Red Hat Enterprise Linuxは、Red Hat社によるディストリビューションで、企業を主なターゲットとする製品だ。Red Hat Enterprise Linuxは、北米・日本をはじめ世界中で最大のシェアを持つ代表的なディストリビューションだ。開発を行っているRed Hat社は、商用ディストリビューションのパイオニアで、RPM形式のパッケージを開発したベンダーとしても知られている。
Red Hat Enterprise Linuxには、大規模なサーバ用のASと中小規模サーバ用のES、ワークステーション用のWS、そしてネットワーク・クライアント用のDesktopという4種類のバリエーションが用意されている。
関連するディストリビューションとして、Fedoraプロジェクトと呼ばれる開発者のコミュニティを主体に開発・配布されるFedora Coreがある。これはかつてRed Hatが無償で配布していたRed Hat Linuxを代替する無償ディストリビューションとしての性格を持つと同時に、Red Hat Enterprise Linuxへの導入に先行して先進的な技術を搭載する実験的ディストリビューションという性格を持つ。
その特徴は、シンプルで使いやすいインターフェースと品質が高く安定したパッケージ群、そしてRed Hat Enterprise Linuxをサポートするサードパーティのソフトウェアやハードウェア製品の数、充実したサポートなどだ。またIntel x86アーキテクチャに加え、AMD64/EM64T、Itanium2、POWER、zSeries、S/390の各アーキテクチャをサポートする。
図1:パッケージの追加と削除の画面 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
本連載の執筆時点のRed Hat Enterprise Linuxの最新版は、2005年にリリースされたバージョン4で、中心的なコンポーネントはカーネルが2.6.9、コンパイラがGCC 3.4、Cライブラリが2.3.4をベースとしたものだ。Red Hat社は、約18ヶ月で新バージョンをリリースする方針を持っており、現在はバージョン5に向けてβテストが行われている。