を⽬目指せ
                          「唯⼀一」では
                          ないので注意
•  最愛こそが多くの企業の⽣生き残る道
  – すべての機能が搭載されなくてもいい
    • ⾃自分に必要な機能さえあればいい
  – 少々⾼高くてもいい
•  ブランドへの信頼や愛着が問われる
  – 誰から買うか、どこで買うか
    • 産地や⽣生産者が問われる
    • 「サービス」が差別化要因に
  – ファンや常連といった熱狂的⽀支持者が鍵
    • 周囲に宣伝してくれる
    • 何度度もリピート購⼊入してくれる
    • 「いつもの」で選んでもらう
どうすれば愛される企業になれるのか?

愛される企業になるための
コミュニケーション戦略略
「買い物は投票⾏行行動」


               『買い物は投票行動だ』と、
               私は言うんです。
               応援したい商品を買うことで、
               その会社に投票するという
               ことですね。
               よいものを買うことで、
               お金のよい循環が生まれ、
               誰かの幸せを生む。
               そうすれば、あなたもハッピー
               になるでしょう。
                2009年年6⽉月16⽇日付  朝⽇日新聞「池上彰のやさしい経済教室」
⽀支持票としての消費⾏行行動

 •  これからの「消費」は「気持ち」が⼤大事
  – 不不況も⾃自粛も関係ない
    • むしろ「⾃自分が買い⽀支えなきゃ」と思ってもらえる
  – CSRとか、社会的責任とかこむずかしいことを
    わかってもらう必要なんてない
    • 「応援したい、良良い企業」と思われることが⼤大事
    • 本来のCSRってそういうことでしょ?
  – 多くの⼈人に「この会社はあったほうがいいよね」と
    思っていただけるかを真剣に考える
    •     「『あってよかった』と⾔言われる会社になるのが夢」



    存在価値のない企業は淘汰される
「最愛」の⽀支持票を得るために

•  売ってからのマーケティング
  –     「⽣生産は消費で完成する」
    • 顧客と会い、顧客と話し、顧客とコラボする
•  本気で顧客と向き合う
  – 徹底的な聞く姿勢とたえまない改良良・改善
  – 理理念念を伝えて「共感」してもらう
    • 当たり前だけど、伝えなきゃ伝わらない
    • いいところも悪いところも正直に伝える
    • 現状の未熟さも将来の⽬目標も伝える
    • プロセスを開⽰示していく



 お客さんと「本気(ガチ)」で向きあう
ほぼ⽇日ストアLoFt出張所
ほんとうに届けたい⼈人はどこにいる?

•  あなたのファンはどこにいる?
  – ⼤大事なことは「ちゃんと」聞いてくれる⼈人たち、
    聞きたいと思ってくれる⼈人たちとどうつながるか
  – 継続的に発信する⼿手段を持つ
    • 彼らとの「つながり」が資産
•  コンテンツに悩む必要なんてない
  – 消費者はほんとうのことを知りたいだけ
    • いいことも悪いことも正直に伝えればいい
  –     「まっとうなものをまっとうに作る」



     もっと直接、伝えませんか?
コンテンツづくりのヒント
                       どんな人が
                       買ってる・         お客さん

                        使ってる
       商品                の?

             どんな人に
              向いてる   コンテンツ
               の?
                             どんな人が
                             売ってる・
まっとうな商売をする
                              作ってる
コンテンツはミスマッチを防ぐために              の?
自分たち「らしさ」を伝える
(背伸びをしない、ムリをしない)
(誰彼かまわず売りつけない)
                       スタッフ
「らしさ」(=価値観)が
共感を呼び、支持につながる
直接、情報を届ける

•  じっさいに会う
  – イベント開催
•  ソーシャルメディア
  – 企業ブログ
  – ツイッター
  – YouTube
•  それ以外にも
  – メルマガ
  – 電⼦子書籍、会報誌…


     あなたの「熱」を伝えましょう
参考:クラシコムの実践例例
ブログだけがコンテンツマーケティングじゃない
根底にあるのは「共有したい」というまっすぐな気持ち
参考:コンテンツは買うきっかけであり、好きになるきっかけ
⻑⾧長時間、おつかれさまでした

今⽇日のまとめ
最愛志向のコミュニケーション戦略略

•  「最愛」を⽬目指せ
  – これからは愛される企業しか⽣生き残れない
    • 共感し応援してくれるお客さんはいますか?
•  愛される企業になるために
  – 売ってからのマーケティング
    • 本気で顧客と向き合うためになにをしますか?
    • 「安⼼心」や「信頼」を提供できていますか?
  – 理理念念を伝えて共感してもらう
    • 伝えるべき⼈人に、伝えるべき内容を、伝えるべきタイミング
      に届ける⼿手段はありますか?



「本気・本物」以外は淘汰されるってこと
消費者に愛される「いい会社」が⽣生き残れるために

•  企業として
  – みんなに愛されることを諦めること
   • (消費者に)選ばれるために(⾃自分たちも)選ぶこと
  –     「⾃自分の価値観にあったお客さまを探して、
          その要望に120%応えていく」
  –     「好きだといってもらえなければ、永続できない」
•  消費者として
  – 実のある応援をする
   • ⾃自分がいいと思うもの、⾃自分が好きなものを残したいなら、
     ちゃんとお⾦金金を払う(「最安」に流流れすぎない)



  行動を伴った意思表示をお互いにする
thank  you!                                   社内セミナーや  
                                              出前セミナーの  

 •  ご清聴ありがとうございました
                                              相談もお気軽に!  


    – 全肯定でも全否定でもなく、ひとつの考え⽅方として
      頭のどこかに置いておいていただけるとうれしいです
 •  感想や相談はこちらまでお願いします
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    – http://smashmedia.jp/blog/
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